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14:『ユニコーン』


メンバー

・さかのん:本作の主人公、異世界に来てユーチューバーを始めた唯の人間。

・ノア:獣人。

・アイ:人工知能、だいたいネットの中にいる。


以上のことが頭に入っていたら大丈夫です。



「今日はねー、ユニコーンの角を触るよ!」


ー【…どういうこと?】

ー【1回噛み砕いて理解しようとしたけど、それでも分からなかった】

ー【これが同じ日本語って信じられるか?】

ー【説明ぷりーず】

ー【触ってどうするの?】


「なんかねー、ユニコーンの角を触るといい事があるって伝承があるらしいんだ!だからご利益を貰いにユニコーンが住むとされる森に行ってみるよ」


徒歩ではなく、いつも通りキャンピングカーで。

車で森に行こう!ってなると、車を使うことで森の生体を崩さないのかってチャット欄で疑問に思われたりするんだけど、逆なんだよね。

勿論、前に配信した時みたいに兵器モードの車で森を走行するならなら森を傷つけてしまうけど、私の車は優秀なので操作1つで森に一切のダメージを与えないモードに切り替えることが出来るのだ。例えるなら、このモードを使うと風や雨と同じような存在になれる。木々が車を自分から避けるような感じ。つまり、森への影響ゼロ。

前に知り合いの森で車と徒歩でどれくらい違うか検証してみたけど、圧倒的に車の方が森を傷つけてなかった。その森に住んでた妖精が言うくらいだから間違いない。だから車で森に行くのは問題ナッシング!

徒歩で森へ行くのも問題ないけど時間かかるから、時間短縮の為と楽するために車を使って森を進んでいく。

普通の人や冒険者の人でも行きづらい場所でも車なら簡単に来れてしまうのがこの優秀すぎるキャンピングカーのいい所だ。

そうして、あっという間にユニコーンが居るとされる場所に到着。

車から降りて、歩きで森を探索していく。

このままキャンピングカーに乗ったまま森を駆けずり回ってユニコーンを探すのもいいけど、ノアが動きたくてうずうずしてるし、ずっと車の中だと配信地味だし。

歩いていてまだユニコーンは見つけられていないけど、既にこの森は神秘的な場所だと思う。

鬱蒼と生い茂る草木に、さらりと流れる涼し気な風、空を覆う葉から差し込む太陽の光。緑に溢れ、人の手が一切加わっていない自然の森は幻想的で、空気から美味しい。妖精たちが楽しそうに飛んでいる姿からも、この森の良さが伝わってくる。

そうして適当に森を歩くこと数分。

湖で水分補給をしているユニコーンを発見した。


「本当にユニコーンいた!キレー」

「わぁ!髪の毛としっぽの毛レインボーだ!すごーい!」

『この辺りにユニコーンは生息しているようですね〜』


ユニコーン見つけたはいいけど、触れるかな?って言うか、あんな儚げで高貴そうな雰囲気を漂わせてるユニコーンに一般庶民の私が触っていいのかな?

それに、これだけ人が関与してる様子がない自然の森で暮らしてるなら人間に1度も関わったことなくても不思議じゃない。そうなると初めて見る人間に対してどんな反応するのかな?野生動物みたいに逃げられるなら全然いいけど、襲いかかってくる可能性あるよね?

今ユニコーンがいる所からは絶妙に私たちが目視できないようになってるっぽくて、距離的に多分声も聞こえてない。だから逃げてない、もしくは襲われてないんだろうけど。

ここで配信終わらせて帰るべき?それとも相手に気付かれない範囲でもうちょっとだけ近づいてみる?うーんと頭を唸らせていると…。


「気づいてるよ」

「へ?」


ー【だれ?】

ー【空耳?】

ー【誰?】

ー【メンバーの声じゃないよな?】

ー【きれーな声】

ー【好きな声優さんの声に似てた】


突然の声にノアたちを確認するけど、当然声の招待はこの子たちじゃない。

口調もそうだけど、そもそも声が違うし。

ノアたちや視聴者にも声が聞こえたみたいで一緒になってきょろきょろと辺りを見渡すけど、私たち以外誰もいない。

本当に誰の声?

