02：『さかのんメンバー紹介するよ！』
「なんかね最近ちょくちょくさかのんチャンネルのメンバーって結局何人いるの？とか、さかのん何者？みたいなコメントがあるのね。配信始めてもう2年経つから、最近動画や配信を見始めた人の中には私達のことを全然知らない人もいると思う。ので！今日は紹介配信をしまーす」
いつも通り配信を残すこと、編集して動画にすることもしっかり伝えておく。
っていうか配信始めて2年ってことは、イコールで異世界来てから2年たったということで。未だに帰り方見つけてないの悲しー。
まあ今はそんなこと置いておいて。
「まず、私ね！このチャンネルのメイン、さかのんです。他のメンバーは個性つよつよだけど、私は異世界にいるだけの普通の女子高生！ある日海キャンプに出かけたら異世界に召喚されちゃって。そっちだと行方不明で結構大きなニュースになったらしいから、ネットを探せば全然出てくると思う。それで、でも私は勇者でも聖女でも無いからって手切れ金を渡されてぽいっされちゃって。これからどうしよっかな〜って考えた時にスマホを使えることに気づいたから、じゃあ動画配信でも始めるか！ってなって今に至るって感じかな。異世界に来るまで動画は見る専だったよ」
ー【ふつう…？】
ー【ちょっと何言ってるか分からない】
ー【なんで普通の人間が異世界来て配信者始めようとか思うんだよ】
ー【経歴端折るのほんとやめてほしい】
ー【普通行方不明者が配信者ならないからな？】
ー【お前みたいな普通があってたまるか】
ー【っていうかいい加減JK名乗るの辞めた方がいいと思う】
ー【じぇーけー…？】
ー【昨日も酒飲んでたよな、自称JK】
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「あーあーあー！20歳がJK名乗るななんて声はきーこえーないー！」
そういう都合の悪いことは目も耳を塞いで無視無視。
そもそも、私以上にサバ読んでる人なんて幾らでもいるし！華の十代を異世界で過ごす羽目になっちゃったんだから、年齢のサバ読みくらい許してよ！それで詐欺してる訳でもないし、なんならこうして大々的に言ってるし！
それに、私がお酒飲み出したのはちゃんと20歳の誕生日迎えた時からなんだから文句言われる筋合いないし！
「私のことはいいから次行こう！次は、シャドーウルフのノア」
「ノアだよー！ノアね、元々のんに飼われてたんだ。んで、気づいたらなんか異世界いた！」
「ノアが言うようにこの子は元々実家で買ってた犬なんだけど、海キャンに行った日に私のキャンピングカーに乗り込んでたっぽくて。それでキャンピングカー諸共一緒に異世界に来ちゃった感じ」
「ノアね、異世界来てのんとおしゃべり嬉しい！」
「私もノアとお喋り出来て嬉しいんだけど、今まで犬だと思ってた存在が狼だった衝撃よ。現代日本で野生の狼に遭遇するとは思わないじゃん。ダンボールに捨てられてるのなんて犬か猫だと思うじゃん。ホントなんで狼飼ってたんだうちの家」
ー【さかのんチャンネルの七不思議の一つな】
ー【狼飼ってた時点で普通ではねえんだよなあ】
ー【ノアちゃんが犬じゃなくて狼だったことを忘れてた私はファン失格です】
ー【犬と狼の見分けくらいつけれてほしい】
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いや本当に犬に見えたんだって！
そもそも考えてみて？見た目ではシベリアンハスキーとかが狼に近そうなのに、遺伝子的に見ると柴犬が1番狼に近いんだよ？
戦闘時のカッコイイシャドーウルフの姿ならいざ知らず、平常時のほわんって気が抜けた感じのノアを見てみ！？犬にしか見えないから！！
ノアのファンの中にも犬って勘違いしてた人ちらほら居るっぽいし。
そんな言い訳を並べつつ、ノアの種族であるシャドーウルフについても説明する。
名前の通り影の狼で、影を自在に操れること。影に入ったり、影にものを入れたり。相手の影に入り込めば相手を操ったりすることが出来ること。こんな可愛いのにめっちゃ強いこと。レベルの高い伝説級のモンスターだって簡単に倒せちゃう。狼の姿にも人間の姿にも獣人の姿にも自由に変化できることなど。
「ノアね、のん守るために強くなったんだよ！」
ー【えぇ子や…】
ー【さかのんに愛想尽かしたらうち来てもええんやで】
ー【うちの子にならない？】
