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しゃくでば! 家族っていいね、いいねっ!!

「波音~!

 いっしょに帰ろうしゃくー♪」


だりい。


「だが断る。

 悪いな」


鞄を持ち上げさっさと帰る――もとい逃げる準備をする俺。

その俺の後ろでなにやら金属音が……。


「?」


なんだ、なんかどこからか悲しい音楽が……。


『あーああぁーるーるーるー♪』


「しゃくしゃくしゃくしゃく……」


な、泣いてる……。

泣いてるぞ、美鶴が。

仕方ねェな。


「だー!分かった、分かった。

 一緒に帰るから教室の隅で哀愁誘う曲流しながら体操座りで落ち込むなって!

 ようは一緒に帰ればいいんだろう?

 分かった、帰る、帰るよ」


「ホントしゃくっ!?

 わーいしゃくぅ~♪

 わーいしゃくぅっ☆」


うぜぇ……。


   ・

   ・

   ・


「…………」


視線を感じる。


「…………しゃく………」


「…………」


「……しゃくっ……♪」


「な、何見てんだよ……」


熱い(暑い?)視線に耐えることが出来ずにとうとう話しかけてしまう俺。

なんと哀れな俺。


「うふっ♪

 しゃくっ♪」


ぞくっとした。

近年稀に見るぞくっとくるレベルMAXだ。


「ひぃぃっ!」


声も漏れた。

これは仕方ないだろう。


「波音が隣にいてくれるだけでし・あ・わ・せしゃくっ☆」


帰りたい!!

マジで帰りたい!!

ダッシュさせろ、ダッシュで帰らさせろ!!

かえってあいつらの顔が拝みたい!!


   ・

   ・

   ・


「おっ♪俺の家こっちだからな!じぁなー♪」


やった!!

帰れる!!

この拷問的時間からようやく開放されるっ!!

きゃっほうぅ!!


がしっ。


「なん……だと?」


美鶴が俺の……。

俺の制服を掴んで……る……。

うわああっ。


「僕の家に来るしゃくっ!!」


「は?何言ってんだ。

 もう夕方だし宿題もしなきゃいk」


『るーるーるーあーあーああー♪』


「わかったわかった……」


何、俺何か悪いことしましたか神様。

昨日柿ピーのピリ辛の方のヤツだけくってピーナッツだけ残して

シエラ半泣きにさせたからか?


   ・

   ・

   ・


「ついたしゃくっ!!」


あーうん。

なるほど。

河原に黄色い色が剥げ落ちたテントがそこにあった。

中をちらっと覗くと


「くさっ!

 コノヘヤニオウヨ!?」


美鶴汁の臭いだ。

美鶴汁って説明しましたよね、そういえば。

したっけ?

してないか。

仕方ない、説明しようかな。

美鶴汁ってのはな、あれだ。

分かるだろ?

何か美鶴が興奮すると顎からにゅるにゅると噴出される謎の液体Xだ。

分かる?

それの臭いがするんだ、このテント。

つまり美鶴がこのテントで興奮してたってことに……。


「ってかなんだこのエロ本の山は……」


そこら辺に捨ててある昔のエロ本の山がそこにあった。

どれもずいぶんぬれて……ん?


「そうか、美鶴汁は読みどおりこのためか。

 ッておい、美鶴。

 なんで布団二つも引いてるんだよ」


「今日は二人で泊まるしゃくっ♪」


は?

え……。


「い、いやだぁあああっ!!!!」


俺は走った。

ひたすら走った。

待つしゃくっ!!とか聞えてきたけど無視した!

なんだよあいつ。

だんだんホモになってきてないか?


「友達ってのはお泊り会とかするもんじゃないんしゃくかぁあぁああ!?」


   ・

   ・

   ・


家のドアを思いっきりキックして転がり込んだ。

外れたドアを立て直して鍵をかける。


「はぁ……はぁ……」


夏というのもあってか体中から汗が。


「あ、お帰りー波音。

 どしたの?

 汗だくだくでぜぇぜぇ言ってるし」


し、シエラだ。

我が家だ!


「お……おぉ……」


我が家だ。

家族だ……みんながいる……。


「やっぱり我が家は最高だよぅ!!

 うぇーーん!!」


涙が出てきた。

シエラに抱きついた。


「ふぇっ!?

 ホント何があったの!?

 と、とりあえずよーしよーし……」


   ・

   ・

   ・


河原に焚き火の音が響く。


「今日も一人で焼き魚しゃくか……。

 はぁ……」


美鶴は魚の内臓を取らずにかじりついた。

ただ取り方が分からないかららしい。


「今日の魚はしょっぱいしゃくぅ……。

 な、泣いてなんか……っ!

 泣いてなんかいないんしゃくからねっ!!」


『あーあーあぁあ~♪

 るーるるーるるーるーー♪』






               つづくかも~

美鶴っ!

がんばれっ(ぐっ


ありがとうございました。

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