表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
209/218

養護施設での演奏

 養護施設での演奏のその前に、私が所用で車を運転しているところを、同じトロンボーン担当のまりちゃんが偶然見かけて、まりちゃんの運転する車に、同じ病院に勤めるさと子という女性が乗っていて、二人で

「今すれ違ったワインレッドの車、リンダっていう先輩の車なんよ」

「そうなん?なんかすごい背の高い人のように見えたけど」

「バンドの中では一番背が高いよ。今度会ってみる?」

 などと話していたようである。このさと子という女こそが後に私と付き合い、私の人生を滅茶苦茶に破壊することになる女性だったのである。

 そして迎えた施設での発表。小さい子供から高校生まで多くの子供たちが一緒に暮らしているということで、それはまぁ賑やかであった。普段は学校の先生と、養護施設の職員の方という限られた大人としか接する機会がない子供たちにとって、私たちはいい遊び相手だったようである。そのような子供たちの相手をしながら楽器の用意。無邪気な子供たちは

「これ、なんていう楽器なん?」

 と聞いてくる。なかなか見かけることのない楽器が多いので、私は

「これ?この楽器はねぇ、トロンボーンって言う楽器だよ」

 というと、物珍しそうに

「ふーん」

 と言いながら眺めていた。この日集まった楽器はフルート、クラリネット、アルトサックスとテナーサックス、トランペット、ユーフォニウム、ホルン、トロンボーン、チューバ・ドラムであった。そして演奏前の最終チェックでチューニング。チューニングが終わって、ドラムによるカウントダウンが始まって、スマップメドレーが演奏された。スマップは当時から絶大な人気を誇っており、女子の中には演奏に合わせて歌っている子もいた。スマップメドレーの演奏が終わったところで、楽器紹介。フルートから順に紹介していって、紹介された楽器奏者が音を出して、どの様な音が出るのか体感してもらおうという事であった。私達トロンボーン担当の3人は、とんねるずのガラガラヘビがやってくるのサビの部分を演奏して、大いに受けた。楽器紹介が終わって、再び演奏がスタート。セーラームーンのテーマソングや、ドラえもんのオープニングなどを演奏して、最後に残ったのが、今回の演奏曲目の中で一番苦労したサザンオールスターズのヒット曲メドレー。このサザンメドレーだけは他の演奏曲よりも気合入れて演奏しないと、絶対に音が出なくなるという思いもあったので、カウントダウンが始まる時には、私自身相当気合が入っていた。メドレーの一曲目はチャコの海岸物語。まずはここを何とか乗り切らないと話にならないので、必死にトロンボーンに息を吹き込んで演奏していた。そして2曲目がいとしのエリー。この曲はサザンの中でも名曲の一つであるが、テンポはゆっくりなため、ここでまずは一息ついて、次に控えている最難関の艶色THE NIGHT CLUBに備える。この艶色THE NIGHT CLUBは、キーが高く、テンポは速く、ひたすら主旋律で、特にサビの部分は相当苦労した。その一番しんどい部分に入っていったわけであるが、私にとって一番心配だったのが、一番高いラの音が出せるかどうかであった。3小節前の部分から音階が高くなって行くので、その勢いを利用してそのまま突っ切る作戦であったが、何とか無事に出すことができて、最も難しい部分をクリアーして、サザンのヒットメドレーも無事に終わって、楽器を片付けた後は、子供たちとのふれあいタイム。一緒に室内で出来るゲームをして楽しんだ。伝言ゲームや、ジェスチャーだけで次の人に伝えていって、正解が何だったかを当てるゲームなど楽しんで、養護施設での演奏会は無事に終わりを迎えた。そしてこの後、ドラムとチューバは学校からの借りものなので学校に返して、各自持ち込んだ楽器を自宅に置いた後は、しばらく休憩をとって、夕方居酒屋に集まっての打ち上げ。まぁ、半分同窓会みたいな感じであった。

 そして、打ち上げが終わった後は、翌週の練習は休みで、いざ土曜日の夜に家にいるってことになると、かなり暇であった。なので、貴ちゃんのところに電話してみると、すみちゃんも遊びに来ているということで、私もお邪魔することになった。そして次のOB・OGバンドのステージの発表についての話があって、次は高校の文化祭での発表ということに決まった。まだこの時は、具体的にどんな曲目を演奏するかなどは今ってなかったが、当面はこの目標に向けて準備を進めていくことになった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