初めての高校の文化祭出演
月日がめぐって、クリスマスシーズンがやってきた。児童館の前にもクリスマスツリーやースが飾られて、クリスマスの雰囲気を盛り上げていた。そのツリーを作成するのに、私たちも一役買って、完成した時雄は皆で喜んでいた。そして、11月23日、私たちの学校の文化祭が行われた。各学科の嗜好を凝らした展示が行われるほか、体育館では文化部のステージ発表が行われる。去年は観客席から見た文化祭であったが、今回は吹奏楽部の一員としてステージに上がって、演奏する側として文化祭に参加することになった。体育館のステージ脇で演劇部の激が終わるのをじっと待つ。ユッキーや恵美ちゃん、みっちゃんや直ちゃんがステージ上でそれぞれの役を演じるのを観ながら、やがて終わると会場から拍手が沸き起こる。そして幕が降りて次は私たちの番。準備の途中で、みっちゃんと少しだけ話す時間があった。私が
「みんなすごい頑張っちょったじゃん」
というと、みっちゃんが
「次はリンダ君たちの番じゃね。頑張って」
「おう、任せてちょ」
そう言って彼女たちはステージを降りて行って、私たちの準備も整い、幕が上がった。先生の指揮でタクトを振り下ろして演奏が始まった。最初の曲は翼の折れたエンジェル。私が中学3年生の頃にヒットした曲で、中村あゆみさんのハスキーヴォイスが特徴的な曲である。イントロ部分はいきなりトロンボーンの主旋律で、見せ場の一つであった。イントロをばっちり決めて、調子をつかんだ私は、そのあとも快調に演奏を続けていた。曲が終わるごとに拍手が巻き起こる。夏休みのコンクールは緊張して思うような演奏ができなかったが、今回は落ち着いて演奏することが出来て、私個人的には非常に満足のいく演奏だったと思う。このときは合計5曲ほど演奏して吹奏楽部の演奏は無事に終わった。
演奏が終わって、楽器を体育館から音楽室に移動させながら、一緒に演奏した、たかちゃんなどといろいろと話をしたが、みんなやり切ったというような顔をしていた。
私たちの発表も無事に終わったので、そのあとは自由に展示物を見たり、食事してもいいということだったので、私と清田は、おなかが空いていたということもあって、喫茶室に行ってうどんを食べた。11月も下旬になると結構冷えるので、冷えた体に温かいうどんがおいしかった。そして昼食をはさんで、15時ごろ文化祭は終わり、私たちは帰宅の途に就いた。実を言うと、私の両親や姉や妹にも、吹奏楽の発表があるから見に来てほしいと誘いをかけていた。ステージ上から私の両親や姉たちが来ているのが見えたので、終わって帰ったら、どんな様子だったか聞いてみようと思ったのである。
「人数が少ないのに、ものすごく迫力があった」
「兄ちゃん上手じゃん。私、生の演奏初めて聴いた」
などと言う反応であった。一生懸命頑張ってきたかいがあったなと思った瞬間である。




