第9話:「犯人は私です」
「ただいま帰還しましたー」
俺はねねを連れてギルドにもどった。
「おかえりなさいミズキさん!あら、そちらの少女は......」
「ダンジョンの最下層で見つけたんです」
ギルドのお姉さんが少し困惑した表情だったが、
まぁそれはそうだろう。
普通、ダンジョンの最下層に人間、
しかも若い女性なんかいない。
「少しギルマスと話がしたいんですが......」
「わかりました!ではこちらへ」
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「コンッ、コンッ、コンッ」
「入っていいぞ」
「ギルマス、話したいことがあるんだ!」
「おぉ、ミズキか」
「ダンジョンに行ったら、ねねがいたんだ!」
「わかったから、まぁ少し落ち着け」
俺は部屋の椅子に腰をかけ、
心を落ち着かせようと深呼吸をした。
「しかし、ねねを見つけたってどういうことだ?」
「俺が前話してた、死んでるはずの彼女だよ!」
横に座っているねねに指をさしながらそういうと、
ギルマスが少し驚いた顔をした。
「彼女って、『あっち』での彼女か?」
「あぁ。なのに『こっち』にいるんだよ」
ちなみに『あっち』とか『こっち』っていうのは
『元の世界』と、今いる『異世界』のことを
指している。
なぜギルマスが『元の世界』を知ってるかって?
実はギルマスも異世界転移者らしい。
しかも同じ日本人。
だからギルマスの本名は「上田さん」らしい。
めっちゃ普通。
「死んだ時に俺たちみたいに転移させられたんじゃないか?」
俺も最初はそう思ったんだが、
それはおそらく間違っている。
もし仮に転移されたなら、体も異世界に移されてる
はずなのに、ねねの場合体がずっと『元の世界』に
残っていた。
じゃあ『転移』じゃないくて、『転生』か?
いや、そうだとしたら成長スピードが早すぎるし、
前世とあまりにも類似点が多すぎる。
つまり、ねねは『異世界転移者』となる。
『そんな気になるなら私が教えてあげよっか?』
うわびっくりした!
このクソ女神、急に喋りやがって......
せめてもう少し小さい声で言ってくれても......
「ん?今なんて言った?」
『だから、私が教えてあげるって-』
「ラピスお前、ねねのこと知ってるのか!?」
「おいミヅキ、お前誰と話してるんだ」
「ギルマスはちょっと黙ってて!」
「は、はい......」
ラピスが知ってるということは、転生とか転移を
担当するラピスみたいな女神が犯人ってことか?
しかし、いまだに仕組みがわからない。
魂だけ引き抜いたのか?
なぜダンジョンの最下層にねねを閉じ込めた?
『あ、言っとくけど犯人私よ?』
「は??????」




