第7話:「白黒の世界」
俺が5歳だった時、ある少女に出会った。
「わぁー!奏くんすごーい!」
「だろ?俺よりサッカー上手いやつなんかいないんだ!俺が一番だ!」
その少女の名は、月下ねね。
俺たちは、近所の公園で俺が遊んでいた時に
始めてて出会い、それから幼稚園、小学校、
中学校、高校とずっと同じだった。
家もすごく近く、毎日一緒に登下校していた。
ねねはすごい明るくて、優しくて、俺みたいな
隠キャとなぜ関わっているかが不思議だった。
そして中3の2学期、体育祭が終わった後の
帰り道で、俺はねねに告白された。
正直、最初はねねのことをすごく疑って、
罰ゲームなんじゃないかと思った。
しかし、輝いていて、強い意志を持った彼女の
目を見て、俺はその告白を受け入れた。
ねねと付き合ってからは、
毎日がすごく充実していた。
学校では隠キャな俺なのに毎日話しかけてくれた。
そのおかげで、少しだけだがクラスメイトとも話す ようになり、少数ではあったが友達もできた。
それに、初めて手を繋いだ時、ハグをした時に
感じた幸福感と安心感は、人生で一番大きかった。
ねねがいたから、
白黒だった俺の世界に色がついた。
しかし、そんな世界はすぐに崩れていった。
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高校1年生の冬、俺たちはクリスマスに
デートを予定していた。
少し遠出の予定だったため、ねねとは駅で合流
することにした。
「来ないな......」
集合時間を30分すぎても、ねねは来なかった。
1時間後も来なかった。
流石に心配になった俺は、ねねに電話をかけて
みたが、応答はなかった。
何回も何回もかけたが、それでも応答はない。
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集合時間か1時間半が経った頃、俺に一本の電話
がかかってきた。
ねねからだ。
「ねね!大丈夫か?」
『たす、けて......』
ねねの声は震え、
今にも消えてしまいそうに聞こえた。
「どこにいる?今すぐそっちに向かう」
『いつ、もの......』
俺はその言葉をすぐに理解し、全速力で向かった。
「ねねに何があったんだ?」
「急に病気で倒れたのか?」
ねねのことが心配だったせいか、
走っていた時の記憶は何もない。
ただ、早くねねのところに行って、ねねを助ける。
それしか考えていなかった。
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「ついた......」
俺が向かったのは、ねねと初めて出会った公園。
俺たちは学校終わり、
毎日ここにきて一緒の時間を過ごしていた。
「ねね!」
俺は必死にねねを探したが、
どこにも見当たらなかった。
いつも乗っているブランコにも、
初めてキスをした遊具の土管の中にも。
「いないな、違う場所に行こう」
そう思い、公園を出ようとしたところ、
視界の端に真っ赤なものが見えた気がした。
本能的に振り返ると、そこには『あの子』がいた。
「おい、嘘だろ......」
体中血だらけになり、周りの血の海になっていた。
そして、体の横には真っ赤に染まったナイフが
置いてあった。
俺は『その子』に駆け寄り、手を握った。
脈拍がない。
俺の手も真っ赤に染まっていく。
そして、俺は叫んだ。
「ねね!!!」
俺の世界から、色が消えていった。
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