初めての言葉
短くてすみません。
次はもう少し早くアップするようにします・・・!
アンナさんから渡されて配給係用のエプロンをして配給所に立つと、
「黒髪だ」
「黒髪の御使い様だ」
兵士の方々がざわめく。
私はぎゅっとお玉を握る手に力を込めた。
(大丈夫。笑顔、笑顔)
ここに来る前にミーシェにアドバイスをもらった。
それは、笑顔。
そして、変に卑屈にならない強い心を持つこと。
私はにこりと微笑んで、
「お待たせいたしました。
みなさん、お仕事お疲れ様です!夜勤明けの皆さんから是非召し上がってください!」
躊躇いがちに騎士や兵士の方々が配給所へと集まり始める。
大きなお鍋から熱々のシチューを汲み、大きな器へと入れる。
「お疲れ様です」
「あ、いえ。ありがとうございます」
躊躇いがちに受け取ってくださる。
(嬉しい!)
器を捨てられることも、投げつけられることもなく。
こうして、お礼まで言っていただけるなんて。
(なんて幸せなんだろう)
と、喜びに浸っている暇なく、次々と人がやって来る。
私は零さないように気をつけながら、次々に器にシチューを入れていく。
「お待たせしました」
「熱いので気をつけてくださいね」
一人一人に声をかけながら渡していく。
「お疲れ様です」
一人の兵士に同じようにそう声掛けすると、彼はにこりと微笑み返してくれて、
「御使い様は良い笑顔をなされるのですね。癒されます」
「え!」
驚く私に、兵士の方はにこりと微笑み、そのまま去って行った。
どきどきと私の心臓が音を立てる。
かああっと頬が朱に染まった。
(だって)
笑顔を褒められたことなんてほとんどない。
それも、一目合っただけの人に。
(嬉しい)
気持ち悪くないかな。
変じゃないかな。
気分を悪くさせていないかな。
色々な不安があったから。
『癒されます』
褒められた言葉も嬉しかったけれど、そんな言葉は初めてで。
(私の存在は人を不快にさせるだけじゃなかったんだ)
そう、初めて思えた。
もっと、頑張りたい。
もっとたくさんの人の役に立ちたい。
そして、認めてほしい。
そんな欲張りな気持ちが湧いてくる。
「お疲れ様です!」
私の声は知らず大きくなり、笑顔はより元気いっぱいになっていた。
いつも、読んでくださってありがとうございます。
100万アクセスも突破し、本当に、みなさんのおかげです!!
これからも、頑張りますので、いつも遅いアップですが、見捨てず、お付き合い頂ければ幸いです!
よろしくお願いいたします。