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両親への紹介・伯母との面会

それから1週間がたって、私はさと子に

「俺の両親に紹介するから、明日は空けておくように」

 と伝えて、日曜日の昼過ぎ、さと子を私の両親に会わせた。両親は

「まぁ、お前もいい大人なんじゃから、俺らは別に交際を反対するつもりはないから」

「あんたが良ければそれでいいんじゃない」

 そう言って、私たちの交際を認めて、翌週の日曜日はさと子を母親代わりの育てたおばのもとへと、さと子と一緒に向かった。私は当然家がどこなのか知らないため、さと子の案内で向かったわけであるが、私の家から車で1時間くらいかかったであろうか。

 おばの家に着いて、家に上がらせてもらって、改めてさと子の生い立ちについて話を聞くことができた。両親が亡くなってから、県中央部にある私立高校に通ったこと、しょっちゅう弟と喧嘩をしていたこと、準看の資格を取るのに、看護学校を受験したが、県内で受けて落ちたら恥ずかしいので、県外で試験を受けてなんとか合格して、県西部にある公立病院で看護実習生として働いていたのであるが、さと子の同級生に新興宗教団体の信者がいて、親しく話をしているうちに新興宗教団体に入信するように言われて、怖くなって逃げだして、県中央部にある個人病院に就職して、今に至っていることなどが話された。そして帰り際に

「リンダさん、さと子はわがままで我が強くて、しょっちゅう肝を焼くことがあると思うけど、かわいがってやってくださいね」

 そう話していた。おじも

「こいつは散々手を焼かしてきたけど、これで少しはおとなしくなるんじゃないか。リンダさん、さと子のことをよろしく頼むね」

「散々手を焼いたって、いったいどんなことを今までしてきたんだ?」

 おじやおばがそう言うって言う事は、散々反抗的な態度をとってきたんじゃないかっていう一抹の不安を感じながらも叔母の家を後にして、さと子を病院まで送ってその日は家に帰った。


 




 自動車学校への入学


 翌日、さと子から電話があって、車の免許を取ることにしたと話していた。さと子の実家に住む祖父の所に帰るときは、バスを乗り継いで帰っていたそうであるが、交通が不便なところなので、何かあったときにすぐに帰れるようにと思って、免許を取ることにしたそうである。自動車学校はさと子が勤める病院から歩いて行けるところにあるため、病院の仕事が終わった後、夜間教習を受けることにしたと言っていた。自動車学校の授業料は2年ローンを組んで返済するという事であった。私もなるべく早く免許が取れるように、さと子に付き合うことにした。自動車学校の授業が終わるころを見計らって、自動車学校まで迎えに行き、私が運転する一連の動作をよく見ておくように言って、学科で習ったところのおさらいをして、勉強に付き合っていたのであるが、なかなか物覚えが悪く、学科ではほかの人の車を運転する動作を見ていたら簡単にわかるようなことを間違う・実技試験ではマニュアル車のクラッチを踏んでシフトチェンジする動作がうまくいかなくてしょっちゅうエンストを繰り返すなど、車の運転に関しては正直

「このまま本当に免許取って大丈夫なんか」

 というくらいのレベルであった。そして私からの提案で

「マニュアル車の運転には向いてないと思う。オートマ限定に切り替えた方がいいんじゃね?」

 そういうと、さと子も

「私もそうしようと思う。クラッチの踏み込み方とか、坂道発進とか難しいもん」

 などと言って、入学して確か2週間くらいで、オートマ限定に切り替えた。

 こうしてオートマ限定の教習に切り替えたさと子は、どうにかこうにか教習所内での教習を終えて、いよいよ仮免を受けることになった。私は

「オートマ限定だから、たぶん受かるんじゃないか」

 と思っていたが、一時停止のところで一時停止をしない、車線変更の時にウィンカーを出さないなどを指摘されて、不合格となった。もう一度受けなおして仮免をとって、いよいよ路上教習となったわけであるが、ここでも、教習所から出る前に一時停止をせずに路上に出ようとしたため、教官からブレーキを踏まれて注意を受けたようである。教習が終わって教習所から出てくると

「私あの教官大嫌い。すごく細かいところまで言ってくるんじゃもん」

 などと言っていたが、車を運転するとはどういうことなのか解っていないみたいなので、私からも

「車を運転するということは自分だけの命だけじゃなく、他の人の命もかかっているということ。一時停止せんかったら、それくらい厳しく言われて当然」

 というと、機嫌を損ねて

「あんただけはわかってくれると思っていたのに、あんたも教官と同じことを言うんじゃね。何よちょっと先に車の免許を取ったからって偉そうに」

 などというで

「俺の運転しているとき動作をよく見てろ。お前は他の人がどういうふうに運転しているか全く見てないから、初歩的なミスを犯すんだよ」

「でもあんたの車は、私が今習っている車より大きいし、マニュアル車じゃん。どこをどう見ればいいんよ」

「あのなぁ、車が大きかろうが小さかろうが、マニュアル車じゃろうがオートマ車じゃろうが、車を運転するときの基本動作は一緒じゃろうが。そんな屁理屈を言っているからいつまでたってもうまくならねぇんだよ」

 そう言って、私の車を運転するときの動作を見させていた私であるが、一通り車を走らせて、私の運転動作がどうだったか聞いてみると

「いまいちよくわからんかった」

 と言っていたが、正直私はこの時

「もう、車の運転免許なんかとるな。車を運転しだしたら事故るのがおちじゃ」

 そう思った。そして、路上教習に出る度に、一時停止しない・車線変更するときにウィンカーを出さない・教習所から路上に出るときに、歩道に歩行者がいるかどうか確認していない・スピードを出しすぎるなどの注意を度々受けて、路上教習は一向に前に進まず、どんくささを発揮していた。それでも1か月以上はかかったが、何とか路上教習も終えて、いよいよ卒業検定。この時、さと子は発進させる前に座席の位置が自分に合っているのか、サイドミラーやルームミラーの角度が自分に合っているのかなどの確認をせずに発進させようとして、一発で卒業検定を落とされた。そして卒業検定が終わってからまた愚痴り始めた。

「本当あの教官、私を落としてそんなに面白いんかね」

 などと言っていたので、落とされた理由を聞いてみると、先ほどの確認を全くしなかったことが理由であった。落とされた理由を聞いて私は正直呆れた。出発前の安全確認は最低限やらなければいけないことだっていうのは習っていたはずで、それをしなかったのはさと子の責任以外の何ものでもないはずである。私が

「そりゃー落とされて当然じゃわ。出発前の安全確認なんて最低限やらんといけん事じゃろうが」

「だって、あんたは出発前に座席の位置とか、ミラーの位置とか確認してないじゃん」

「あほかお前は。これは俺の車。俺が毎日乗っているんじゃから、座席の位置も今の位置が一番ピッタリじゃし、ミラーの位置もぴったり合ってるにきまってるじゃろうが。第一俺以外の誰かが運転した時は、必ず自分で調整して、元に戻しちょるわ」「だったらそれを早く言ってくれればいいじゃん」

 など言っていた。それから数回路上教習を行って、次の卒業検定でようやく自動車学校の卒業が認められて、免許試験センターでの筆記試験に臨むことになった。私も試験対策として彼女に付き合って、筆記試験の問題を出したり、常識的な問題を出したりしていたが、筆記試験でも落ちて、2回目でようやく免許が交付されるといった具合であった。こうして免許は取れたが、まだ車を買うだけの資金がなかったので、車の運転はまだ先のことになるのであった。


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