4章
太陽の陽光が、ある部屋を照らす。小鳥のさえずりも微かだが耳に届いてくる。
今まで眠りのなかにいた颯人は、ゆっくりと目を開けていく。
寝ぼけ眼を擦り、徐々に視界がもとに戻っていく。
「こ、ここは、どこだ」
回りを見渡せば、壁は一切の汚れのない白、薬や医務関係のようなものが入っている棚が奥にある。そして俺は真っ白いシーツのベッドの上にいた。
俺が思うにこの部屋は医務室かなにかだと推測できる。
左右にカーテンがかかっており、俺の予想ベッドが置かれていて薫もそこで寝ているはずだ。それを確かめるべくベッドから降り、右にあるカーテンを開ける。
そこには、小さな寝息をたてる薫が寝ていた。
・・・・・・可愛い。
寝顔が言葉にできないくらい可愛らしかった。
「とりあえず、薫は熟睡しているからそっとしておこう。んじゃ、ここがどこなのか調べてくるか」
この部屋には俺と薫以外誰もいないので、外で情報を入手して来なければならない。
薫の寝顔をずっと見ていたかったが俺はこの教室を後にした。
俺は驚愕した。
「なんだここは。俺はいったいどこに来ているんだ!?」
外かと思いきや、見知らぬ学校の廊下に出ていた。俺が昔通っていた学校の廊下とほぼ似ていたが、決定的に何かが違う。
それは・・・・・・。
「よけて、よけて!!危ない!あぶなーい!!」
突然、左方向から何か(人みたいだが)が物凄い速さで向かってくる。
避けろと俺の五感が訴えてくるが、あのジェット機なみの速さの何かはもう目の前まで来てる。
「危ない!ぶつかるぶつかるぅぅぅ!!」
俺は覚悟をし、いろいろなことが脳裏にフラッシュバックされた。
・・・・・・この少しの人生楽しかったぜ。さよなら俺。
ドゴォォォォオオオオォォォォン!!!!
勢いよく背中にタックルをかまされ、俺は水星のごとくスピードで右方向へ吹っ飛ばされ、壁と正面衝突。
パラパラと壁が剥がれ落ちていく。
奇跡的怪我はない。危うく本当に死んでいたかも知れなかった。
少し、痛んだ顔をおさえつつ立ち上がる。
「なんだったんだ。今の何かは・・・・・・」
と、俺にタックルをしてきた何かがあたふたと慌てながら走ってくる。
「だ、大丈夫ですか!すみません。聖霊が暴走しちゃって、つい」
「奇跡的に怪我はなかった。次は気を付けろよ」
何かは安堵の息をついた。
俺は何かの顔を除きこんだ。
何かの正体は女の子だった。端正な顔立ちに幼い容姿、年齢的に13,14歳だと思う。
それにしても彼女の髪は美しかった。真っ赤な髪。それはまるで夕日のようだ。むしろ、夕日に照らされた方が彼女の真っ赤な髪は美しさを増すのではなかろうか。その真っ赤な髪を彼女は後ろでくくっていた。いわゆるポニーテイルだ。
俺は彼女に見とれていたが、とりあえず自己紹介をした。
「俺は、神崎颯人だよろしくな」
「君が神崎颯人くんだったのぉぉ!!」
途端に、彼女は驚きの声をあげた。
彼女はリアクションがでかい・・・・・・と思う。
「なぁ、俺がどうかしたか?いきなり驚いたりしてビックリしたぞ」
「ゴメンゴメン。だって神崎君はこの学校で有名な人じゃないですか!」
「えっ!?」
「だって入学して、初めてある<ジン・コンバット>で上位に入ったからですよ!」
俺ってすんごい有名人だったんだな。ありがとう、ミラさん、キラ。
ひとつだけ疑問に思ったことがあったので、彼女に訪ねる。
「ひとついい?」
「はい、いいですよ」
「ジン・コンバットってなに?」
言った瞬間、周りの空気がいきなり冷めたような感じがした。
俺は、この人たちにいっては言ってはいけないことを言ったみたいだ。彼女はそうとう驚いている。
やはり、ダメだったか。
するとまた、彼女は慌て出した。
「た、大変です!さっきの出来事で記憶が吹き飛んだに違いない。そうです。さっきのがいけなかったんです。では、神崎君。早く医務室にいこう」
手をガシッと捕まれて俺は逆らうことなく医務室まで足を運んだ。
医務室は近くにあった。いうならば、俺が目覚めた場所が医務室だったみたいだ。
俺は彼女に導かれるまま、白い椅子に座らされ、検査を受けていた。
当然、薫はこの騒動で目が覚めてしまったので今は隣で立っている。正確には聖霊だからまだ、足は消えており浮かんでいる。
「薫。・・・・・・もう大丈夫なのか」
「うん。もう、私は全てを受け入れるって心に誓ったから大丈夫だよ。ごめんね。心配かけて」
よかった。薫が受け入れてくれて。
「あのー。お二人のお話し中悪いのですが、少しいいですか?」
彼女はしぶしぶと手を挙げ会話に参加した。
「神崎君が、忘れたのことなのでにジン・コンバットついて簡単に説明しますね」
「あぁ。頼む」
「この学校の生徒がバトルロイヤル形式で戦う行事のことです!生徒全員が自分の契約している聖霊の力を使い、他の生徒を倒していくルールです」
一息。
「そして上位として残った五人が、優勝をかけて明日行われるジン・コンバットのトーナメント戦をするということです」
「へぇー・・・・・・えっ!?明日に俺が出るの!」
「もちろんです。皆神崎君のこと期待してますよぉ」
いろいろと急すぎる。明日にやるとか、俺まだ戦いとか慣れてないから絶対初戦敗退だ。
などネガティブなことが次々と頭に浮かんでくる。
しかし、次の彼女の言葉が俺の考えを変えた。
「しかも今回王が出るから盛り上がるんですよ!期待の一年や王が出るだなんて今回のジン・コンバットは最高かもしれないです」
「王・・・・・・」
見つけた。俺の探していた奴ーーーー王を見つけたぞ。
こんにちは。久々の投稿をした境界線上の日々です。
今回からできれば、一週に一話更新しようかと考えています。
次回は、まだバトルではないです。ですが、その次からバトルに入ると予定ではたてています。
読んでいただきありがとうございます。次回もぜひ読んでください。