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ボーナス

 そして私が一人で通勤するようになってしばらくして、夏のボーナスが出た。このボーナスは、夏休み用に使うお金以外は貯金に回して、10万円ほどを銀行口座に残しておいた。夏のボーナスが出るころになると、工場の中はかなり暑くなって、熱中症対策が課題となる。やはり工場建屋の中は熱が籠りやすく、大型のクーラーがいたるところに設置されているが、それでも夏場は30度以上になる。そのため、各自で作業の合間を縫って、水分補給することが認められていて、私は魔法瓶にお茶を入れて持参していて、作業場の脇において水分補給をしていた。その暑さにも慣れてきたころ、大阪から一通のはがきが私に届いていた。差出人は浜山であった。小学校の同窓会をするので、出欠の確認をしたいという事であった。正直私は迷った。私が小学校を卒業して、この時6年が過ぎていた。確かに星田からは私に危害を加えたことに対して、申し訳ないということを言っているという話も聞いていた。浜山達からすれば、

「もう6年も過ぎ去ったのだから、一度きちんと話をしたい」

 という思いもあったのかもしれない。でも、まだこの当時の私は、自分がいじめられて、辛い思いをしている夢を見ることが多く、その度に激しい動悸を感じていたのも確かで、まだ完全にはがきをよこした浜山や、渡部たちのことを許せたわけではなかった。でもその一方で、もういい加減自分の過去に降りかかった出来事を振り返っていても仕方がないという思いもあって、参加するかどうか迷ったのであるが、最終的にはまだ許せないという思いの方が強く、不参加の方に〇をつけて、返信用はがきをポストに投函した。それからしばらくして、久しぶりに星田から電話があった。

「やはり同総会には出んのやなぁ」

 という事であった。浜山からの伝言で

「いつか大阪に帰ってきたら、話ができるといいなと思っている」

 ということを話していたようである。この話を聞いてもいつかは許せる日が来るのだろうか…。そう思う私がいた。

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