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差別…。

 翌日、学校に行くと増井が変ないちゃもんを付けてきた。

「お前、徒競走で1位になったからって、めっちゃいきってんな。ちょっとええ成績とったからって、いい気になるな」

 と言うので、私は

「はぁ?別に1位とったからっていい気になってねぇし、自慢もしてねぇやろうが。何言うてんねん。変な言いがかりつけんな」

 と切り返した。増井は運動がとにかく苦手で、徒競走はぶっちぎりで最下位であった。でも、私以外にも徒競走で1位になったやつはほかにもたくさんいるわけで、とにかく私が上位に来ることが気に食わないのであった。

 そんなある日、増井の生活ノートが学級会の議題になった。自分の太っている体格をバカにされたというのである。誰がバカにしたのかは、はっきりとは言われなかったので、わからなかったが、

「なぜ、自分ではどうしようもできないことで、バカにされなければいけないのか」と、涙ながらに訴えていた。その議題に対して、クラスメイトからは、様々な意見が出された。

「自分ではどうしようもできひんことで人をバカにするのは卑怯やん」

「そんなこと言われたら先生とか、大人に相談したほうがええんとちゃうか」

「そんなこと言ってる人がいたら、きちんと注意せなあかんと思います」

 こういった意見が出された。自分ではどうしようもできないことでバカにされたら、先生や大人に相談する・きちんと注意するということで意見がまとまり、先生も

「自分がされて嫌なことは、絶対にしたらあかん」

 そう言っていた。でも、自分がされて嫌なことを他人である私にやってきているのは、ほかならぬ涙ながらに訴えていた増井本人であった。自分がされて嫌なこと・言われて嫌なことは訴えるが、私に対しての嫌がらせをやめないのが増井であった。

 そのようなことがあってから、多少増井に対する同情もあったのか、私に対して増井が嫌がらせやタックルをしてきても、それまでは

「あんた、そんなことやめときいや」

「なんでそんなことせなあかんの?」

 などと、どちかかというと、増井に対して冷ややかな意見をするものも多かったが、このことを境にあまり聞かれなくなった。私は増井が何か言ってきても取り合わないようにして、タックルしてきたら先生に相談するなどしてきたが、なかなか有効な手立てが見つからないまま時は流れていった。そしてこの増井に対する私がとった

「取り合わない」

 という行動が、のちに

「リンダには、何をしても反撃してこない」

 という誤解を与えて、それが反撃すら許されないいじめへと発展していくとは思ってもみなかった。今考えれば、いじめへとつながる事態はこの時すでに、始まっていたのである。

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