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学習塾と、小林という女

 そして、二学期に入って大きな変化があった。私の両親が私を学習塾に行かせると言い出したのである。中学校に上がっても勉強についていけるようにという思いからで、そろばん塾との両立についていけるようにという思いからで、そろばん塾との両立は難しいということで、目標としていた1級の検定試験を目前に控えて、小学3年生から通いだしたそろばん塾をやめることになった。そして、学習塾の教室に行ってみると、そこには姉の通っている中学校の生徒も来ていた。その中で小林と言う女と出会った。この小林と言う女、渡部の姉と同級生で、中学2年生であった。その渡部の姉から私のことを聞いていたようで、私のことを徹底的に叩きのめそうとしてきたのである。教室に入って、まずは新入りということで、自己紹介をした時点で、渡部の姉から聞いていた私の名前と、自己紹介で名乗った私の名前が一致したことから、小林は

「こいつ、徹底的に叩きのめしたろ」

 と思ったようで、私のことを

「お前はバカなんやから、こんなところで勉強したって何の意味もないねん。さっさと帰れや」

「お前が来たら、先生がお前を取り合わなあかんようになるから、うちらの勉強の邪魔やねん。頼むからこんといてこれへんか」

 などと実に腹の立つ嫌味を言ってくるのである。小林と私とは何の接点もないはずである。たまたま、渡部の姉と同級で、渡部の姉を通じ打て、私のことを知っていたとしても、私には何の関係もない話である。さらに運が悪いことに、この小林と言う女、私の姉が所属していた陸上部の先輩後輩という間柄でもあった。姉と私が二人で塾に行っている間は、古馬や八下目に見えた攻撃はしてこなかったが、

 私ひとりが塾に行って、小林との時間が重なるとぐちぐち文句を言ってくるのである。

「どうせお前はバカなんやから、こんなとこ来たって無駄なだけや」

 などと言っていたが、私の学校の成績自体は悪くなかった。何も知らないくせに、私にかかわってくれとも言ってないのに、相手が一方的な情報を基に、私がろくでもない奴と決めつけているだけであった。

 学校でいじめられ、新たに通うことになった塾でも、何の接点もない奴に攻撃されて、次第に私は自分の居場所がなくなっていった。さんざん自分の存在を否定されて、

「このまま死んだら楽になれるんやろうなぁ」

 そんな思いが頭の中をよぎり始めた。塾の先生は私と小林が、ただ単に仲が悪いだけとしか思っていなくて、散々悪態をつく小林に対して注意をするなどということはなかった。学校でも完全アウェー状態・塾でも誰一人味方になってくれる者がいなくて、次第に孤立を深めていった。

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