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体調悪化

 そして火曜日からは再び授業が始まる。ノートが残り少なくなってたので、学校に行く途中にある文房具屋さんに立ち寄って、ノートと鉛筆を買った。そこには運悪く湯川がいた。湯川も文房具屋さんで何か買わなければならないものがあったらしい。私は無視する形で店を出て学校に向かった。教室に着いて、ランドセルから教科書やらノートやらを机の中に出して、授業の用意をしていると、湯川がやってきて

「お前さぁ、なんで文房具屋におるねん。お前がおったらあの店が腐るやろ。あの店は私がいつも使ってるんやから、二度と買いに行くな」

 などと言ってきた。私はここで言い返せばまた殴られるんだろうと思ったので、何も言わなかった。私が何の反応も示さなかったら、私を挑発するようにさらに

「お前さぁ、悔しかったら何か言い返してみろ。何も言い返せんのか。お前それでも男か。情けないねぇ」

 私はほっといてほしいだけなのである。私と口をきくと腐るというのであれば、私と話しかけないでほしい。私と目があえば、目が腐るというのであれば、私の方を向かないでほしい。ただそれだけである。私とあらゆることで関わると腐るというのであれば、なぜわざわざ私のところにやってきて、いちいち挑発するようなことをするのであろう?私はそれが全く理解できなかった。そして私のことが気に食わないと、いろんな文句をつけては、殴る蹴るの暴力をふるうのである。

 そんな罵声とが吹き荒れる学校生活が続いて、私は精神的に相当参っていたのであろう、6月の終わりに高熱を出して、完全にダウンしてしまった。強いストレスがかかり続けた結果、夜もろくに眠れず、ひどいときは一睡もできないまま朝を迎えて、疲労が蓄積していって、体力的にも限界を超えてしまっていたのである。幸い私が高熱を出す前は、身体測定があって、私に対する暴力はなかったので、痣などは残っておらず、病院で診察を受けても、私が暴力を受けているということをだれにも知られずに済んだ。もし体に痣が残っていれば、当然病院の先生は怪しんで両親に連絡するであろうし、もし両親にそのことが知られて、先生に報告されたら、それがめぐりめぐって私に対する暴力と言う形で跳ね返ってくるのが目に見えていた。その点では少しホッとできるものがあった。病院から薬が処方されて、帰ってから薬を服用すると、薬の効果からか、それともあまりに疲れ切ってしまっていたためか、ベッドに入るとすぐに眠ってしまって、起きたら時計は6時を指していた。私はてっきり朝の6時と思ったので

「おはよう」

 言って台所に行くと、皆

「はぁあ?」

 と言っていた。

「夕方の6時よ。あんたちょっと寝ぼけてるんじゃね」

 と言っていた。久しぶりに熟睡したので、時間の感覚が狂ってしまったようである。まだ起きたばかりで、眠っていたためにおなかもすいていないので、軽めの食事で済ませて、まだ熱があったため、、再びベッドに戻った。

「こうして熟睡できたのはいつ以来だろう」

 そんなことを考えながら、夕食後の薬を服用して、再び眠ろうとしたのであるが、今度はなかなか寝付けず、かといって、皆のところにってテレビを観るわけにもいかないので、ラジオでプロ野球の実況中継を聴いていた。そうしているうちにいつの間にか眠っていて、気がつけば今度は夜中の3時であった。トイレに行って再び眠りにつくと、今度は悪夢を見た。あいつらに殺される夢を見たのである。夢の中で私は学校の教室の中にいた。そして渡部や浜山・増井たちが凶器の学校の図画工作の時間に使うカッターナイフやハサミを手に持って、次々と私の腹部や背中をめった刺しにしていくのである。そして、私が倒れこんで意識を失う瞬間

「あ、こいつやっと死ぬわ。これでうちらみんな幸せになれるなぁ」

 そう言うところで私はうなされて飛び起きた。姉は私がうなされているのを見て、何かあったのかと心配していた。私はうなされながら

「殺される‼助けてくれ~‼」と叫んでいたそうである。夢であるとはいえ、あいつらだったらやりかねんと思った。それと同時に、学校にも身近なところの凶器があるんだということが分かった。その気になればハサミやカッターナイフでも人を殺せるんだということを知った。それからであろうか

「あいつらにカッターナイフの刃を突き刺してやりたい」

 と思うようになったのは。

「許されるものならば、あいつらをめった刺しにしてやりたい」

 と言う殺意を抱くようになった。

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