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07:『黄金のリンゴを収穫してみた』


メンバー

・さかのん:本作の主人公、異世界に来てユーチューバーを始めた唯の人間。

・ノア:獣人。

・アイ:人工知能、だいたいネットの中にいる。


以上のことが頭に入っていたら大丈夫です。



「今日はねー、黄金のリンゴがあるって噂されてる街に本当に黄金のリンゴがあるのか探してみるよ!」


ー【黄金のリンゴ見つけてどうするんださかのん…】

ー【食うのか…?食うのか…?】

ー【見た目が黄金なだけの食べられるリンゴなのか、本当に黄金でできたリンゴなのか…】

ー【どくスライム食べようとしたさかのんなら本物の純金のリンゴさえ食べそうで怖いな】

ー【普段のさかのんの題名だったら黄金のリンゴを見つけて食べてみた、とかだもんな…】

ー【いつもと違うのが逆に怖い…】


私が今いる街、ルプアはリンゴの産地で有名な街なんだけど、他にも黄金に輝くリンゴが実る木がある街としても風の噂で言われている。

その風の噂によると、と言うか冒険者や商人、地域住民などへの地道な聞き込み調査によると、この街の1番高い山には黄金の木があって、その木には黄金のリンゴの実がなるんだとか。


「でもこれは噂でしかないから、本当なのか確認しに行ってみた!」


キャンピングカーで、黄金の木があるとされる山を目指して崖を登る。

普通の車なら絶対に崖なんて登れないけど、私の車はレベルアップしたおかげで道以外も運転できるようになったから全然余裕。

山って言っても広いので無闇矢鱈に運転するのではなく、アイの指示に従って進んでいく。

カーナビや地図を使うのと違って、アイの指示は絶対に間違いがないからストレスなくていいわー。

ナビとかはたまに騙してくるのがムカつくんだよね。こんな人が歩くのもやっとな道を車でどう走れと!?みたいな細い道や、交通が禁止されてる道を使うことを指示されるとかが何度も起こると信用できない。こっちはナビを信じて走ってるって言うのに。

地図は地図で拡大縮小が微妙だと見ずらかったりするし、情報が古いこともあるし。情報うんぬんはナビも一緒か。


「黄金のリンゴが噂でしかないのって、その木がある場所が断崖絶壁の山なのが原因でさ。今まで色んな冒険者が挑戦したらしいんだけど、全部失敗に終わったっぽくて」


キャンピングカーで運転してて思うけど、ほぼほぼ直角の90度だし、何よりめっちゃ高い。

重力をガン無視して車で登れてるから私たちは全然楽だけど、これを生身で登るのは大分キツいと思う。鳥系モンスターが飛んでて邪魔してくるし、休憩できるスペースも見た感じないっぽいし。そりゃ失敗するわ。

まあ私のベイビー、キャンピングカーはモンスターのイタズラに負けない強い子だから問題ないんだけど。

そう言えば。


「惚れ薬作ろうとした時にキャンピングカーで空飛ばないの?ってコメント来たから本当は空飛ぶ動画を出したかったんだけど、崖登るのが先になっちゃったね」


ー【本当に空飛ぶ気なんだ】

ー【陸だけじゃなくて崖を走るキャンピングカーって】

ー【物理法則無視するのやめてほしい】

ー【ちょっと気になる】

ー【つーか今日のさかのんコメント拾ってくれなくね?】


そんなこんなで無事に頂上に到着!

名だたる冒険者たちでさえ不可能だったこの場所に辿り着けるなんて、本当にキャンピングカー様々。しかも頂上は酸素が少し薄いのに、車の周囲は結界が張られるから酸素不足にならない!なんて便利。

酸素ボンベは車に置いてあるけど重いから使わなくていいのは楽でいいよね。

そして酸素ボンベは必要ないものの、黄金の木が眩しすぎるからメガネの上からサングラスを装備。

黄金の木、下品なくらい爛々で目が痛い。木も葉も花も実も全部がギラギラと強い光を発している。

サングラスを付けてても目を刺激する輝かしさってもはや公害だよ。しかも結界でマシになってこれだからね?実際はどんだけ眩いんだってもはや恐怖。太陽や星よりも明るいのが地球上に存在しちゃだめでしょ。