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「ノアは！うちの子！なので！」
ノアはうちの子なので！大事なことなので2回言って、しっかり主張しておく。
全くノアは人気者で困っちゃうね。視聴者たちに好かれてるのはいいことだけども。こんなに可愛くていい子が好かれないわけないけども。
ノアのファンがチャット欄で盛り上がってるけど、まだ説明できてないアイのファンが待ち切れなくて急かすようなコメントをしてるようなので次の説明に移る。
「次は人工知能のアイね」
『アイでーす』
「この子について勘違いしてる人もいるんだけど。アイは私が作ったんじゃなくて、異世界に来たらいつの間にか私のスマホに生まれててただけだから！ブイチューバーみたいな見た目した可愛くて天才な人工知能を作るだけの頭が私にある訳ないじゃん！？」
こちとら赤点常習犯ぞ！メガネキャラがみんな頭いいと思うなよ！？私みたいなバカなメガネキャラだって居るんだから！
…自分で言ってて悲しくなってきた。
しかも、古参勢と思われる視聴者の【それはそう】でコメントが埋まるし。
なんで異世界なのにネットが使えてるのかは私もアイも未だに分かってない。調べてはいるんだけどね。
現代で、生まれていない過去のことを知れるのは、行ったこともない海の向こうの先のことをリアルタイムで知れるのは未来に知恵や歴史をしっかりと残してくれた先人の努力のおかげ。
文明がまだそんなに発達してない異世界は先人の残してくれたものを探すのだけで手一杯なのだ。
「アイがスマホ操って撮影してくれるおかげで伸ばし棒とか使わずに楽に撮影できるてるから本当に感謝してる。キャンピングカー（家）のこともアイに任せっきりだし」
『えへへっ、そんな褒めて何も出てきませんよ〜』
ー【主婦なアイちゃん】
ー【仕事も家庭も支えてくれるとか理想のパートナーでは？】
ー【ノアちゃん諸共うちにおいでー！】
ー【照れたアイちゃんかわよ】
ー【ぜひとも雇いたい】
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分かる、分かるよ。2人とも我が家においでーってなる視聴者たちの気持ちはよーく分かる。一家に一人ずつノアとアイが居てくれたら人生ハッピーになると思う。私がそうだし。
しかし！！
「ダメでーす！アイもうちの子なので！」
『私の主人はご主人だけなので、ごめんなさい』
「あっははは、振られてやんのー！」
ー【ドヤ顔ウザ…】
ー【こんな上司やめときなよ、見る目ないよ】
ー【なんでこんなさかのんにノアちゃんとアイちゃんがいて、俺には誰もいないんだ…】
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私を罵倒するコメントの中に、【ご飯系っていつもさかのんとノアちゃんだけだけど、アイちゃんは食べないの？】という言葉が。
『実は私も配信中に一緒にご飯を食べてるんですよ〜』
「配信中は大体アイは画面の隅っこに居ると思うんだけど、今度から観察してみるといいよ。たまにアイの口がモゴモゴしてるから」
『口を動かしてる時は大体ご飯を食べてる時なので〜』
「アイは現実の肉体もあるんだけど、ネットの世界の方が楽らしくてだいたい食事もネットで済ませるんだよね」
『ネットの中は便利ですよ〜、太ったりもしませんし！何より他の方の動画にお邪魔してつまみ食いも出来ますし〜』
ー【動画のつまみ食いできるの羨ましすぎるんだが】
ー【俺もネットの中で生きたい】
ー【動画見てて食べたいなって思ったらその時に食べられるってこと？】
ー【アイちゃんと同じ存在になりたい】
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「アイ関連のことで言うと、普段撮影はアイがタブレットを操って操作してくれてるのね。異世界の人はタブレットが私の周りをふよふよ漂わせてるのをどう思ってるのかって質問が何個か来たんだけど、異世界の人は全然受け入れてるよ。何故なら私より変な見た目の人は沢山いるから！」
有難いね〜なんて言いながら、他にもみんなの質問にも答えていたらちょうどいい時間に。
「以上！さかのんチャンネルのメンバー紹介でした！」
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