しゃくでば! 灼遊記
「さあ美鶴、早く次のところへ行くぞ?」
そういってシエラ法師様は美鶴に呼びかけました。
「ま、待ってくれしゃくぅ……。
法師様、疲れたしゃくよぉ……」
如意棒を顎に備えた美鶴(孫悟空)はふぅ、とつらそうです。
「情けないですねぇ……。
どうしてそんなに休んでばっかりなんですか?」
降妖杖(三日月型の武器)をもった蒼(沙悟浄)は美鶴をせせら笑いました。
「つらいものはつらいんしゃくよぉ……」
「ほら、立て美鶴」
シエラ法師様はなにやら呪文を唱え始めました。
すると……
「しゃぁああああああああ!!
い、痛いしゃく!!!」
美鶴のシルクハットが縮み、美鶴の頭をぎりぎりと締め付けるではありませんか。
「分かった、分かったしゃくよぉ!!
波音、力をかすしゃく!」
はー、やれやれ。
俺(猪八戒)は釘(すき『鍬』みたいな武器)を地面において立ち上がりました。
「ありがとうしゃくぅ、波音~」
「ん」
一行は砂漠を歩いています。
もう日が暮れそうです。
「足が痛いしゃくぅぅ!!
助けて欲しいしゃくぅぅぅ!!」
「うるさいですよ、美鶴。
静かにしてくださいよ」
蒼はまったく、と髪をかき分けて言いました。
「波音、助けてあげろ」
「え、なんで俺が……」
「逆らうのか?」
「いえ……」
俺はシエラ法師様には逆らえません。
しぶしぶ美鶴を助けようとした、そのときでした。
「金目の物を置いていけー!」
近くの石の脇から屈強そうな男が二十名ほど現れました。
「蒼、やってしまいなさい」
シエラ法師様はその男を見もせずに蒼に命令されました。
「了解です、シエラ姉様」
蒼は武器を男達に向けました。
「たかが小娘一人、なめるんじゃねーぞごらぁああんぁあああ!?」
日本語でおk状態です。
蒼はにやりと笑うとくるりと武器を一回転させました。
「な、なんだ……急に空が暗く――」
男達は上を見上げて言葉を失いました。
そこには超巨大な戦艦が浮いていたからです。
次の瞬間閃光が走り、男達は全員消失しました。
「さ、行きましょうシエラ姉様」
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それから二日たちました。
シエラ法師様たちはある村人から金閣と銀閣の退治を頼まれました。
シエラ法師様はそれを軽々と承諾すると金閣、銀閣の済む洞窟に向かいました。
「たのもー」
俺の言葉に反応するように扉が開くと中から二メートルはある怪物が現れました。
「なんだ、貴様らは?」
怪物は唸るような声で俺達を眺めます。
「しゃーっしゃっしゃ!
死ぬしゃくよぉ!」
美鶴の顎如意棒が唸ります。
金閣はそれを掴んでポイッと放り投げました。
「しゃぁあああああああ」
美鶴は洞窟の壁にぶつかりのびてしまいました。
「なんのようだ?」
何もなかったかのように金閣は俺達に問い直しました。
銀閣も横で頷きます。
「村人から退治を頼まれた。
だから――」
シエラ法師様は右手のレーザーで金閣を吹き飛ばしました。
「なっ――!?」
戸惑う銀閣の首にシエラ法師様は刃を突き立てると
「やめ……もう悪さはしな――!」
銀閣の体をばらばらに分解してしまいました。
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「ありがとうございます。
これでようやく平和に過ごせます」
村人Aがシエラ法師様にお礼を言います。
「いやいや、当然のことをしたまで。
では……」
姿が遠くなってゆくシエラ法師様の後姿を村人達はありがたや、と拝みました。
「ところで、シエラ法師様のご一行の人数が減ってはおらぬか?」
ふと村人の誰かがそんなことを口にしました。
「なにやら金閣に食われてしまったらしい。
悲しそうな顔をしていらっしゃった……」
「しゃああああああああああああああ!!!
ほっていかれたしゃぁあああああああああくぁぁああ!!!」
続くかも~
もちろん続きません。
たまには文章を変えてみるのもいいかなーっと思ったしだいです。