15:『日本の怪物と異世界のモンスター、どっちが強い!?』
メンバー
・さかのん:本作の主人公、異世界に来てユーチューバーを始めた唯の人間。
・ノア:獣人。
・アイ:人工知能、だいたいネットの中にいる。
以上のことが頭に入っていたら大丈夫です。
「今緊急で動画回してるから雑でごめんなんだけど、なんか適当に作った作品が呪いのビデオになっちゃったみたいでテレビから落ち武者が出てきた!」
ー【“なんか適当に作った作品”】
ー【作った???】
ー【だいぶヤバい状況なはずなのに、相手がさかのんだとどうにかなりそうと思ってしまう】
ー【さかのんなら何とかなる】
ー【動画回せてる時点で大丈夫】
ー【作ったってどういうこと?そもそも令和の今ビデオを作ったの?DVDでもなく?どうやって?】
ー【異世界で配信してるのもだけど、なんでキャンピングカーの中にテレビあんの?なんでビデオ再生できんの?なんで?】
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落ち武者はテレビから出てる途中なので、テレビごとキャンピングカーの結界の外へぽいっと投げ捨てる。もちろんノアが。
テレビを持ち上げるのは私でも出来るけど、流石にリモコンを投げるみたいに軽々とはテレビを投げれないので。
外へ投げ捨てたテレビは後でちゃんと回収するよ?心配しないでね?私は不法投棄なんて犯罪起こしませんから!
なんで結界の外にテレビ諸共投げ捨てたかと言うと、結界の外に出しちゃえば落ち武者だろうと結界を突破できないから。って言うのも勿論あるんだけど。
実は今結界の外ではドラゴンが暴れてるんだよね。
結界の外に元々ドラゴンがいて、そこへ落ち武者を投入して何がしたいのかって?そんなの当然…。
「落ち武者vsドラゴンだったらどっちが勝つのか!?ある種日本対異世界の戦いが今始まる!実況はさかのんでお送りします」
「感想係のノアだよー」
『解説のアイは真剣モードです!』
ー【司会すな】
ー【あまりにも落ち武者が可哀想】
ー【可哀想】
ー【視聴者置いてくなよ】
ー【マイクにネームプレートって用意いいな】
ー【なんつースピード感で進めやがるんだこいつ】
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結界があるから外でドラゴンが暴れてても問題なかったんだけど、前に適当に作ったビデオを再生して落ち武者がテレビから出てきたらそりゃ動画回すよね。なんせ動画配信者なんで。モンスターにはモンスターをぶつけるんだよ!
落ち武者が可哀想?知らなーい、私のところを選んだ自分を恨んで。そして私たちの娯楽となり、再生回数の糧となってくれ。
結界の中には何人たりとも入ることは不可能なので、私たちは結界の中で安心しながら実況、解説などをする。
ドラゴンと落ち武者の戦いも、周囲に街がないので問題ない。
人っ子一人いないこと、ここら辺は更地だから環境に空く影響を及ぼす心配がないのも確認済み。
「ドラゴン、落ち武者の存在に気づいた!」
「わっ、踏みつけようとしてる」
『さながら人間にとっての虫のような扱いなんでしょう』
ドラゴンが落ち武者を踏みつけた。
その行動によって一瞬にして地面が揺れ、地響きが起こる。起こった衝撃から察するに、落ち武者は死んだ。
と思いきや、彼はドラゴンの攻撃を避けきっていた。直ぐさま横に避けて飛ぶことで、踏みつけられることからも、それによって起こる衝撃からも身を守っていた。
落ち武者は避け切るだけに飽き足らず、攻撃を繰り出す。
「落ち武者、仕返しと言わんばかりにドラゴンに切り掛る!」
「ザックリいったね、痛そお」
『あの刃こぼればかりの刀も妖刀と呼ばれるものなのでしょうか?攻撃の入りにくいはずのドラゴンに、深い傷を負わせています』
横に避けた落ち武者は鞘から刀を抜き取り、ドラゴンの足めがけて刀を振るう。
空気が横一文字に切れた。
そう錯覚するほどの勢いとともに、ドラゴンの足が横に裂ける。
分断とまではいかないものの、それでも十分な深い傷だ。
痛みからかドラゴンは雄叫びをあげる。そんな口の中はパチッと火花が散っていた。
「ドラゴン火を吹いた!しかし落ち武者には効いてない!」
「そもそもあのオバケさん、元々火をくっつけてたもんね〜」
『火の攻撃が効かないとなると、ドラゴンが不利かもしれません』
火が消えないことにドラゴンは狼狽える。
その隙を落ち武者が見逃すはずもなく、2度目の攻撃を繰り出して今度は腕を。
「あーっと、ドラゴンが落ち武者の腕を吹き飛ばした!腕を無くして尚も声を出さない落ち武者!」
『2度目の攻撃は止めるとは、やりますね』
刀とともに両腕を吹き飛ばされ、攻撃力を削がれた落ち武者に勝ち目はなく、ドラゴンの勝利。
と思われた。
「まさかの落ち武者の刀がドラゴンの心臓をぶっ刺したー!?」
彼の両手から離れた刀は空中を独りでに舞い、素早く無駄のない動きでドラゴンの心臓部分を突き刺した。
ドラゴンは足を切られた時以上の雄叫びを上げる。
意味もなく火を吹いて、腕を、羽を、ジタバタと動かして周囲を攻撃した。
地面が削れ、木々が折れ、落ち武者が飛ばされ。
けれどもドラゴンは止まらない。
ドラゴンの暴走に、流石にノアを投入すべきかと考えた、その時。
いつの間にかドラゴンの首にしがみついていた落ち武者が、心臓から刀を抜き取り、急所を切り、刺していく。
首を切り、心臓を、肺を刺していく。
一際大きな雄叫びを上げたドラゴンは、縦横無尽に飛び回っていたのが嘘のように重力に従って落ちていく。
上空から巨体が落ちてきたことで大きな衝撃波が起こる。
地面に倒れたドラゴンが、起き上がる気配はない。
落ち武者の勝利。
と思われたが、ドラゴンとともに上空から落ちきた落ち武者も無事ではなかったようで、彼は燃えて消えていく。
「まさかの相打ちだー!勝負は引き分け!」
ー【すごい戦いだった…】
ー【映画一本見切ったような満足感】
ー【すごかった】
ー【言葉が出ない】
ー【落ち武者は安らかに眠ってほしい】
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「みんなも満足したかな?今日の配信はここまで!」
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