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二つ目の扉が閉まるとき


ふらふらしながら料理場の裏口から中に入ろうと取っ手に手をかけたとき、

「ちょっと!どこに行っていたんだい?!」

「アンナさん。どうかしたんですか」

「どうかしたのはあんたの方さ!お妃様が黒い目と黒い髪を持つ女を召し出せって言ってきたのさ」

「え」

「何をしたのか知らないけどあんた、とっとと着替えるんだよ」

そう言ってメイドのお仕着せを押し付けられる。

「どうして」

訳がわからない。

私たち下働きはメイドにもなれないはずなのに。

戸惑う私にアンナさんは眉を寄せる。

「そんなの私だって知るもんかい。でも、もしかしたら、いくら下働きとはいえこの城にあんたみたいな異形がいるのがお耳に入ってお怒りになっているのかもしれないね」

「そんなっ」

「私に言ったって仕方ないだろ。それより早く用意するんだよ」

アンナさんは私を突き飛ばすとそのまま料理場に入ってバタンと戸を閉めてしまう。

「うそ・・・」

また、私は居場所を失うのだろうか。

(ミーシェ)

たった一人できた、私の宝物のような同僚。

(友達になりたかった)

目頭が熱くなった。

でも、私には他に行き場所がない。

重い足を引きずるようにして、私は着替えるために部屋へと向かった。





ドンドン!

「アリシア、用意はできたか」

低くて冷たい声がそう尋ねる。

私は慌てて戸を開けた。

扉の外にいたのは城の兵士だった。

彼は私の姿を見ると頭の先から足の先まで視線をたどらせ、

「行くぞ」

不愉快そうに眉を寄せると私の返事を待たずそのまま歩き出す。

その背を追いかけて歩を進めれば、また、背で扉が閉まる音がした。



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