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06:『魔女と一緒に惚れ薬作ってみた』


メンバー

・さかのん:本作の主人公、異世界に来てユーチューバーを始めた唯の人間。

・ノア:(今回おやすみ)獣人。

・アイ:(今回おやすみ)人工知能、だいたいネットの中にいる。


以上のことが頭に入っていたら大丈夫です。



「やっぱさー、異世界に来たからには魔法使いたいじゃん?」


ー【魔法使いたーい!】

ー【分かる。異世界行ったら箒で空飛びたい】

ー【魔法でバトルとかしてみたい】

ー【愛猫とおしゃべりしたい】


各々が魔法でしたいことをコメントしていって、早いスピードで流れていくチャット欄。

うんうん。視聴者のみんなも魔法を使ってみたいよね、老若男女問わず魔法って夢を見ちゃうくらいロマンがあるよね。わかる。


「ということで、今日は知り合いの魔女さんと一緒に惚れ薬を作ってみた!」


今日の内容の惚れ薬作りに未成年を巻き込むのは個人的に嫌なので、今回の配信はノアとアイはおやすみ。

多分2人でキャンピングカーに置いてるゲームでもして遊んでるんじゃないかな?

私?私は身分的にはJKだけど、肉体年齢は20歳超えてるからいーの。


ー【魔法を使いたい気持ちは分かるけど、氷魔法で遊ぶとかじゃないのか?】

ー【何で初っ端が惚れ薬なん…?】

ー【完全にタイトル釣りするつもりやろ笑】

ー【自称JKが、扱いとしてはR18と思われる惚れ薬を使うのダメじゃね?】

ー【人魚、吸血鬼の次は魔女か。交友関係どうなってんだろ】

ー【サムネに釣られたわw】


もちろん視聴回数の為ですけど何か?

さかのんはこれでも配信者だからね、面白い内容にするのはもちろん、サムネやタイトルにも気を遣わないと。

そもそもの話、惚れ薬を作っても使う相手とかいないし。自分で言ってて悲し。


「それじゃあ今日はよろしくお願いします!魔女のソラサさん」

「…その事なんだけれど、貴方は魔力ないから無理よ」

「なんでだー!」


まさかの配信初っ端から企画倒れが起こってしまった。これは予想外。

それなら始める前に言ってほしかったよー!!

…いやそうだよね?私のステータスって大体レベル低いんだけど、その中でも飛び抜けて魔力は低くて。魔力に関してはほぼゼロなんだからその時点で察するべきだったよね?そもそもステータス雑魚な私が惚れ薬を作れるだけの魔力がある方が可笑しいもんね?

これは夢見ちゃった私が悪いな、うん。巻き込んだソラサさん本当にごめん。


「でも私も箒で飛んでみたかったなあ〜」


惚れ薬の次は箒で空飛ぶ配信しようかなとか思ってたのに。

なんて思っていれば、私の言葉を拾った視聴者が【あのキャンピングカーなら空も飛べるだろ】とそんなコメントを。


「…次の配信決まったな?」


ー【流石さかのん、略してさすのん】

ー【ただじゃ起きない女だよ】

ー【さかのん可哀想って一瞬でも思った気持ちを返してほしいw】

ー【配信待ってまーす笑】


確かに言われてみれば今までキャンピングカーで陸地しか走ったこと無かったけど、レベルアップしていけば空を飛んでも不思議じゃないよね。だってここ異世界だし。包丁がほぼ何でも切れる、もはや最強の武器と言っても過言ではないレベルに成長してる訳だし。現代じゃありえない機能がどんどん増えていってるし。

何だったら水中も走れるようになれば、海に嫌われてるからって諦めてたマーメイドが暮らす水底都市にも遊びに行ける!


「そもそも魔女が作る薬のほとんどって門外不出のものなの。だから貴方に教えることはできないわ」

「そうなんだー、それは残念」


まあそうだよね。みんながみんな惚れ薬とか魔法薬を作って乱用したら国が滅ぶもんね。歴史が教えてくれてるし。美女を巡って幾つもの戦争が生まれて大勢が血を流したって。

それにこの世界の人たちって魔女さん以外の人でも魔力持ちの人が多いから、魔女さん以外の人が魔法薬を作れるようになっちゃったら仕事失っちゃうもんね。

納得も理解もできるけど、やっぱ残念な気持ちが強い。


「…代わりと言ってはなんだけど、媚薬の作り方なら教えられるわよ」

「マジで!?教えてくださいソラサさん!」


惚れ薬がダメでも、媚薬なら再生回数稼げるでしょ!

