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しゃくでば! 羞恥心 ~鬼灯家の場合~

『太郎さん……わたし……妊娠しちゃってるの……』


『嘘よっ!!

 このクソ尼!!いつ私の太郎さんを……』


こういうのは俺苦手なんだがな……。

ナレーションとして一応の役目だけは果たしておかないと。


「やっぱりローマの夜よりこういうドロドロした昼ドラがいいですよねー」


蒼がテレビをつつきながら隣にいる詩乃に笑顔で振り向く。


「あぁ、イケメンだけじゃさっぱり売れないからなー」


詩乃はポッキー片手にマンガを読破中。

周りにベルリンの壁のようにマンガがつまれている。


「というか詩乃姉様、この部屋冷房効いてなくないですか……?」


「そういえば何か暑いなぁって思ってたんだよね。

 壊れてんのかなぁ……?」


そして詩乃はヴィンヴィン怪しい音を上げているエアコンの元へと近づいた。

しかし……


「あづいじゃぐぅ~~……」


もうこの語尾で分かるだろう。

そう我らが美鶴である。


「わわっ!!どうしてここにいるんですか!?」


「おっと、ストップ蒼落ち着け。

 ネメシエルの砲台をこの部屋に向けるのだけはやめろ」


「――ッ!

 うっかりしてました……」


窓の外には『超空要塞戦艦ネメシエル』の莫大な数の砲門がこちらをにらみつけていた。

蒼……お前……もしかして力制御できてないのか?

そんなことはどうでもいいとして

蒼の隣にいきなりテレポーテーションしてきたかのように美鶴がいた。


「どうしてって前回僕の出番がなかったからしゃく!!

 全然なかったからしゃく!!」


「もしかして、前回と全然かけました?」


「違うしゃくよ!!もう!!

 それはさておき、もう僕は決めたんしゃく。

 無理にでも登場して出番を増やしてやるしゃく!!」


美鶴は唾を飛ばして猛主張。

顔がウザイ。


「こんな出番に必死な主人公見たことないですよ……」


「出て行けって言っても無理しゃくょっ!!

 意地でも出て行かないしゃくっ!!」


ぷんぷんしゃくっとか言いながらドスンと部屋の真ん中に胡坐をかいて座る顎。


「あー……こりゃ修理屋呼ばないとだめかなぁ……。

 蒼ー、電話しといてくれる?」


「あ、はーい」


とことこと電話のところに歩いていく。

その後ろに


「大体この作品の主人公は僕なんしゃくよ?

 僕を出さないほうがそもそもこの作品に対する冒涜だとおもうんしゃくよ!

 あとお前らガードが固すぎなんしゃく!!

 少しはパンチラだのブラだの読者サービスを……」


「ちょっと!!」「しゃくっ!?」


「電話するから静かにしていてくれませんか?」


「あ……はいしゃく」


あまりの迫力に押し黙ってしまった。

珍しいな。


「あ、すいません。

 えあーこんでんしょな?の修理を頼みたいんですが……」


エアーコンディショナーっていえないんだな、蒼。

まぁ仕方ないっちゃ仕方ないか。

戦艦として生きてきたんだもんな。(ほろり)


「…………………………」


「はい、はい、分かりました」


「…………………しゃくっ……………」


「あぁ、それで構わないです。

 はい、ではお願いしまーす」


ガチャッ。

蒼が電話機を静かにおいた瞬間再び美鶴が口をしゃくしゃくと開いた。


「終わったしゃく?

 なら続きを――」


意気揚々としている美鶴を蹴り上げるかのようにしゃべろうとする美鶴を無視して

蒼はポッキーをかじっている詩乃の元へ全速前進。


「詩乃姉様、修理の人が来るまで一時間はかかるそうですよー…」


「あちゃー困ったな。

 これは最終兵器の扇風機を使うしかないみたいだね」


「あ、私取って来ますね♪」


「え?いいの?

 じゃあよろしく頼むわ。

 場所は……」


「な、何か気まずくなってきたしゃくぅ……。

 で、でも!

 僕はそれでもめげないしゃくよぉ!!」


そして鼻歌を歌っている蒼の元へと駆けた。


     ・

     ・

     ・


「えーっと、この下の……」


「そもそも主人公というものは作品の中で中心的な存在で……」


「あ!あった!」


ごそごそしている蒼に後ろから話しかけているが華麗にスルーされている。


「毎回必ず登場していなくてはいけないものなんしゃくよ!」


それはちょっと違うんじゃなかろうか。


「ちょっと!

 そこ邪魔です!!」


蒼が右手を鉄砲の形にして美鶴に向けると壁に小さな穴を開けて

赤いレーザーが美鶴の額をぶち抜いた。


「じゃがっ!!」


でこからぴゅーと血を吹いてどさっと倒れる。


「まったくもうッ……」


そして扇風機をもって押入れを後にする蒼を見て

美鶴は額にバッテンの絆創膏を貼りながら考えた。


「なんだか……すごいむなしいし恥ずかしいし気まずくなってきたしゃくぅ……」


そして脳裏によみがえる彼女の言葉。


『ちょっと!!

 そこ邪魔です!!』


「うぅ……うぅぅう………」






しゃぁぁぁああああああああああ………


たったったったっ(走り去る音)






               ちゅぢゅきゅかも~

別に続きません(キリッ


ご愛読感謝感謝です。

ありがとうございました。

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