高校生編 高校1年生 高校入学
昭和62年4月8日、私は地元の県立高校の1年生となった。厳しい受験競争を勝ち抜いて腫れて入学が認められた私は、高校3年間で何をしようかいろいろと考えていた。さすがに中学生の時のように、なにも部活をしないというのは、青春時代真っ盛りでちょっと寂しすぎるなと思っていたので、自分に合う部活はないか考えていた。まぁ、部活は高校に通い始めてから決めればいいと思っていたが。
さて、4月8日の入学式。私は朝から入学式が執り行われると知っていたのであるが、母が何を勘違いしたのか
「入学式は昼からじゃけぇ、そんなに急がんでも大丈夫」
と言って暢気に構えているので、私が届いた入学案内に、入学式の時間も記載されていたので、それを見せて
「早ういかんと間に合わんようになる」
と言うと、母も自分の勘違いに気が付いたのか、マジな顔して
「なんでもっと早く言わんのんよ。ちょっと待って。今すぐに準備するから」
「だから何度も言ったじゃん。入学式は朝から始まるって。頼むから早く準備してよ」
私はすでに学校の制服に着替えが終わっており、母の準備が出来次第出発となったわけであるが、私たちが到着したときにはすでに入学式が始まっていて、かなり気まずい思いをしながら、自分の席に着席して入学式に参加した。
校長先生の入学許可宣言が出されて、正式に私たちは高校生としての時間を歩むことになった。入学式が終わって、同じ学科に入学した、同じ中学出身の佐田や倉田から
「リンダ~。いきなりお前、入学式から目立ってんなぁ」
と冷やかしを受けた。
「流石に入学式に遅れてくるというのはまずかったなぁ…」
そう思いながら、担任の先生が教室に入ってくるのを待っていた。担任の先生は、社会科担当の水田先生。まだ大学を出て5年ほどの若い先生であった。水田先生の自己紹介が終わって、それぞれ生徒の名前が、あいうえお順に呼ばれていく。私も名前が呼ばれて、男子が終わると女子の番。クラスは男子が28人・女子が12人。中には電車で1時間以上かけて通学してくる生徒もいるという。この高校には学生寮も併設されており、何人かは親元を離れて、寮生活を送る。そして翌日からは、真新しい制服に身を包んで、高校まで自転車でおよそ7キロの道を30分ほどかけて通学する生活が始まった。いろんな中学出身者が集まっているので、まぁ、クラスの中は賑やか。すぐにクラスの皆とも打ち解けることが出来た。まずは、クラスの各委員を決める選挙が行われたが、まだどんな奴が集まっているのか、よく解らない中での選挙には無理があって、クラス委員長を決めるのは、1週間先にしようということで、まずは1週間はクラスメイトの人間観察に時間が充てられた。そして1週間が過ぎて、あらためてクラス委員長を選ぶ選挙が行われて、投票の結果、吉山と言う、市の南部の中学校出身の男子が選ばれた。その他にも各委員が続々と決まっていって、今回私はどの委員にも選出されることはなかった。そして同じく、市内南部の中学出身の吉川と言う男子に
「部活何にするか決めた?」
と聞くと
「まだ決めてない」
と言う。一方、同じK中学校出身の佐田は野球部・倉田はテニス部に入部して、さっそく練習生として部活に参加したそうで、
「楽しかった」
と言っていた。
「リンダも早く部活決めた方がいいんじゃね?」
そう言っていた。数多くある部活の中で、私が気になったのがマイコン同好会。この同好会は、一般にも普及し始めていたパソコンのデータ入力や、パソコン上での計算などができるので、マイコン同好会に入部ならぬ入会することを決めて、届けを出した。佐田と一緒にいたF中学出身の清田が
「リンダ、部活は何にするか決めた?」
と聞いてきたので、私は
「マイコン同好会に決めたわ」
というと、
「そうなんじゃあ。俺は吹奏楽にしたわ」
などと部活の話で盛り上がっていた。こうして、私の意放課後の部活も決まり、高校生活が本格的にスタートした。




