表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/218

自分の部屋

 しんちゃんの家から帰ると姉が帰ってきていた。

「卒業式はどんな感じやった?」

 と聞くと姉は

「やっぱり最後の日ということで、皆泣いとったわ」

 と話していた。来年姉は卒業生として、私は在校生代表として卒業式に参加することになる。

 春休みを迎えて、私はよくゴンの散歩に行っていたのであるが、学校が休みであるため、散歩の途中でクラスメイトと会うこともあって、クラスメイトの皆からもゴンはかわいがられていた。マメシバなので成犬になってもあまり大きくならないので、可愛いらしくて愛嬌があり、子供でも比較的飼いやすい点も人気があった理由なのかもしれない。

 そしてこの時期に大きく変わったことというと、それぞれ私と姉に自分の部屋を与えようということになって、姉は以前祖父が使っていた離れをそのまま使うことになり、母屋と離れをつなぐ形で家を増築することになったのである。家の増築には留兄ちゃんが大工をしているので、留兄ちゃんに設計や見積もりをしてもらって、3学期が始まってすぐに増築工事が始まった。私も学校が休みの日は建材の運び出しなどを手伝っては、新しい部屋が完成するのを楽しみにしていた。多分両親としては、大きくなったのでそれぞれに部屋を与えた方がいいのではないかということになったのだろうと思うが、今になって考えれば、ずいぶんと大きな買い物だったのではないかと思う。この増築に合わせて、トイレとバスルームもリフォームして、3か月ほどで完成した。このころの留兄ちゃんは建築士として、あちこちで仕事を抱えていて、忙しい仕事の合間を縫って私たちの部屋の築工事を行っていたので、時間がかかったようである。増築工事が済んだのは、私が5年生に進級した4月の終わりであった。

 この増築した部屋も、住んでいた家も、1984年3月末には取り壊されることになってしまうとは、まだこの時は夢にも思っていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