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卒業式

 高校生になってからは自分が得意な科学の実験をたくさんこなし、初めはマイコン同好会に入部して、そのマイコン同好会が廃部になるという、アクシデントに見舞われながらも、その後に入った吹奏楽部で青春を謳歌し、アルバイトをしながら、自分の好きなことにお金も使えるようになって、12年間に及ぶ学校生活は終わりを告げた。卒業式では、生徒一人一人の名前が、各学科ごとに呼ばれ、卒業証書を受け取りに、壇上に上がって、校長先生に一礼した後、卒業証書を手渡され、在校生代表による送辞と、卒業生代表による答辞が読み上げられ、校長先生の祝辞に送られて、私は3年間通った学び舎を後にした。私自身、この12年間で一番楽しかったのが、高校生活で、小学校の時にいじめられて味わった、激しい暴力や罵声を浴びせられることも、罵倒されることもなく、中学校時代に吹き荒れた校内暴力に直面することもなく、一番充実した時間であった。学校生活の中で、最後の3年間だけではあったが、楽しい思い出を作ることができたのが、せめてもの救いだったように思う。高校の時のメンバーは、それぞれ別々の道を歩んで、今はそう顔を合わすこともなくなってしまったが、高校の時の卒業アルバムを眺めていると、その当時の懐かしい思い出がよみがえってくる。

 私が過去に戻れるのであれば、小学生の、まだ自分がいじめ被害に遭う前に戻って、その先に自分の身に降りかかる出来事を伝えて、いじめの被害に遭わなくて済むようにしたいのと、もう一度高校生の頃に戻って、懐かしい友とゆっくりと話をしてみたいと思う。

 卒業式が終わると、私が就職先に選んだ会社の入社式が行われる3月15日までは、昼間家にいることになるので、自動車学校に通いつつ、入社に必要なものを買いそろえて、私が社会に旅立っていく準備を進めることになる。私が就職先に選んだ会社は2交代制で、昼勤と夜勤が1週間ごとに行われる。私が就職したころは、バブル景気な真っただ中であり、日本中が好景気に沸いていたころである。そのため、私が就職した会社にも、多くの高卒新入社員が採用されて、同じ高校の卒業生も結構いた。この時はまだ、どこの部署に配属になるのかなどは、知らされていなかったのであるが、社会に出て仕事ができる喜びと、ほんの少しの不安とが入り混じっていた。この当時の私の一番の不安要素は、入社式が行われる3月15日までに、自動車学校を卒業できるかどうかであった。というのも、入社式は県外で行われ、研修も県外であるため、入社式の後は、ゴールデンウィークまで、山口に帰れないということになっていたのである。何としても入社式が行われる前日の、3月14日までに卒業検定をパスしておく必要があったのであるが、日程的に考えて、卒検に合格するのは、ぎりぎりの日程で、それも一発で卒検を合格しての話であった。そのためにはまず、自動車学校に行かないことには話にならないので、時間上限まで予定を入れて、何とか卒検をパスしたのが3月14日であった。こうして慌ただしく3月15日を迎えて、私は入社式に臨むため、新幹線に乗って入社式の会場に向かったのであった。


 この後は社会人編へ続く。


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