しゃくでば! 美鶴+メイナのからあげ=みつる!!
お昼休みのことだ。
「でさー、その時仁がさぁ……」
楽しくくっちゃべっていた時だ。
俺の机を掴む手があった。
「ひぃっ!?」
あまりにその演出が不気味だったせいで悲鳴を上げる俺。
「ん?
ゾンビか?」
お弁当を机の上においてシエラが覗き込んだ。
「ぼ……ヴぉくしゃくよ……ひゅー……ひゅー……」
美鶴だった。
ただでさえ細い体はさらに細くなりもう死にそうである。
別に死んでもいいんだけどね。
「ど……どうしたの?
今にも死にそうじゃない!!」
メイナが駆け寄る。
あらやさしい。
「お……おなかがすいたしゃくぅぅ……」
なんだ空腹なだけか。
心配して損した。
「大変!!
ホラ、今朝作った試作品、からあげよ!!!」
口に含んでいた米を吐き出した。
「げほっげほっ……」
というかむせた。
俺とシエラがごほごほと。
お前んな危険なもの作ってたのかっ!?
どうでもいいが最近メイナは料理の腕が上達した。
なんと爆発するタイミングが食べてから約十秒後になったのである。
「わーいしゃくっ♪
この際なんでもいいしゃくっ♪
いただきまーしゅしゃきゅっ☆むふっ」
「あっ……」
た、食べた……。
食べやがったよ……。
「……むっ!?
かっ、体が……というか顎が……あついじゃぐぅぅっ!!
あっ……あぁあああっ!!!」
ボコボコボコッ!!
「いやぁあああっ!!」
なんと美鶴の顎が皮膚丸ごと沸騰した水みたいになっていたのだ。
見ている俺がもうわけわかめ。
女子が悲鳴を上げている。
メイナ何をしたんだ?
「うぉべらっ!!」
そして大きく体を曲げた美鶴は口から何かを射出した。
白い……丸い……?
卵?
粘液と一緒に……卵?
「な、なんだこれ……。
何の卵だ――うわっ!?」
水を打ったように静かなクラスの中俺は勇気をだして卵に近寄った。
と思ったら跳ね飛ばされた。
美鶴に。
「あっー!!
卵しゃくぅーっ♪
僕の卵しゃくぅーっ!!」
スリスリ。
やめろその顔で目を閉じながらほおずりするな。
ってか、よくも俺を突き飛ばしてくれたな……?
「この卵ちゃんは僕が育てるしゃくよぉ!!
むふふふっしゃくぅ……」
……。
「とりあえずさっき突き飛ばしたお返しさせろ」
「へ?しゃく」
パンチ。
美鶴は二メートルちょい吹っ飛んで壁にへばりついた。
「姉さん……?
姉さーん、おーい……」
シエラがメイナの前で手をひらひらさせるが
あまりにもショックだったのかメイナは反応しない。
ぼーぜん状態。
無理もないか……。
・
・
・
(翌日)
「波音!!波音!!
もうすぐ生まれそうしゃくよぉっ!!」
あー?
朝一番からこいつは何言ってんだか。
頭いかれたのか?
「ってか、ソコで温めんなぁああああああああ!!!」
ソコ=大事なところ。
まぁいわずがもがな。
「かわいそうだろ!!
出せよ!!!」
どーりで膨らみすぎだと思ったぜ。
どんだけでけぇんだとか思った。
シモネタはここまでにしとくぞ。
え、えっちなのはよくないからな。
「あぁん、そんなトコ触っちゃ駄目しゃ……」
「………………」
「ごめんなさいしゃく……」
・
・
・
おや?
卵の様子が……。
動いてる……。
「ぷはぁ!
あー、苦しかった……」
…………ん。
今晩のおかずはなんだっけなぁ。
シエラがつくったバルチャニムスかな?
「波音、帰ってきてー!」
シエラ、ゆするな。
もう俺は駄目かもしれないんだ。
何がなんだか。
産まれてすぐしゃべったし。
「で……僕のパパとママは……?」
卵から出てきた人間……だろうか?
小さな……そうだな、四歳ほどの子供がきょろきょろと周りを見渡す。
そして美鶴と目があう。
「…………しゃく……」
「……………………」
しばしの沈黙。
「本当のパパとママはどこ……?」
「僕しゃk――」
「きゃぁああああっ!!
かわいぃいいいいっ!!!」
美鶴は女子郡に押しのけられ人ごみの中に埋もれた。
「うぇ?
あ、ちょっと!!
この下裸なんだけど……」
そして女子らにもみくちゃにされる美鶴の髪形を持った可愛い小児。
……ふむ。
もういいや、全部受け入れたわ。
「なぁ、名前何が良いと思う?」
「えっ、それ僕に聞いちゃうの?
……そうだな……『みつる』でいいんじゃないの?」
「みつるくーん!!
こっち向いてっ!!」
「みつるちゃーん、こっちおいでっ!!!」
「ほら、みつる君、高い高い!!」
あっという間にクラスの人気者か。
そして俺の隣でそれを見てわなわなと拳を振るわせる人物に声をかけた。
「もう俺もあいつ『みつる』でお前『顎』って呼ぶわ」
「みつるは僕しゃくぅぅぅぅっ!!!!」
しゃぁあああああああああああああああああああ……。
END つづくかもー
まさかの新キャラ。
びっくりですよね。