第1話:「女神さま?」
俺の名前は水樹湊、高校2年生だ。
俺は今、青春をたくさんの仲間と謳歌している。
文化祭ではクラスの司令塔となり行動して、
とってもとっても可愛い彼女もできた。
と、言いたいところだが、現実はそう甘くない。
本当のことを言うと、俺には友達なんてものは
1人もいないし、文化祭は教室の隅っこでずっと
ゲームをしていた。
もちろん彼女なんてものはまた遥か遠くの夢。
まぁ要するにクソ雑魚ぼっち陰キャということだ。
これからも俺はずっとクソ雑魚ぼっち陰キャで
あり続けるだろう。
学校を卒業しても就職しても何も面白味のない、
ごく普通の職について恋人や家庭もできずに
1人で死んでいく。
そんな人生が何の苦もなく想像できる。
けど、やっぱりそういったつまらない人生は嫌だ。
どこかで自分が変わらないといけない。
死ぬ前にどんな小さなことでもいいから、
何かしらの良い影響を与えてみたい。
俺はそんなモットーを掲げて生きている。
そんなことできるはずがないのに。
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季節は巡り、極寒の冬になった。
今年は歴史的な大寒波が到来し、
全国各地で雪が積もっているらしい。
実際、俺が住んでいるあたりも昨日雪が降って、
外はまるで銀世界だ。
家でやることがなく暇だった俺は、
気分転換に少し散歩をすることにした。
「寒い...」
皮膚が痛くなるぐらいに寒い。
鼻はすでに真っ赤なお鼻のトナカイさん状態だ。
小さい頃冷凍庫に自分で入って危うく凍死しそうになったことを思い出す。
そんなどうでもいい回想をしながら、
俺は適当に散歩していた。
「...」
近所の公園で小学生ぐらいの子が雪合戦をしていた。
友達と一緒に。
「俺にも友達がいたらなー」
高校生が小学生に思うことじゃないかも
しれないが、正直羨ましかった。
あんなにたくさんの友達がいて、
一緒に「楽しい」を共有できる。
そんなこと、クソ雑魚ぼっち陰キャの俺には、
絶対真似できない。
「あ!」
遊んでいた子供の1人が大きな声を上げると同時に、
空を見上げた。
俺もそれに釣られて空を見上げると、
水色のニット帽があった。
どうやら風で吹き飛ばされてしまったらしい。
そして、その帽子の落下地点を見極めながら、
帽子の持ち主であろう子が、帽子を追っていった。
俺のすぐ横を通り過ぎていったから、
俺は自然とその子を目で追った。
「あ...」
その子は道路に飛び出していった。
そして、その道路には一台の車が走っていた。
「危ない!」
俺は反射的に体を動かした。
このままだとあの子が車に轢かれてしまう。
車はもう10メートルと言うとこまで来ている。
静かな冬の日に鳴り響く、爆音のクラクション。
こんな近くでクラクションを聞いたのは初めだ。
俺は思いっきり手を伸ばし、
帽子の子を道路の奥に突き飛ばした。
手にはあの水色のニット帽を持っていたから、
帽子は回収できたのだろう。
よかった...
「ドンッ」
俺は肋骨付近に強い打撃を受け、高く宙を舞った。
「グシャッ」
この音を境に、俺の意識が途絶えた。
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「ハッ!」
目を覚ましたら、俺は真っ白い空間にいた。
周りには何にもなくて、ただただ白いだけ。
「まさか、ここが天国?」
なるほど。
俺はとっても納得した。
おそらく、公園の子を助けたときに車に
跳ねられて死んだんだろう。
「んで、どうすればいいんだ?」
この空間に来てから、体感30分ほど立ったが、
何も起きない。
「あ、ごめーん!待たせちゃったよね?」
背後から若い女性の声がした。
めっちゃびっくりした。
そして俺は、声がした方向に体を向ける。
「あのー、どちら様ですか?」
「見てわからない?私は女神よ」
そこにいたのは何とも美しい女性だった。
白と金、そして紺の色で彩られた美しいドレスを
身にまとっていた。
「女神さん、質問があるんですけど」
「なになに?この私に答えれないものはないわ!」
「ここってどこですか?」
「ここはどこでもない、無の空間よ」
はい?
『無』だったらこの空間も存在しないはずだと思うんだが...
「『無』って、どういうこと?」
「私もよくわかんない」
さっき答えられない質問はない、って言ってた気がするんだが。
まぁなかったことにしとこう。
「そういえば、何で俺はここにいるんですか?死んだから天国にでも行ってのんびり死人生活でも送るかとおもったんですけど」
「あー、そういえば言ってなかったわね」
女神が間抜けな顔をして言った。
「あなたには異世界に転生してもらうの」
「...」
「はい???」
「では、いってらっしゃーい!」
こんにちは、もしくはこんばんは。
はるてぃーです。
今回は久しぶりの新シリーズです!
執筆するのめっちゃむずかったです...
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それでは、ばいばい!




