一般常識の模擬試験
専門教科の実験が次のステップに入るころには、夏休みが近づいていて、部活ではコンクールに向けた練習にも熱が入ってくる。トロンボーンは、イントロ部分から主旋律を演奏することになっているので、絶対に音は外せないという気持ちを込めて、演奏したからか、最初はミスをすることも多かったイントロ部分も、ほとんどミスらずに演奏できるようになった。あとは音の強弱記号で、ほとんどがフォルティッシモ記号だったので、最後まで息を切らさずに、いかに演奏をやり切るかであったが、私は生まれつき肺活量が多く、ほとんど息切れすることもなく、演奏することが出来た。
やがて迎えた3年生の夏休み。このころになると自分の進路をどうするのか、決めなければいけなくなってくる時期であるが、私は自分の夢のために、就職するということを決めていたので就職面接の模擬試験や、入社試験で問われるであろう、一般常識を問う問題などを解いていた。そして、担任の先生が私の一般常識の問題の正答率が、常に学校でトップであるということで、全国で行われる試験を受けてみてはどうかという提案をしていただいて、物は試しにと思って受けてみることにした。試験は9月に行われるということで、それまで一般常識の問題集を解いて、部活が終わって家に帰ると、机に向き合う日々が続いていた。問題集で出されている問題としては、世界の主な国の首都の名前とか、主要な国の国家元首の名前、歴史や人物名・経済用語や世の中の動向を問う問題であった。これらの情報は、毎日ラジオニュースを聴いたり、新聞を読んだりして知っている事柄だったので、果たして自分が全国でどれくらいの知識を持っているのか、自分の立ち位置を知る上でも大事なことであった。
夏休みに入る前、ユッキーやえみちゃんも一緒に同じテストを受けていたのであるが、
「リンダ君どうやった~?」
「うーん。まぁまぁかなぁ」
そんな話をしながら答案用紙が返却されると、毎回ほぼ満点であったので
「リンダ君はどうやって勉強してるの?」
「俺?俺は特に特別なことはしてないよ。まぁ、毎日必ずテレビやラジオのニュースを見たり聴いたりしてるのと、新聞は必ず全部目を通すようにしてるよ。結構経済用語とか、主な国の国家元首の名前とか出てくるからね。あとはクイズ番組はよく見てる」
「ふーん。そうなんじゃあ。それにしてもすごいね…。今回も満点じゃったじゃん」
そのようなことを話した覚えがある。




