児童間のバイト
やがて3年生のゴールデンウィークを迎えて、児童館でもバイトの稼ぎ時となった。だいたい1日おきくらいにバイトを入れていたので、1週間で3日くらいのバイトに行っていたであろうか。ゴールデンウィークということで、子供たちがいつもよりもまして増えていて、監視員の役目もかなり大変であった。やはり子供たちが危険なことをしていないか見張ってなければいけないし、時には注意書きで、
「運動遊具は一人ずつ」
と大きく書いてあるのに、大人がそれを無視して子供たちを遊ばせるものであるから、保護者に対して
「この遊具は、けが防止のために、一人ずつと決まっています。順番を守ってください」
と、年下の私が注意することも度々であった。そして16時30分に児童館が閉館すると、今度は片付け。マットをしまったり、床を掃除したり、遊具を拭いたり、職員も総出でするのであるが、30分くらいはかかっていたと思う。そして、すべての片付けと点検が終わり、一日分のバイト代を受け取って、自転車を走らせて、いつものように書店に立ち寄って、文庫本を買ったりして、家に帰るのが18時ごろ。家に帰ると、おなかもすくし、気が緩むので、食事までの間に横になっていると居眠りをしたり、今みたいにスマホやパソコンがなかったので、リビングでテレビを観たりして過ごしていた。そしてゴールデンウィークが終わると、いつもの学校生活が戻ってきて、授業が終わると部室へ直行。1年生との息も、このころになるとばっちり合うようになっていて、スカイハイを演奏し始めたころに比べると、だいぶ上達していたのが分かる。私が3年生の時のコンクールの県予選は、下関で行われることになっていて、その本番に向けての練習はかなり熱が入っていたように思う。
そして5月も終わりになると、2年生が修学旅行で沖縄に行く。詳しく話を聞くと、行きも帰りも飛行機で沖縄に行くという。去年、私たちが船で行ったのとは大違いであるが、移動時間が短くなった分、4泊5日に日程が短縮されたようである。りっちゃんやゆうちゃんに
「お土産は何がいいですか?」
と聞かれて、私も清田もチンスコウしか思い浮かばなかったので
「沖縄と言ったらやっぱりチンスコウっしょ」
というと、
「わかりました~。買ってきます~」
などと話していた。
そんなある日、私がいつものようにチューニングしていると
「チューニングに時間がかかりすぎている」
と佐々岡先生からダメ出しがあって、チューニングのやり方を変えることになった。一人ずつ音を出して、それが高いのか低いのか伝えると次に行って、音程がずれていたところだけチューニングして、音程を会わせるという方法に変えたのであるが、下級生からはこの方法はあまり好評ではなく、
「前のやり方に戻してほしい」
ということだったので、しばらくすると元に戻した私である。なんでもチューニングするときの、ちょっとしたやり取りができなくなって、面白くないということであった。
「まぁ、そう言うものなんかなぁ…?」
と思ったが、皆が楽しければそれでいいのかなと思いつ、練習に励んでいた私である。




