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23章

「約束通り来てやったぞ! さあ前回のリベンジをやろうぜ!」

待ち合わせ場所である屋上に辿り着いた俺と冬島。俺は〈聖なる剱〉を鏡に向けて言い放つ。

屋上の奥で一人の鏡は秋の肌寒い風を涼しげな顔で浴びていた。

「まあ慌てないでくれよ。僕だって君らと争う気は全然ないから。その剣を納めてくれ――ところで、冬島先輩はこんなことをして組織を裏切る気なのかい?」

冬島に視線が移る。

「すべて嘘のことしか言わない組織に呆れを切らしただけだ。宇都宮後輩には悪いがおれは組織を裏切ると宣言するよ」

組織とか何を言っているのか俺にはわからない。隣にいる冬島は覚悟をしている表情だということだけがわかる。

「冬島……」

「悪い、神崎。お前に黙っていたことが結構あるんだ。これのあとにちゃんと話すからいまはおれの心配はしないで宇都宮後輩……いや、鏡と戦うぞ!」

「ああ、わかった。冬島は冬島だからな」

俺は〈聖なる剱〉を構えて戦闘態勢へと意識を集中させる。冬島は片手に一丁の銃を召喚させ、鏡へと銃口を向けた。

「これで決めてやろうか? おれのスレイドで……」

「そんなもので殺せるとでも思っているのですか?」

不敵な笑みを浮かべる鏡。何かを思ったのか冬島は一瞬躊躇ったが、

「お前を殺せるさっ!」

そう言って引き金を引き、屋上に銃声が鳴り響いた。

この銃声は前にもどこかで……。

発射された弾丸は鏡の心臓をめがけていく。一ミリのズレもなく、この弾丸の早さは避ける事は出来ない。

「へへへッ、僕は殺せないって言っただろ――」

弾丸が撃ち抜いたその時、鏡はその場から姿を消した。いや、正確にはその場から移動していたのだ。俺たちの背後に。

「くそっ、俺の後ろか!!」

俺は背後の鏡へと聖なる剱を振るうが、また消えた。

「――こっちですよ、神崎颯人くん」

今度は冬島が右手の銃で鏡を連射する。狙いは完璧だ。けれど鏡は弾丸の早さをも凌駕し、それらを避け続けた。

俺たちが鏡の姿を見失ったと同時に、

「今度は僕の番だよ!」

鏡のスレイド〈堅剣〉が俺の背中を斬りつける。

「がっ……!」

背中に走る激痛が俺を襲う。屋上の地面に斬り傷の血が滴り落ちて行く。

だが、俺は負けられない。

「おらああああああ!」

俺は休む暇なく、すかさず聖なる剱を振るう。が、鏡は堅剣で攻撃を受け止める。

「俺は負けない!鏡!!お前なんかに俺の運命の邪魔はさせないんだよ!!」

「あなたが運命を? 自分の立場も理解してないくせに運命、運命言わないでくださいよっ!!」

いまの鏡は消えようとはしない。本気で俺と剣を交えているというのがわかった。

「うらああああ!!」

力を一点に加え俺は堅剣を押し返し、聖なる剱を鏡自身に一閃。

微かにかすっただけで、すぐに鏡は消えていた。

「そこだっ!!」

冬島は移動してきた場所へ引き金を引くが、やはりダメだ。

一体鏡のスレイドはどうなっているんだ……。

「鏡は瞬間移動をしている? 冬島は何か知らないのか?」

「おれはあいつのスレイドをよく知らないんだ。けど一つだけわかるのは基本的にスレイドは一人一つ。鏡は堅剣と瞬間移動の二つを持っている」

「つまり……なにかしらで二つを所持している」

「ああ、そういうことだ。そして考えられるのは近くにいる鏡の相方がスレイドを渡していること」

防戦一方な俺らは周囲を見渡すが、鏡の相方らしき人物は見当たらない。ましてや、この状況でこの場からは移動することは困難だ。

「鏡の相方はどこにいるんだ!? 冬島この状況はどうする……?」

「きっと解決策はあるはずだ……」

徐々に鏡の堅剣が俺の肌を切っていくのがわかる。

俺自身の疲労もあるが、鏡のスピードが上がっていっているのが一番の原因だ。

「ほらほら! もっと僕と殺しあおうよ、お二人さん!」

「くそっ……!」

聖なる剱が輝きを失ってきてしまった。つまり俺のスレイドの使用時間に限界が近づいてきている。

俺は残りの時間で鏡に勝てるのか……?

――けどここで終わったら……ダメなんだ!



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