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高校最初の体育祭

 やがて夏休みが終わって、2学期が始まった。このときはまだ、フラッシュバックが続いていたが、だいぶ落ち着いてきてはいた。なので、クラスの皆は私の心の中で、フラッシュバックが起こっていることなど、想像もできなかっただろうと思う。私が学校に向かっていると、ユッキーが自転車こいで、学校に向かっているのが見えた。私が追い付いてユッキーに

「おはよう。夏休み何かいいことあった?」

 と話しかけて、ユッキーは

「うーん。特に変わったこともなく、普通に過ごしてたよ。そう言えばリンダ君とこ、誰か来てたじゃろ?」

「あぁ、大阪の友達が来てた。大阪から鹿児島まで、自転車旅行の途中で泊まっていったよ」

 ユッキーの家と、私の家はすぐ近所なので、時折私の家の前を通ったりしていたのだろう。私が

「暑いから、早く学校に行ってゆっくりしようや。先に行くよ」

「じゃあまた後でね」

 そう言って、先に学校に向かった。再び普段の生活が戻ってきて、1か月半ぶりに皆と会うと、どこそこに出かけたとか、どんなことをしたとかで話が盛り上がる。私のこの夏休みの一番の思い出と言うと、星田と柳井が大阪からやってきたことである。そんな中、清田が

「リンダ、俺自転車に乗って旅行してみようと思う。お前も一緒に自転車旅行しようや」

 と言ってきた。完全に星田と柳井の影響を受けたようであるが、私は自転車で旅行することには、あまり興味もなかったので断ったが、清田はどちらかと言うと、ほかの人がやっていることにすぐに感化される傾向があり、

「自転車こいで、下関まで行ってみようや」

 と言っていたが、下関に行くために、長距離の運転にも耐えられるような、高価な自転車を買って、下関に行って一体何をするのか、何がしたいのか、それが解らなかったので、この話に関してははっきり断った。このほか、清田は大のバイク好きで、よくバイクの雑誌を持ってきては、私にこのバイクは出力がどれくらいあって、排気量がどれくらいでとか、私に話していたが、私はバイクに関しては全く興味がなかったので適当に話を合わせていたが、私がバイクの話に全く食いつかないので、清田は不思議そうな顔をして、

「リンダさぁ、バイクに興味を持ったことないんか?」

「別に…。興味ないしな…」

「嘘やろ?普通男じゃったらバイクに興味持つやろ?」

「悪いけど俺、全然興味ないわ。鉄道とか、天体物理に関することやったら興味あるけどな」

 清田は、自分がバイクに興味あるから、私もバイクに興味あって当然と思っていたらしい。趣味は人それぞれ違うもので、私はたまたま、親の影響もあって鉄道関係を趣味としていて、化学が好きだったので天体や宇宙に、物理に興味を持ったに過ぎない。自分がバイクが好きだからと言って、ほかの人間も自分と同じようにバイクが好きだろうというのは、かなり無理がある。

 自分との趣味の違いで、多少の意見の食い違いがあったが、再び賑やかな高校生活が始まった。マイコン同好会の活動も再開され、同好会用にあてがわれている部室に放課後は通い詰めて、1学期はハレー彗星の2062年の軌道をパソコン画面上に表示させるデータを打ち込んで、画面上で表示させたが、2学期に挑戦したのが、火星の大接近の見え方。このデータを入力して、画面上に表示させるようにしていた。

 そして、体育祭の練習なども始まって、騎馬戦や綱引きなど、定番の競技から、部活対抗リレーと言う種目もあり、男女別に分かれてそれぞれ走るのであるが、マイコン同好会は人数が少ないということで、演劇部・吹奏楽部と合同チームと言う形になった。5人ずつが部活を代表して走るのであるが、私は文化部代表の第一走を務めることになった。

「全力疾走で走るのはいつ以来だろう?」

 そんなことを考えながら

「少しでも運動になればな」

 と思い、家に帰ると走る練習をしたりしていた。体育祭が行われたのは9月の半ば。まだまだ残暑が厳しい時期であるが、天気はまずまず。一番の見ものである部活対抗リレーは昼過ぎから行われる。私の予想では陸上部か、サッカー部が勝つんじゃないかと思っていた。普段から走る距離が長いし、瞬発的な力も強いだろうと思っていた。部活対抗リレーまでは紅白に別れて競技が行われる。普通なら学科別に競うものなのかもしれないが、私の所属している学科以外は、男子と女子でクラスが分かれており、単純に学科別で競うと、女子の学科が圧倒的に不利になるため、クラスを半分に分けて得点を競うのである。また、各学科で競うクラス対抗リレーと言うのもあったが、これは完全に男女で分けられていて、男子は5学科、女子は2クラスと私の学科の女子で、それぞれ男子は学年ごと、女子は1年から3年までが合同チームを組んで、それぞれ1位を競うのであるが、1年生のクラス対抗リレーで勝ったのは私たちが通った学科であった。そのクラス対抗リレーに私も選出されて走ったのであるが、小中学校の時得意だった中距離走は、高校でも健在だったようで、2位でバトンを受けた後、私が抜いて1位になった後は、一度もトップを譲ることなくゴールテープを切った。そして、部活対抗リレー。私は文化部代表の第一走者として、スタートラインに立った。周りはいかにも足が早そうな体育会系の奴らばかり。これも男女で分けられており、男女でそれぞれ1位になった部活を表彰するのであるが、皆優勝を狙って真剣なまなざしであった。そしてピストルの音が鳴り響いて一斉にスタート。私は

「皆に何とかついて行ければいいかなぁ」

 と軽く考えていたのであるが、いざスタートしてみると、トップとは僅差の2位で2走にバトンを渡した。思ったよりいい順位でバトンを渡すことが出来たので、よかったと思っていた。まぁ、その後次々抜かれて最下位に落ちたが…。それを見ていたみっちゃんと直ちゃんが驚いたという感じで

「リンダ君、本当にめっちゃ足が速いんじゃね」

 と言っていた。

「まぁね。短・中距離走は昔から得意じゃったからね」

 体育祭は無事に終わって、次の日。学校は休みで、いえでのんびりしていたら清田がやってきた。私も暇なので彼を家に上げて話していると、

「昨日は全力で走ったから、めっちゃ筋肉痛」

 などと言っていた。私はそんなに筋肉痛にはなってなかったが、彼は私よりも通学距離が短く、半分くらいの距離だったので、毎日自転車をこぐ距離の差が出たのかもしれない。


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