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職場デビュー

そして、この研修の期間中に同じ部署に配属されたのが、与田であった。彼とは入社以来、ずっと同じ部署で仕事をした仲間で、もうかれこれ30年の付き合いになる。彼も研修が終わると山口に帰って、山口県内の工場で働くことになっていた。彼と一緒に研修を受けて、4月末になって、山口に帰る日がやってきた。金曜日の研修が終わって、いろいろと指導していただいた先輩や、上司に挨拶を済ませて、寮に帰って再び荷物の整理をして、荷物を宅配便で山口に送って、帰る用意をしていたのであるが、不意に寮で一緒になった仲間から

「今晩が最後なんやから、一緒にどこか食べに行こう」

 と誘われて、バスに乗って夜の街に繰り出した。駅前の喫茶店を見つけて、いろいろと食べたり、ジュースを飲んだりしながら楽しく過ごして、夜は更けていった。夜11時を回って、流石にこれ以上遅くまで外に出ていると、帰りのバスが無くなるということで、寮の近くまで行くバスに乗って寮に帰ったのが午前0時ごろ。そこから着替えて布団に入って眠りについた私である。

 翌日、皆は一足先に帰っていたが、私は母の実家で道路拡張に伴い、立ち退きすることになっていて、新たに建てた家で棟上げ式に出席するため、皆とは別の便で帰った。母の実家の最寄り駅で降りて、母に迎えに来てもらい、どうにか棟上げ式にギリギリ間にあって、久しぶりに会う親戚と言葉を交わして祝った。棟上げが済んでから昼食を済ませて一か月半ぶりに家に帰って、また山口での生活が始まった。そしてゴールデンウィークの谷間の平日。私は免許取得のため、運転免許センターに向かった。私は筆記試験に合格すれば運転免許がもらえる状態であったため、実技は免除。指定された時間までに会場入りして、時間までは問題集を読みながら時間まで過ごしていた。やがて試験官が会場に入ってきて、問題用紙と回答用紙が配られ、筆記試験がスタート。問題を解いてみると、普段私の親が車の運転の時にやっている動作を真横でよく見ていたので、さほど難しい問題はなかった。試験の時間が終わって解答用紙が回収されて、合格発表までの時間は何もすることがなく、家から持ち寄った単行本を読みながら時間を潰していた。そして合格発表が行われて、私の名前も呼ばれて、無事に運転免許を取得することができた。ただ、運転免許は取得したが、肝心の車がまだ手元に届いていなかったため、車が納車されるまでは電車とバスを乗り継いでの通勤であった。

 ゴールデンウィークが終わって、会社の始業時間に間に合うように、朝5時半ごろには起きて、朝食を済ませて私の家の最寄り駅までは自転車で行って、電車に乗って15分ほど揺られて電車を降りて、今度は工場の近くまで走るバスに乗車。こうして工場の正門に着いたのが7時40分ごろ。正門で守衛の人に新入社員歓迎セレモニーが行われる場所を教えてもらって、会場入りしたのが8時ごろ。すでに与田は会場に入っていて、1週間ぶりの再会を喜んで、山口工場での詳しい配属先が通知される。残念なことに、私と与田は昼夜勤交代で、私とは反対直に配属されてしまい、一緒の職場での仕事とはならなかった。そして、私たちはまずは昼勤で1週間、それぞれの部署で仕事を覚えることになるのであるが、やはり新入社員ということで、まずは簡単な作業からのスタートであった。まずは先輩のしている作業を間近で見て覚えるのであるが、研修を受けていた所とはまた違った設備が導入されており、作業自体も微妙に違うので、研修中に習ったことを基本にして、新たに覚えるような感覚であった。私が配属された部署は総勢20人ほどのところで、簡単な作業であるため、見た後は実際に作業に入って、他にも一緒に配属された新入社員と一緒に交互に作業をしてみる。先輩は後方で危険なことがないかとか、作業に間違いがないかとかを確認しながら指導する体制に入る。初めはなかなかおぼつかない感じであったが、何回か繰り返し作業をするうちに慣れてきて、次第に一人でもこなせるようになっていた。翌日からは私たちが作業を行って、先輩が後方で見守る体制が取られた。こうして1週間が過ぎて、いよいよ私たちも夜勤に入ることとなった。


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