17.『異世界で風邪引いちゃった』
メンバー
・さかのん:(今回出番少なめ)本作の主人公、異世界に来てユーチューバーを始めた唯の人間。
・ノア:獣人。
・アイ:人工知能、だいたいネットの中にいる。
以上のことが頭に入っていたら大丈夫です。
「こんばんわ!今日はノアが配信するよ!」
『今日はご主人はおやすみなので私たちだけで配信します〜』
ノアの目線より少し上に浮いてる、アイが操作してくれてるスマホに向かって、のんの真似をして挨拶をする。
今日はのんがいなくて、2人で配信することになってる。
久しぶりだからすっごいドキドキするけど、のんに任されたから頑張らないと!
ー【ノアちゃん!】
ー【はー相変わらず可愛い】
ー【久々のノアちゃんねる嬉しすぎて涙出てきた】
ー【さかのんどうした?】
ー【さかのん出ないの珍しいな】
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「のんはねー、風邪引いちゃって。そしたらノアがのんの看病してるところ配信してって頼まれたから今してる!」
ー【風邪引いてなお配信のことなのねさかのん】
ー【体調不良時は無理しないで】
ー【異世界で風邪って怖くね?】
ー【看病配信をあげさせるのさすがさかのん、略してさすのん】
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「今日はのんの為におうどんとアイスを作るよ!」
ちゃんとしっかりエプロンを着て。いつもはシャドーウルフの狼の耳を出したままだけど料理に入ったら大変だから、ちゃんと人間の姿になってから三角巾をつけて、前髪を留めて、手もちゃんとしっかり洗って、準備はバッチリ!
「アイ、作り方教えて!」
『は〜い。まず、うどんから作りましょう〜』
「アイスからじゃなくていいの?」
『材料を混ぜて冷凍庫に入れれば一瞬で凍ってアイスができるので、どっちから始めても問題ないですよ〜。キャンピングカー様々ですね〜』
「キャンピングカーすごい!」
『それでは、小麦粉をふるってください〜』
アイに言われた通りのグラムに合わせた小麦粉をふるってサラサラにしてから、塩水を入れて混ぜ合わせる。
外から中に入れて押して、ひっくり返してまた押して。塩水と混ざってべちょってした部分と、小麦粉のままの部分が無くなるようにぐるぐるぐるぐる。何だか泥遊びしてるみたい!
「手に粉つかなくなったよ!」
『そしたら捏ねましょう〜』
耳たぶくらいの硬さになるまで捏ねる、と。んん?
「耳たぶくらいってどれくらい?」
『手を洗ってから自分の耳たぶを触ってみてはどうですか〜?』
獣人には人間みたいな耳がないから、耳たぶもない。
分かんないままだとおうどんは作れないから、部屋で寝てるのんの所に行って耳たぶを触らせてもらった。のんには何してるの?って顔されたけど、気にしない!
なるほど!これが耳たぶくらいの硬さ!
キッチンに戻って、のんの耳たぶくらいになるまでこねこね。
『それくらいの状態になったら混ざった証拠なので休ませましょう〜』
「はーい!」
生地を丸くして袋に入れて冷蔵庫へ。
『それじゃあ取り出してください〜』
ー【早くね!?】
ー【1分も休ませてないけど、それ意味あるの!?】
ー【ほぼ入れて出しただけだけど】
ー【休ませるって言っておいて休ませないのはブラック過ぎる笑】
ー【昼休憩を貰えないうどん笑】
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「休ませる時間短いの?」
『本来なら10分以上休ませるのがベストですけど、我が家の冷蔵庫は優秀なので大体入れて直ぐに取り出してオッケーなんですよ〜』
「冷蔵庫すごいんだね!」
冷蔵庫からおうどんを取り出して、今度はふみふみ。
こうすることで、コシ?が出るんだって!いつも歩いてる道とは違う感じで楽しい!
『また寝かせましょう〜』
冷蔵庫に入れて、取り出して。
休ませた生地を今度は機械を使って薄く広げて、麺の形に。
本当はノアが棒で生地を広げて包丁で切りたかったけど、刃物は危ないからって前にのんにダメって言われた。
「おうどんできたー!」
『後は茹でるだけですね〜。その前にアイスを作っちゃいましょう〜』
「はーい」
卵を混ぜて、そこに混ぜて温めた牛乳と砂糖を流し入れて、またまぜまぜ。
綺麗なクリーム色になったらこし器でこして、別の鍋に入れて温めてとろみをつける。
とろとろしてきたら、氷水で冷やす。
冷たくなったら泡立てた生クリームとバニラエッセンスを入れて、冷凍庫で冷やせば完成!
おうどんと比べたら、本当に一瞬でできちゃった!
「バニラアイスは美味しいのに、バニラエッセンスって美味しくないよね。前に舐めたら苦かった。すっごくいい匂いするから美味しいと思ったのに」
『香り付けの為のものですから仕方ないですね〜。それにバニラエッセンスが美味しかったらノアが一気飲みするでしょうし、美味しくなくて正解だと思います〜』
「たしかに!」
そっかー、だからバニラエッセンスって美味しくないんだ。
鍋にお出汁と切ったネギとすりおろし生姜を入れて煮て、醤油と砂糖で味付けて沸騰したら溶き卵を入れて、おうどんのスープも完成。
お椀に茹でたおうどんとスープを入れて、別のお皿にアイスを盛り付けて出来上がり!
できたてを食べて欲しいから急いでのんのところに。
「のん、おうどんとアイス作ったよ」
「ありがとう、ノア。アイもお手伝いと私の顔にモザイクかけてくれてありがとう」
『お易い御用です〜』
「いただきます。…おいしい〜」
「やった」
ご飯は静かに食べたいかなと思ったから、ノアとアイは一時退散。
「みんなもおうどんやアイス作ってみて!」
『レシピは概要欄に貼っとくので〜』
「それじゃあ、ばいばーい」
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