01
その男はとても戸惑っていた。というか驚いている?どれも今の感情には似つかない感情が渦巻いている。
これはどういう事だ・・・。一体俺は何でこんなことになってるんだっけ?男は首をかしげた。男はさらに思案を続けた。
えー・・・落ち着け今の状況を整理しようじゃないか。自分は今床に押し倒され・・・いや組み敷かれている。そこだけならまだいい。問題はそこからだ自分の喉元にはとてつもなく光り輝いたナイフが突き付けられている。
まあ確かに?悪いのはこっちかもしれないけど・・・これはあんまりだ。男がそう思考を巡らせながら怒っていると急に呼吸がしずらくなった。どうやら胸倉を掴む手に力が加わったようだ。
それと同時に頭上から男を組み敷いている奴が口を開いた。
「お前、何者だと聞いている。聞こえていないなんてことはないだろう?」
光の加減で分からないが声的にこいつは男のようだ。と呑気に男は思っていた。
なんせまだ夜中なのだ。顔が見えないのは当り前なのである。
まいったなあ。と男は心の中で苦笑する。自分は身分を明かすわけにはいかないのだ。男が声を発しないのに焦れたのか再度畳み掛けるように声が降って来た。
「おい、聞いてるのか。それとも死にたいか」
男の喉元に一瞬だが刃が掠めた。
死ぬのはまずい。と男が真剣に焦りだした時、いきなり第三者が現れた。
「ウィル、どうした?何か物音が・・・って何してんだよ!?そいつ誰!?」
「風に当ろうとベランダに出たらこの男が手摺のとこに座ってやがったんだ。この家のベランダに入るには玄関から入って俺の部屋に入らなければならない。戸締りだけはしっかり確認している。こいつが入れるはずないんだ。それなのにこいつ・・・」
「それは、確かにおかしい、何者だこの男」
第三者の介入で助かると思ったがそうもいかないらしい。第三者である男も俺に殺意を向けている。
とんでもない所に転がり込んでしまった。と男は自らの運の悪さを呪った。
男は改めてここに辿り着いた経緯を辿った。