人間の私ですらこれなんだから、五感が優れてるノアには危険すぎる。ので、あの子はさっさとキャンピングカーの中に戻らせた。これで失明とかしたら怖いし。

数々の冒険者が黄金のリンゴの入手を失敗したのってこの輝きにも原因あると思う。それくらい害悪。崖登ってる最中に黄金の木の眩しさで目をやられて登頂出来なかったんじゃないかな。可哀想に。

黄金の木にいくつかなっている黄金のリンゴを1つだけ収穫して、キャンピングカーの中に撤退。

このリンゴって食べられるのかな?とりあえず鑑定。


《黄金のリンゴ》

黄金の木に実る、黄金に輝くリンゴ。

ただし中身は普通のリンゴで、通常のリンゴの何倍も美味。


ふむふむ。問題なく食べられると。


「ねーアイー。このリンゴ食べようと思うんだけど、記録しといてもらっていい?」

『既に完了してますよ〜』

「さっすがアイ!」


ー【やっぱ食べるのか】

ー【さすがさかのん、食い意地張ってるわw】

ー【そこまで光ってるリンゴ食べるの度胸いる】

ー【言われる前に黄金のリンゴを記録に残しておくの、アイ有能だな】


黄金のリンゴを真っ二つに切ってみたところ、確かにアイが言うように中身は普通のリンゴっぽい。切った感覚や色味に異常はない。違いは香り高さとか?

黄金なのは皮だけみたいなので、皮を余すところなくしっかり剥いて食べやすいサイズに切る。

金に光る皮が無くなると見た目は本当に普通のリンゴ。そんな普通のリンゴになってしまった黄金リンゴをノアと実食。


「うっっっま!?」

「おいしい!!」


リンゴをとる手が止まらない。

私が今まで食べていたリンゴは水だったんじゃないのかと言うくらいに瑞々しくリンゴの味が濃いのにくどくない。甘酸っぱくて美味しい。

そして香りがいい!こんな香水かアロマあったら絶対買う。

なんて思いながらリンゴを食べていれば、ふと目がチカチカし出す。何だろうと周囲を見渡すと。


「待ってノア、歯どうした!?」

「のんも歯、金色になってるよ?」

「マジで!?」


確認したところマジで私の歯もノアの歯も金色に輝いていた。


「なんで歯が金色になるの!?普通目とか髪でしょ!?っていうかJKの歯が全部金歯とか最悪過ぎない!?」


いや、目と髪だった場合でもこんなギラギラに光るの嫌だけども!目だったら眼鏡で反射して大変なことになりそうだけども!

本体と違って眩しいくらいなのがまだ救いだ。


ー【全部の歯が金色とかwww】

ー【さかのんその年で入れ歯はヤバいって笑】

ー【なんて動画向けな食べ物なんだw】

ー【金歯のJK笑】

ー【ってかやっぱさかのんコメント見てなくね?】

ー【いつもならもっと俺らのコメントに噛み付くのに】

ー【まさかファンに愛想を尽かして…!?】


「でものん、すっごく美味しいよ?」

「美味しいけども!歯が車のライトみたいに金色に光るの嫌じゃない!?」


私もノアも歯を光らせながら黄金のリンゴを食べ続けるというカオスすぎる状況よ。

黄金のリンゴ美味しいからカクテルに使ったらいいお酒作れると思ったのに。もしくはアップルパイみたいなリンゴのスイーツとか、最近リンゴのグミとか流行ってるからお菓子とか。

でも、食べたら歯が金色に光る食べ物とか嫌だ…。


「もしも黄金のリンゴ食べる人がいたら、歯が金色になるかもしれないことを念頭に置いて食べてね!今日の配信はここまで!」


そうしていつも通り配信を終えようとして、あることを視聴者たちに伝えそびれていたことに本当に今更だけど気付いて慌てて言う。


「…あ、言い忘れてたんだけど、今日は諸事情でコメント欄見れなかったから返事出来なくてごめんね!ばいばーい」


ー【今言う!?】

ー【最後の最後で暴露やめろ】

ー【なんでそれを早く言わないの!?】

ー【さすのんだわー】

ー【まあ何も無くてよかったけども】





.





後日、某Twi●terにて。

『うんち金色だった、ウケる笑』


ーさかのん、もうちょっと慎みを持ってくれないとお母さん困ります

ー偽母登場しちゃった笑

ー何で歯と排泄物にだけ関与するんだ…?


.

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