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初めての車の運転

学科は、普段私の親がしていることをそばで見ていたので、大体のことはわかっていたが、実技の方は、自分が車のエンジンをかけて、運転操作をしなければならないため、けっこう緊張する。教官からキーを受け取って、実際に初めてエンジンをかけて、クラッチを踏んで、ギアを切り替え、アクセルを踏み込んで加速する操作や、ブレーキを踏んで、減速する操作などはかなり難しかったように思う。それよりも、教官から

「ここは制限30キロだから30キロまでスピードを上げて」

と言われて、実際に30キロまでスピードを上げると、相当なスピード感があって、両親の運転する助手席に座って眺める風景と、運転席に座って、自分が運転操作をしながら見える景色は、全く違って見えるものなんだなと思った。今では30キロの速度で走行しても、スピード感を感じることはないが、あの時は

「こんなに速いのか」

と思ったのを、今でもよく覚えている。今の時代とは違って、オートマ限定の免許というのがなくて、皆最初はクラッチ操作をして、シフトチェンジをしながら運転操作をしていたのであるが、慣れてしまえば、最初感じていた難しさは感じなくなっていた。実技が進むに従って、次第にコースの難易度も上がっていって、坂道発進に初めてトライすることになった。坂道でいったん車を停めて、サイドブレーキを引いて車が下がらないようにしてから、ギアをローに入れて半クラにしてサイドブレーキを解除して発進するというものであるが、これはちょっと手間取った私である。しかしその坂道発進も無事にこなせるようになって、路上教習に必要な、仮免の取得に向けた実技試験が教習所の中で行われ、ちょっとした油断があったのか、坂道発進の時に少し後ろに下がってしまって、一発で合格することができずに、もう一度やり直しとなった。次の実技試験では無事に合格して、いよいよ私は人生で初めて車を運転して一般道に出ることになったのである。

 初めて自分でハンドルを握って、」路上に出るというのは、いくら教官が同乗しているとはいえ、かなりの緊張感を伴う。路上に出るということは、教習所とは比べ物にならないくらいの車の往来や、人が行きかっているわけで、その分、事故を起こす可能性もあるという事。そのことを頭にいれながらの”路上デビュー”であった。私が教習所に行くのは、学校が終わって、いったん家に帰ってからなので、たいていは夜7時ごろになる。夜7時ごろというと、まだ帰宅ラッシュが続いており、人通りも多い時間帯である、しかも夜なので昼間に比べて、どうしても視界が悪くなる。安全に気を付けながら恐る恐ると言った感じで教習所を出て、教官の指示の通り車を操作して、1時間の路上教習が終わって、自動車学校に帰ってきたころには、どっと疲れが出ていて、帰りの送迎バスの中では爆睡していた。そんな中でも少しずつ路上教習にも慣れてきて、路上教習が中盤に差し掛かったころ、私は3年間の高校生活が終わって、3月1日に卒業式を迎えた。


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