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05: 『お酒を飲んだ血を吸血鬼に与えたら相手は酔っ払うのか』


メンバー

・さかのん:本作の主人公、異世界に来てユーチューバーを始めた唯の人間。

・ノア:(今回おやすみ)獣人。

・アイ:(今回おやすみ)人工知能、だいたいネットの中にいる。


以上のことが頭に入っていたら大丈夫です。





「皆さんこんにちは、自称JKさかのんです!この世界には普通に吸血鬼がいるんだけど、彼らの主食って血じゃん?酔っ払いの血をあげたらどうなるのか、気になったので検証してみた!」


私は安全上の確認をしっかりとった上で、かつ自己責任でやることを伝えておく。飲酒で血の巡りがよくなった状態で血を抜くのがいい事なのか悪いことなのか、ちゃんとした医療知識がない私には分からないので。

間違って真似されたら大変だし、それで何か問題が起こってもさかのんは一切の責任を負いたくない!


ー【言われてみたら確かに】

ー【バカと天才は紙一重ってこういうことか】

ー【これはバカ?それとも天才?】

ー【一切の責任を負いませんw潔いw】


「吸血鬼ってみんなも知っての通り日光が弱点だから、今日はいつもと違って夜配信!」


今、日本はゴールデンウィーク真っ最中だから、日本時間だと昼の配信になっちゃっても学生さんや社会人さんも問題なく見れるはず!

休みの日が稼ぎ時の人や世間の祝日休日関係なく今日も働いてる人はごめんなさい。配信は残すし、動画にもするからそれで許して。

今日は飲酒の動画なので、ノアとアイはおやすみ。

2人とも体の作り的に飲酒なんて問題ないけど、扱いとしては未成年なので一応。夜も遅いし、子供の2人に無理なんてさせられない。

それに無いとは思うけど、お酒を飲みすぎて私が2人にアルハラとかしたら嫌だし。

それじゃあどんなお酒を飲んで酔っ払おうかな〜とお酒とおつまみのセットまで考えて、ふとある事を思い出した。

さすがにこれは言っとかないとね!自称JKとして!


「でもぉ、さかのん高校生だからお酒飲めないや。犯罪になっちゃう」


ー【何言ってんだこいつ】

ー【先月の20歳の誕生日にビールと日本酒飲み出した女だろお前】

ー【わたしにほんごわかんない、昨日の動画でワイン美味しそうに飲んでたよね?】

ー【何言ってんだこいつ】

ー【お酒飲み出して1ヶ月しか経ってない人が飲む酒の量じゃないって分かってる?】

ー【未成年を自称するなら堂々と飲酒するのはやめた方がいいと思う】

ー【好きなものが飲酒とおつまみのJKって一体…?】


「ネタじゃん!そんな過剰攻撃する必要なくない!?」


女の子はいつまでだって若くありたいんですー!先々月まで十代だったし。

というか、突っ込んでほしかったのはそっちじゃなくてぶりっ子の方だったんだけど!?私のぶりっ子とか実は貴重だよ!?自分でやっといて鳥肌立つからあんまやりたくないし。

というか、今日はノアもアイも休みだからか私の扱い更に雑になってない!?

視聴者のみんなが相変わらず私には優しくないので傷ついた心を癒すために酒を飲んでやる!

お酒とおつまみ用意して、夜空の下で1人飲み会スタート。

気になってたアニメやドラマを視聴者たちとあーでもないこーでもないと話しながらお酒を飲んでいく。甘い系のジュースみたいなフルーツのお酒から、ビール、冷酒、ハイボール、ワインなどなど。

おつまみにはチーたらやあたりめ、麦チョコ、ポテチなどのお酒に合うスナック系をチョイスしたから、お酒が進む進む。

1人飲み会with視聴者たちを始めて2時間くらい経ったところで、ストップ。

だいぶアルコールが入って、頭ふわふわしてきたからそろそろいいかな。これ以上飲んだ状態で配信したら、自分が何を仕出かすか分かんなくて怖いし。ネットに顔を出してる者として、デジタルタトゥーには気をつけないと。

