しゃくでば! 何事も社会経験なり
『本日のオススメ商品はこちらッ!
なんと、つけるだけで幸せになれる魔法のイヤリング!』
『まぁ、つけてみたら何か幸せのオーラを感じますわ!?
これは大変いいざます。※あくまでも一個人の意見です。
でも……、お高いんでしょう?』
『いえいえ、心配はご無用です。
ジャポネット橋本が相手会社との交渉に交渉を重ねましたので。
値切りに値切りましたよー?』
『まぁ本当ですか?』
『では、気になるお値段です。
な・ん・と!
お値段は約半額の……』
「は、半額の……?」
蒼はごくっと喉を鳴らした。
詩乃家のテレビの前でお茶をすすっている。
その眼はいたって真剣だ。
おい、だれかとめてやれ。
『六万八千円!
六万八千円ですよ!!』
「た、高っ!」
あぁ、よかった蒼はまともだった。
「欲しいしゃく!!!」
えーっと。
蒼はまともだったんだ。
そこまではいいんだ。
気がついたら誰かよく分からないけど語尾にしゃくをつけるやつがいたんだ。
何を言っているのか自分でも分からない。
「ど、どうしてここにいるんですか!?」
蒼の疑問はもっともだ。
「まぁまぁ、僕のことは気にするなしゃく!」
蒼は沈黙する。
窓の外が暗くなった。
いや、違うね。
太陽とは明らかに違う光が満ち溢れていた。
陽天楼、つまりネメシエルが美鶴にその砲門を向けていたのだ。
「わ、わかったしゃくよぉ!
わかったしゃくからそのレーザー充填をやめるしゃく蒼ォ!」
「…………」
更に光が増していく。
美鶴の額に汗が浮かぶ。
「おろしてくださいましゃく蒼様ァァ!!
いや、蒼姫!!
蒼お嬢様っ!!!」
・
(翌日、教室にて)
・
「……と、いうわけでそのペンダントが欲しいんしゃくよぉ!」
はぁ。
頭大丈夫か、こいつ。
「そのボッタクリイヤリングを買う金を貸して欲しいしゃくぅ とか
言うつもりなんじゃないだろうな?」
俺は手にもったジュース缶を傾けた。
中身はなし。
缶をゴミ箱に向かって投げる。
っしゃ、一発で入った。
「………………」ポッ
なんで赤面するんだ。
予想が当たってしまったわけか?
「買うなら普通、自分の金で買うだろ。
今いくらもってんだ?」
仁はまだ少し残っているぶどうジュースを口に放り込んだ。
あぁいいなぁ。
俺も少し多めのそっち買っておけばよかったよ。
「あ、あげないしゃくよ?」
美鶴はびくびくしながら俺達を見始めた。
あぁこれが日々街の不良にカツあげされている結果か。
べつにとらないから、安心しろと。
チャリーン、チャリーン……。
金が机の上でくるくる回っている。
銅色が二つ。
あと真ん中に穴が開いた黄金色が一つ。
「に、二十五円……」
「しゃくぅぅん、僕どうすれば……」
美鶴が頭を抱え机にぶつけたときだった。
「それなら良い方法が――」
「それなら良い方法があるぞ!!
受け取れ!!」
「で、俺の出番がでっぱ……」
シエラが出刃先輩の持っているチラシを掠め取った。
それで飛行機を折り、美鶴に飛ばした。
時間にしてそれは約三秒。
ヒュ~~~~、ブスッ。
美鶴のぱっちり開いた目に飛行機のとがった先が……。
「しゃぁあああああっ!!
ひこーきがおめめにしゃぁあああああ!!!!!」
「お、俺の 出刃ん が……」
(出番)
・
・
・
「デパートでのバイト?」
シエラの切り出したないように頭がついていけなくて
思わず聞き返してしまった。
「バイトって何しゃく?」
「そそ、デパートの缶売り場でやってるやつ。
時給がなんと二千円でっぱ!! だって」
シエラは華麗に美鶴の疑問をスルーして説明を続ける。
「お、俺の台詞がでっぱ……」
まぁ約一名後ろで嘆いている人がいるが。
「バイトって何しゃくぅぅ??」
とにかくだ。
「よかったな、美鶴!
一日五時間ほどやれば一週間で買えるようになるぞ?
内容はともかく」
美鶴の肩を叩いてああ解決したと一人気持ちよさそうな仁。
「だから、バイトって何しゃぁぁくぅぅ!?」
あぁ、もう五月蝿い。
「ちょっとした仕事をして、ちょっとしたお給料をもらうことでっぱ!!」
さっすがっす先輩。
面倒くさい役目を自ら引き受けてくれるっ。
「そうなんしゃくか!?
ありがとうしゃく出刃先輩!!」
「フッ、フフフ……。
フフフフフッ!!
フハハハハハハッ!!!!!」
やっとこさちゃんとした出番があったことに対しての喜びが
溢れんばかりに出刃先輩を光らせている。
いやたとえじゃなくて本当に光ってる。
・
(そんなこんなでバイト当日)
・
のんびりとヒゲを蓄えた店長さんが美鶴を迎えた。
「あぁ、君が灼場山くんだね?
いやぁ、たすかったよぉ~!
このバイト全然人気が無くてさぁ。
店員はうつ病とかですぐ仕事休んじゃってねぇ。
困ってたんだよねぇ。
いやぁ、時給は思い切って上げてみるもんだね、はっはっは!!」
「僕は難しい話はよく分からないしゃく!!」
「いや、こっちの話だからいいんだ。
じゃあ早速この着ぐるみを着てくれるかい?
「しゃく?」
・
・
・
「おいしいかにはいかがしゃくかぁ~?
おいしいかにしゃくよぉ~!!」
子供が泣き出した。
「ママー、アレ怖い……」
「うぇぇ……ぐすっ、ううっ……」
「助けてー!
おかーしゃぁーん!!」
oh……。
それを俺と一緒に隣で見ていたシエラが一言。
「大好評だね」
そうだね。
つづかない~
ありがとうございました。
ブログの方だとこの最後に画像が入っています。
まぁ見なくても大丈夫な画像ですよ。
てか見ないほうがいいですよ、やめておいたほうが良いですよ。
・・・念のためにURLを・・・。
http://unsungtwilight.blog63.fc2.com/blog-entry-288.html#end
ここですね。
最後の方です。
やめたほうがいいですよ、お目目腐りますよ。