声の正体は分からないけど、めっちゃ綺麗な声だった。低過ぎず高過ぎずで、男にも女の声にも聞こえた。どっちの声って言われても納得する。声優を始めたらめっちゃ人気でそうな、そんな声だった。


「ボクらに興味があって、こんな辺鄙なところまで来たんだろう?」


後ろからの声に勢いよく振り返れば、そこには先程まで見ていた湖近くにいたユニコーンが。

え?今の短時間でここまで来れるほど私たちの間にあった距離ってそんなに短くないと思うんだけど、ユニコーンって瞬間移動でも使えるの?それとも歩きが音速レベルとか?例えどれだけ早く走れたとして、こんなに気付かないことある!?気配全く感じなかったんだけど!?

というか、ユニコーンって喋れるの!?


「喋れるとも」


ユニコーンって喋れるんだ!

まあ妖精も喋れる個体と喋れない個体いるし、ユニコーンが喋れても不思議じゃないか。アニメとかだと普通に喋ってたりするし。

それにしてもいい声してるな〜。

…ん?


「まって、待って!?私喋ってないよね!?」

「そうだね?」

「心の声読めるの!?」

「もちろん」


ユニコーンすっげえ!!

今日の配信、ツノを触ってみたじゃなくて、普通にユニコーンを探してみたでも良かったかもしれない。撮れ高としては既に十分過ぎるくらいだし。

考えてみたらユニコーンの角って、相手からしたら触られたくない場所だったり急所の可能性もあるし。そもそも逃げられてた可能性だってある訳で。


「ユニコーンって心の声以外だと他にどんなこと出来るの!?あ、お名前ある!?ノアはノア!」

『ノアはちょっと落ち着きましょうね〜』

「ボクの名前はユン。他に出来ることと言えば、虹を見つけたり、人間の姿を真似たり、とかかな」

「ユニコーンって人間になれるの!?」


驚き過ぎてノアたちとユニコーン、もといユンさんの会話を割り込んじゃった。

ユニコーンって虹と一緒のイメージがあるからか虹を見つけるって言うのは全然納得なんだけど、まさか人の姿になれるなんて!

人間の姿が見てみたいと言えば、ユンさんはあっさりと承諾。

ユニコーン姿から人間の姿に返信してくれた。

うわめっちゃ…。

ユンさんの人間姿を上から下までじっくり見て思う。

どっちだ!?

人間姿のユンさんは美人さんで、少年?少女?どちらにも見えるの見た目をしている。小学生低学年くらいの幼い容姿をしているのに、纏う空気は落ち着いていて小さな老人のようにも見える。きめ細かい白い肌に虹色の髪のポニーテール姿がよく似合ってて、神秘的な雰囲気だ。


「きれー!!」

『ツノが元の姿の時と比べて短いようですが、問題ないんですか〜?』

「問題ないとも」


そう言うとユンさんは自分の額から生えるツノを折った。


「折ったぁ!?」


見間違いかと三度見くらいしたし、何なら目を擦ったりとかしたけど、変わらずユンさんの手には彼女の額に生えていたツノが握られていた。


「え、え!?とっていいやつなの!?それ」

「1年で生え変わるからね、君たちにあげるよ」

「わーい!」


ー【え?え?え?】

ー【ユニコーンの角と鹿の角が同じ扱いでええんか!?】

ー【さかのんだけ慌ててるのウケる笑】

ー【地味に1年って長くね?】

ー【いいの!?】

ー【ツノのないユニコーンって、言ってしまえばポニーと何ら変わらないのでは?】

ー【ぶっちゃけツノないとただの美人でしかないな】

ー【鬣がレインボーなただのポニー(元ユニコーンの姿)】

ー【実は鹿やポニーの祖先ってユニコーンだったりする?】


「そのツノは暗いところだと虹色に光るから、明るさがほしい時や場を盛り上げたい時に使うといい。後、生薬としても役立つよ」

「後付けの方が大事!!」


光ることより生薬として使える方が絶対に重要だよ!!


詳しくユンさんに話を聞くと、ユニコーンの角には大体の病気や毒を癒す力がある他に寿命を伸ばす力もあるらしく、生薬にピッタリらしい。

それを聞いたらユニコーンのツノが貴重な理由がよく分かるよ。まあ本人たちはそんな重要なものじゃないみたいだけど。


「えーと、えーと。ユニコーンのツノを手に入れたから今日の配信はここまで!」


.

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