それに、ちょうどタイミングよく知り合いの吸血鬼来たし。


「それじゃあ、吸血鬼のヴァンさん。血をどーぞ!」

「有難く頂戴する…」


吸血鬼らしく青白く顔色の悪いヴァンさんは懐からチューブに繋がった針を取り出すと、私の腕に刺して血を抜いていく。

私の体から出た血はチューブを通って彼が用意する容器へ。


ー【まさかの献血タイプ】

ー【なんで異世界にチューブと針があるの?】

ー【吸血って漫画みたいに普通に首にガブッ、かと思ってた】

ー【吸血鬼が医療道具使うとか似合わねー笑】


「私も首とか腕にガブってやられてみたいんだけど、この人恥ずかしがり屋だから無理なんだってー」


私の首を噛んで吸血してくれる吸血鬼を募集してまーす!とアピールしておく。異世界の人たちはこの動画を見てないだろうから意味ないと思うけど。

なんで異世界にチューブと針があるのかって?答えは簡単。私がヴァンさんにプレゼントしたから。

元々は血を分けてくれる相手の腕とかを軽く切ってもらって容器に移して血を貰ってたみたいなんだけど、それなら献血みたいなやり方の方が相手は痛くないし、いいんじゃないかって提案したら採用されたってわけ。

以前のやり方だと軽く切る程度は血が直ぐに止まっちゃうし、深く切っちゃうと相手に傷が残る可能性があるし。

気にしいなヴァンさんはチューブ付き針をよく使ってくれてるみたい。送った側として愛用してくれるのは嬉しいよね。

っていうか、ヴァンさん相変わらず血を抜くの上手いな。刺された時ぜんっぜん痛くなかった。これなら医療系に従事できるよ、子供に大人気だと思う。血を抜いたあとの手際もいいし。


「さあさあヴァンさん飲んでみて!」

「では…」


血を一気飲みするヴァンさん。

吸血鬼って栄養にならないだけで実は人間と同じ食事ができるから、お酒だって飲める。体質的に酔えないらしいけど。

そんな吸血鬼が酔っぱらいの血を飲んだらどんな感じになるのかな?顔が少し赤くなるとか?それとも全く効果なし?飲酒云々で血の味に違いとかあったりするのかな?なんて、私はワクワクしながらヴァンさんの様子を見る。


「…」


わくわく。


「…」


わくわく?


「…」

「ヴァンさん?」


血を飲んでから少し経つがヴァンさんの反応がない。声をかけても、彼の目の前で手を振っても、反応無し。

しょうがないのでヴァンさんの肩に触れると。


「ヴァンさーんッ!?」


彼は背中から倒れた。力が抜けたみたいにバタッ、と。

私の力ってそんなに強かったっけ!?今になって急にレベルアップした!?なんて馬鹿なことを考えちゃったのは仕方ないと思う。

倒れたヴァンさんに急いで近づいて様子を確認。

呼吸や脈に問題なし。倒れたけど怪我もなし。寝てるだけっぽい?顔を見ても、気持ち悪そうには見えない。それどころか酔っぱらいの血を飲んでアルコールで血の巡りに変化があったのか、顔の血色がよくなって健康的に見える。普段は不健康そうな顔色で酷い時なんて土色だったりするのに。

鑑定スキルでヴァンさんの体の状況を確認してみたら、まさかの酔って寝ただけだと判明。

……えっ!?あの量で!?献血の時に抜かれる400mlよりも少ない量で酔ったのヴァンさん!?

彼を心配してた気持ちが驚きに掻き消されたのなんか申し訳ないな。

ついでに言うと、吸血鬼って普通にお酒を飲んでも体質的に酔えないのに、血液中に含まれるアルコールでは酔えるんだ、とか思ってごめん。

人間だとお酒弱い人は一口で、とか香りもダメな人とかもいるけど、吸血鬼もそうなのかな?だとしたら安易に飲酒した血をあげてごめんよ。

吸血鬼だからよっぽどのことがない限り無事だろうけど。

寝てるヴァンさんを放置は無理なので、そもそも彼をこうした犯人は私だし。彼の知り合いの吸血鬼に迎えに来てもらって、回収してもらった。

ヴァンさんもヴァンさんの知り合いさんもありがとうー!今度また血をあげるね。

…あっ、動画忘れてた!


「検証結果!吸血鬼にもよるだろうけど、酔っ払いの血を飲むと吸血鬼も酔っ払う!」


ー【思い出してくれてありがとう…】

ー【永遠に忘れ去られるのかと思ってた…】

ー【にしても吸血鬼ってアルコール弱いんだな】

ー【ヴァンさんが特別弱いだけ?】

ー【さかのんに比べたら大概の人は弱いだろ】

ー【つーかヴァンさんもだけど、ヴァンさんの知り合いもマジでイケメン】

ー【さかのんが飲んだ量のアルコールが血液中に濃縮されてたって考えれば妥当じゃね?】


「今日の配信はここまで!見てくれてありがとうございます、おやすみ〜」


.

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