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しゃくでば! こんぱくとでぃすく

「波音、波音!!」


つんつんと後ろから突付いてくる男。

正直言って毎回の事ながら感情が高ぶるのは紛れもない事実。

触って欲しくない。


「突付くなって!

 で、何?」


「付き合ってほしいしゃく♪」


……は?

…………は?

………………はぁ?


「………………」


「んもぅ♪違うしゃくよぉん♪

 冗談しゃくぅぅん♪」


こいつに冗談を言われるとバカにされた気になる。

というかバカにされてる。

絶対そうだ。


「ちょっと殴らせろ」


「しゃく?」


めきっ


   ・

   ・

   ・


「なんだよ、買い物かよ……。

 それならそうと早く言えよな。

 てっきり……まったく……」


「ひゃふぅ……」


美鶴が痛むであろう赤くはれたほっぺたを撫でながら鳴く。

バカにした代償だ。


「で、何買うんだ?」


田舎の電気街は都会に比べでかい店が多数並ぶことが多い。

デカイ分、距離が小さいからすぐ出てしまうしなんていっても品数が少ない。

人も少ない。

人ごみが嫌いな俺には良い場所だと思う。


「しぃでぃってのが買って見たいしゃく!!」


しぃでぃ――CD?

は?

コンパクトディスク?


「今の時代は携帯小型オーディオプレイヤーじゃね?」


「何しゃく?

 それ?」


ググレ、カス。


「あーもうお前と話すのが疲れる……。

 まぁCDはいいとして誰のCDなんだ?」


「今流行のあのアイドルしゃくよぉん♪」


あまりテレビ見ないから分からん。

聞いたことがあるのはA○B48ぐらいである。

にしてもテンション高いな。

うざさに磨きがかかっている。


「あぁ~?

 あー、A○B48か?」


多分これでFA。

ファイナルアンサーだろ。


「ちっがうしゃくよぉん!!

 もう!それいつの時代のアイドルしゃくかぁ?」


なう。

現在です。

現在なう。


「波音は流行に疎いしゃくね?

 しゃくふふふぅ~☆こ・た・えはぁ☆

 ミニ○ニしゃくよぉっ♪」


…………。


「ちょっとニ、三発殴らせろ」


バキッ(ぐー)

パァン(パー)

グサッ(ちょき)


「んきゃぁあぁぁぁっ!!

 目がぁっ!!

 目がしゃくぅぅぅぅぅ!!!!」


「しまった、第二関節まで行っちまった。

 まーいいや、美鶴だし」


   ・

   ・

   ・


ふと疑問。

こいつ金もってるのか?

母ちゃんがいるってのは聞いたことがないんだが……。


「てか、お前金持ってるわけ?」


腰に手を当て頭を撫でて。

キラーンと歯を光らせる。

そのしぐさの一つ一つに俺の怒りゲージがまた貯まり始める。  


「当然しゃくっ!!

 この前お義母さんから一万円もらったんしゃくよぉ~♪」


いるのかー母ちゃん。


「そらぁ裕福なこって……」


「あ、しぃでぃ屋さんについたしゃくっ!!

 ミニ○ニどこしゃく~!?」


「自分で探せ……」


早足で俺の視界から早速消えた美鶴に向かって呟く。


「もう俺帰っていいか?」


   ・

   ・

   ・


見事迷子になりました(美鶴が)


「美鶴ー!美鶴!!

 くそっ、あいつどこ行きやがった」


きょろきょろ辺りを見渡す。

高い本棚のおかげで見えないしあのシルクハットの影も見えない。

あいつの影を俺が見逃すはずが……。

ん?

アダルトコーナー?

…………………。

ちらっとだけ覗いてみるか。

絶対にいる気がする。


「お客さん、困ります!

 ココは十八歳未満の方は立ち入り禁止となっておりまして――」


「うるさいしゃくっ!!!

 僕の精神年齢は既に十八歳を超えてじゃぐっ!!」


後ろからとび蹴りをかました。

困惑している店員さんにごめんなさいしないとね。


「ども、お騒がせしました」


倒れている美鶴の首根っこを掴み引きずりその場を後にした。


   ・

   ・

   ・


「ったく、このダラズがっ!!

 もうさっさとそのミニ○ニのCDレジに持ってけ!!」


隅っこに正座させて説教開始。


「常識の範囲で……どーたらこーたら。

 分かったか?

 分かったら早く帰るぞ。

 かえってゲームしたいし」


「わかったしゃくよぉ……」


   ・

   ・

   ・


「一二六〇円になりまーす」


「フッ、コレをくれてやるしゃく。

 一万円しゃくよぉ?」


「(なにこいつうぜぇ)はい、いちま……って!!お客さん!!

 コレ千円ですよ?」


なにやらもめてるなーと思って読書コーナーから戻ってきたら……。

また美鶴か。


「しゃくっ!?

 そんなはずないしゃくっ!!

 福沢が千円で野口が一万円のはずしゃくっ!!」


その知識はどこから来たのやら。

泉のように間違った知識が湧き出してるな。


「逆……なんですけど……。

 で、残りの二百六十円を……」


ぴくぴくと頬を引きつらせなんとか笑顔の対応を維持している店員さんは正直すごいと思う。

忍耐力が人よりも強いのだろうか。


「はぁ?

 あるわけないしゃく。

 コレが一万円だと思ったしゃくから」


「(何をえらそうにいってんだ、この顎……)

 ではこのCDは戻しておきますね?」


美鶴の手からCDをもぎ取りもとの場所へ戻そうとしている。

あきらめろ、美鶴。


「嫌しゃくぅっ!!

 真○たんは僕のモノしゃくっ!」


バカ野朗!

何やってんだ!!

美鶴は店員の手からCDを奪ったかと思うと

次の瞬間ダッシュで入り口へと走り出したのだ。


「あっ!!

 ちょ……ま、万引きだー!!」


こんな正々堂々とした万引きが他にあろうか。

でも一つ。

万引きは犯罪です。

絶対にしたらあきません。


「うわ……俺もう帰ろう……」


   ・

   ・

   ・


「ねー、波音。

 なんであの顎テレビに出てるの?」


晩御飯の時間に流れたニュースに美鶴の顔が映る。

モザイクなどがかかっているが顎のおかげですべては台無しである。

もう少しがんばれよ。


『なお、少年Sは

 ぼくはまりたんのためにやったんしゃく。

 何も悪くないしゃ……ぷっ!

 あ、し、失礼しました』


「今のは仕方ないよな……」






               END つづくかもしれませんね。

ども、ありがとうございました。

ね。

美鶴さんったらあらあら・・・ですよね。

今頃かよってね。


それでは、ありがとうございました。

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