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しゃくでば! Can I have a heart of familiy?

前回のあらすじ。

美鶴が吐いた卵からみつるが生まれました。

終わり


「で……。

 この子の預け先どうするんだ?」


俺の懸念ももっともだと思う。

どうするんだ、こいつ。

国籍とか細かいことはこの際考えないとして……。


「やっぱりパパと一緒の方がいいんじゃない?」


もう飽きたと、シエラが再びお弁当を頬張り始めた。


「パパねぇ……」


考えてみた。


パパ=美鶴


ママ=メイナの唐揚げ


「俺だったら三日で死にたくなる」


だろ?

仕方ないだろ?


「じゃあさ……」


シエラの提案。

なるほどな。


     ・

     ・

     ・


「はい、また家族が増えました!」


詩乃が手をパンと合わせてはしゃいだ。


「えとーみ、みつるです……」


うむ。

可愛いぞ。

それを見て蒼は


「か、かわいい……ですけど、何か不吉なシュルエットしてますね……。

 とりあえずそのシルクハットと紳士服着替えましょうか!」


「えっ、な、何するの……?」


「波音、よろしく」


詩乃さん、俺ですか、こういうのは。

やっぱり、俺なんですか。

俺じゃないと駄目なんですか。


「えー……」


「男同士でしょ!

 ほら!」


「波音さん、がんばって!」


しゃーねぇなぁ……。


「ほら、着替えるぞみつる」


     ・

     ・

     ・


その頃美鶴のテントでは。


「なんか……また僕は一人ぼっちになった気がするしゃくぅ……。

 誰も僕を美鶴ってよんでくれなくなったし……。

 あのガキのせいでますます僕の立場が無くなっていくしゃくぅ……。

 もう……もうどうすれば良いんしゃくかぁ……?」


大きくため息をついて涙をこぼす。

服にしみがつくのを恐れたのかその涙をあわててハンカチでぬぐう。

見ているだけで哀愁さそうなんとやら。


「美鶴……おい、美鶴……」


その美鶴を呼び止める声があった。


「で、出刃先輩しゃくっ!?」


なつかしの美鶴の尊敬する先輩の姿ありけり。


「俺の家に……来るでっぱ?」


よかったなぁ、よかったなぁ、美鶴。


「あぁ……あぁぁ……。

 出刃先輩大好きしゃくぅぅぅぅ!!」


寛大な出刃先輩の胸に飛び込もうとした。

だが現実は更に冷たい選択を美鶴に与えたのである。

そうそれは幻覚だったのだ。

あまりにもさびしかった美鶴の心が与えた一筋の

触れてしまうと消える希望だったのだ。


「うぅぅ……」


悔しさのあまり地面を爪で引っかく。


「しゃぁぁぁぁぁっ!!」


顔を涙でぐしゃぐしゃにしながら少年はある所へ駆け出した。


     ・

     ・

     ・


再び詩乃家。


「えっ、みつる君は顎とメイナ姉様の唐揚げが

 化学反応して産まれたんですか?」


「その通りだ。

 実際に見た俺が言うんだから間違いない」


みつるの頭をなでながら答える。


「はのん兄ちゃん、くすぐったいよ」


かわいいなぁ、弟欲しいなぁ。


「私も見たしね。

 なんともまぁ奇妙な気分だよ、うん」


「かわいいな、やっぱり。 

 俺弟欲しいなぁ」


なんでこんなに可愛いんだろう。

パパが顎だとは到底思えない。


「え、何波音?

 弟欲しいの?

 ならさ、私とがんばっちゃう?」


詩乃が自分のシャツの胸元を少し広げて……。

っておい。

ほっぺたが熱くなった。

…………。


「……それじゃ子供になっちまうだろうが」


「だよねー、あははは」


そういう系のねたは苦手だからやめてけろ。


「?

 詩乃姉様と、波音さんが何の話をしているのかさっぱり分かりませんが

 みつる君はかわいそうに……。

 でも大丈夫、私達がそんなつらい過去に負けないぐらいの素敵な思い出。

 これから作ってあげますよ!」


蒼、目が星になってるぞ。

そんなに弟が欲しかったのか。


「蒼姉ちゃん……」


がしっっ!

変な家族愛がここに出来上がった。

わけあり姉弟か。


「にぎやかな家になったねぇ……。

 で、波音私とがんばらないの?」


「がんばらねーからやめろって馬鹿」


     ・

     ・

     ・


ピンポーン♪

とある町のとある家。

といっても大塔高校がある市と変わる事はないぞ。

そこのチャイムがなった。


「はいー?」


ぱたぱたと手を拭きながらドアを開けるぱっと見て三十代ちょい過ぎの女性。


「美鶴!?」


「お義母さぁん、助けてくれしゃくぅ……」


「まぁまぁ、こんなに痩せて……。

 ロクなもの食べてないんでしょう!? 

 とにかく上がりなさい!」


「しゃくぅ……」


えっ、なんだこの展開は。


     ・

     ・

     ・


「じゃぐじゃぐじゃぐじゃぐ(ガツガツガツ)

 おぉいしぃしゃくっ!!

 こんなにおいしい物生まれてはじめて食べた気がするしゃくぅ♪」


もりもりと次から次へと料理を平らげていく美鶴。

涙も止まらない。

嬉しくて嬉しくて止まらないのだろう。


「美鶴……」


「しゃく?」


「お母さんね、思ったの。

 ただ厳しくしてちゃ駄目なんだって。

 昔の私はお前にそのコンプレックスの顔に負けないぐらい偉い人になって……。

 みんなに尊敬されるような人になって……。

 お前に幸せになって欲しかったの。

 だからあんなに勉強とかにしつこくこだわってた……。

 でもそれはお前を傷つけるだけで、結局は家出させてしまった……。

 こんなこと私もお前も望んでいなかった……。

 そうでしょう?」


「しゃくぅ……」


重い……。

俺の……実況が入る隙がない……。

重いというか深い……。


「お義母さん……」


「美鶴……」


「しゃくぅぅぅっ!!!」


ガッシ!!


「お前と私は知はつながっていないけど……。

 それでもお前は私の息子だからね……」


家族愛っていいもんだなぁ、おいおい。

泣けてきやがったぜ、(*´∀`)。






               つづくよっ!多分

家族って本当にいいものですね。

今おかれている状況を再認識して

そう思いました。


うんうん。

いいもんだ。

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