表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/218

3級への進級

 そしてしばらくして発表された検定試験の結果発表。私も大森も合格していて、3級へと進級。これで目標としていた姉と同じ3級へと進級することになった。6年生になってからろくなことがなかった私にとって、久しぶりに明るい話題であった。頑張ったということで、いつものように近所の喫茶店で合格祝い。両親や姉・妹も祝ってくれた。このそろばんの検定試験は、親友の星田や今田、永井や柳井達にも話していて、合格発表があった次の日、学校に行くと、

「検定試験はどうやったんか?」

 と永井達に聞かれて、

「無事に合格しとったわ。俺も大森もこれで3級や」

 そう言うと

「めっちゃよかったやんけ。すごいなぁ」

 と言わってくれた。生活ノートで、先生にも結果を知らせると

「よう頑張ったなぁ。次の目標は2級か?」

 と言われたので、

「もちろん2級を目指します。絶対に姉よりも上に行こうと思ってます」

 と言うと

「頑張れよ」

 と励ましの言葉をかけてもらえた。このことが渡部や久保たちにとっては、先生が私を依怙贔屓しているという風に感じ取ったようで、

「お前さ、ちょっとそろばんの検定試験でええ成績とったからって威張るなや。めっちゃむかつくねん」

 と言ってきた。それを聞いていた大森が

「私も合格したけど、別に威張ってへんし、私もリンダ君もめっちゃ頑張ったんやで。その頑張ったことに対して、なんでそんなこと言わなあかんの?」

 と言ってくれたのであるが、正直、こいつらには何を言っても無駄・言い返したら余計に自分がやられるだけ。というあきらめにも似た気持ちになっていて、

「もうええねん。どうせこいつらに何言うたかて通じひんのやから」

「そんなん言うたって、せっかく頑張って合格したのに、あんなん言われたら悔しいやん」

「俺かってめっちゃ悔しいけど、言い返したら殴られるのは俺やもん。もうどうでもええねん」

 そこへ渡部が口をはさんできた。

「佳ちゃんもあまりリンダには関わらんほうがええで。こいつと話してたら口が腐るわ」

「だったら俺に話しかけんなや。腐る言うんやったらほっといたらええやろ」

 そういうと渡部は私のそばから離れていった。

「ごめん。せっかく俺を助けてくれたのに。でも気持ちだけでも嬉しいねん」

 そう言って謝意を伝えてその日は帰った。

「死ね」

 って言われると、自分自身生きている価値なんとどこにもないと思えるものであるが、ほんの数人でも助けてくれる仲間がいると、それだけで少し希望が持てるような気がした私である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