姉の結婚式
そのバブルが崩壊した年の6月、再び浜山から同総会参加の出欠を確認するハガキが届いていた。同窓会の実施はお盆休みが終わった次の土曜日に行われるという。私はこの時正直言ってどうしようか迷った。星田や永井たちとは高校を卒業して以来会っていない。大阪に残してきた親友とは会いたい。でも、浜山や渡部といった、私に危害を加えた相手を目の前にしたとき、私自身が冷静でいられるかどうか、不安があった。この当時でも
「会ったらあいつらの顔を思いっきりぶん殴ってやりたい」
そういう思いを抱いていたのも事実で、目の前にしたときに、警察沙汰になるような事態になるのではないか。そういう不安を抱いていた。その一方で
「あれから8年が過ぎて、みんなもういい大人なんだから、馬鹿な真似はしない」
という思いもあって、散々迷ったが、参加の方に〇をつけてポストに投函した。
その6月、姉は結婚式を挙げた。相手の人は下関出身の人で、大手通信会社に勤める人であった。何回か家にも来ていて、この年の初め頃だったと思うが、両親にも挨拶に来ていて
「結婚を前提にお付き合いをさせてください」
と言っていたのを今でもはっきりと覚えている。そして、6月のジューンブライドで市内の式場で、双方の親兄弟、親戚や友人が集まって盛大な結婚式と披露宴が行われた。私も何度か結婚式に出たことはあったが、自分のきょうだいの結婚式というのは初めてで、親族紹介などにも出席しなければいけないため、かなり緊張した。大阪からも親戚がたくさん集まっていて、弘姉ちゃんの結婚式以来会う大阪の叔母や親せきとも昔話に花が咲いた。結婚式では姉は何度か衣装を着替えなくてはならないため、かなりハードだったみたいで、ゆっくりと食事をする暇などなかったようである。この時私は主役ではないため、披露宴は気楽なもので、飲んで食べて、祝福の意味も込めて長渕剛さんの乾杯を歌ったりして過ごしていた。その結婚式も無事に終わって、翌日、姉夫婦は北海道に新婚旅行に出かけて行った。




