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選ぶということ



「アリシア。・・・今日が終わったら聞いて欲しい話がある」

「はい」


それは何だろう。

思い当たることがなくて首を傾げると、


「今はまだ言えない。だが貴女に選んで欲しいと思っている」

「えらぶ」


選ぶ。


その言葉がひどく頭に響いた。


選ぶ。

選ぶ。

選ぶ。

人は誰もが選びながら生きているのだと、レオンは私に語ったことがあった。

でも、


「アリシア?」


グレンさんが心配そうに声をかけてくれる。


「私などが何を“選ぶ”ことができるのでしょう?」


異形の私には選ぶ価値なんてない。

誰かの邪魔にならないように決められた通りに歩くだけだ。

この生が続く限り。


「アリシア様・・・」


グレンさんが悲しそうな顔をする。

ああ、どうして私はいつもこうなんだろう!


「すみません」


こんなにも優しい人まで傷つけるのだろうか。


「違う。アリシア様は悪くない。貴女はあまりにも傷つけられすぎただけなんだ」

「いいえ。私は幸せです。こんな身でありながらミカ様やグレンさんたちにお会いできました」


それに、村にはおばあさまが、レオンがいてくれた。


「だから、私が悪いんです」

「・・・きっと貴女は知ることができる。貴女の価値を」


価値?

おっしゃっている意味がわからない。


そのとき、


「!」


突然、グレンさんが立ち上がった。

そして、真剣な瞳で廊下の先をじっと見つめる。

そのあまりにも真剣な瞳に声をかけることさえできないでいると、


「アリシア様。悪いが少し出かけてくる。だが、今日は絶対に部屋の中でおとなしくしていてくれ」

「え?あの」


どうして?

声をかけようとしたけれど、彼は廊下の先を鋭い目で見据えたまま駆けだしてしまう。


「グレンさん?!」


名を呼んだときには廊下の先で、そして・・・あっという間に見えなくなってしまった。


残された私は呆然とグレンさんが去って行った先を見つめる。

明らかに尋常ではない様子だった。

何があったのだろう。


(まさかミカ様に何かあったの?!)


私の体を言い知れない不安が走った。



選ばれるだけ。

それがアリシアの今までなのです。

でも、きっといつかは

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