なんで惚れ薬がダメで媚薬がいいのかは謎だけど。媚薬は魔法薬じゃない扱いなのかな?まあ面白ければなんでもオッケー!

ソラサさんに連れられたのは彼女のキッチンで、準備するのはカカオ豆、砂糖、牛乳、ウィスキー、シナモンパウダーらしい。

この時点で私はうーん?となった。多分視聴者の中にも、うーん?となった人はいると思う。

お酒好きでアルコールの知識がある私はちょっとあることが頭をよぎったよね。

まあ気の所為だと思って彼女の指示に従って、作り始めたけど。

まず、カカオ豆を潰れたものがないか、使えないものがないか確認して分別。そのあと豆を水洗いしてから竈でローストする。

ローストしたカカオ豆を潰して中身のカカオニブと呼ばれるものを取り出す。

この作業を2時間以上。カカオ豆そんなに大量にあったわけじゃないのに!

気の遠くなるような作業を終えたら、軽くカカオニブを潰して、専用の釜へ砂糖と一緒に入れる。

この釜の内部でカカオニブはすり潰されることで含有する油を出して個体から液体に変えてくれるらしい。

すり鉢を使って人力でどうにかならないのか聞いたら地獄を見ると言われたので何も聞かなかったことに。

そんなに待たずに出来上がり、釜の中を確認したら確かに豆は液体状に仕上がっていた。その一部を小鍋に移して火にかけ、そこに牛乳を加えて伸ばしていく。そこに少量のウィスキーとシナモンパウダーを加えて軽く温めれば完成。らしい。

出来上がったものを見て思う。やっぱホットチョコレートやないかーい!

いや、作り始める前からカカオ豆と砂糖がセットで出てきた時点で怪しいなとは思った。この時点でまずチョコじゃね?ってなるよね!?

しかも加えて牛乳とウィスキーだよ?このラインナップでホットチョコレート以外が浮かぶ人いる!?いなくない!?

っていうか、チョコって媚薬の効果あったっけ?食べ過ぎると鼻血が出るとか嘘なのか本当なのかわかんない話は聞くけど。と不思議に思って、スマホで「チョコ 昔 媚薬」などと検索をかける。

調べてみると、諸説あるそうだがチョコレートはその昔は不老長寿の薬や媚薬として使われていたらしい。ほーん。

加えて、香辛料のシナモンについて調べてみると、これは体の冷えを取り除いて血行を良くしてくれる効果があるらしい。

ウィスキーもアルコール成分で血行がよくなる。

ということは、血行良くして興奮状態にさせるってことか。なるほどね、納得。あと他には、なんだっけ?プラシーボ効果ってやつ?効果が無いはずの薬飲んで効果を感じる、みたいな。思い込みの力はすごい、みたいな。

飲んでみたけど、ホットチョコレートもとい媚薬は普通に美味しい。

チョコの甘さとシナモンの香り、ウィスキーのアルコールが入って、私がいつも飲んでるのとはひと味違うホットチョコレートって感じ。

でも効果は感じられないから、刺激物に慣れてると効かないんだろうな。私はお酒もチョコも大好きでよく食べてるし。


「刺激物に慣れてる現代人に媚薬としての効果があるかは分かんないけど、そっちなら簡単に材料を買い揃えられるだろうし、みんなも作ってみてねー!」


ただし、さかのんは一切の責任を負わないことはしっかりと告げておく。

あっ、後カカオ豆からチョコを作り出すことも忠告。

私の配信を見て面倒なのは分かってると思うからしないと思うけど、これでもしカカオ豆からチョコを作る人がいて、時間をかけて作ったのにチョコがそんなに美味しくなかったとか言われても私は知らんし。


ー【普通に美味そう…】

ー【大人のココアだ】

ー【どれもスーパーで買えるものだから試すのアリかも】

ー【一切責任負わないの流石さかのんだわw】


「んじゃ、ばいばーい」


.

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