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山口へ帰る

 1週間の滞在を終えて私が山口に帰る日がやってきた。おっちゃんは仕事があって

「見送りできんでごめんな」

 と言って仕事に向かった。私は、おばちゃんが作ってくれた、大阪滞在最後の朝食をおいしくいただき、4月2日の午前9時ごろ、T駅を出発。おばちゃんも

「新大阪まで一緒に行くわ」

 と言って、新大阪ま駅で見送りに来てくれた。お土産は大阪名物、蓬莱屋の551の豚まんとシュウマイ。これがみんな大好きで、おばちゃんが買ってくれた。そして、新大阪始発のひかり号に乗って、山口へと向かった。別れ際に

「また大阪に帰って来いよ」

「あぁ、また帰るからな。その時は連絡するわ」

「リンダ君、気をつけて帰るんよ。また遊びにおいでね」

「ありがとうございます。また、その時はお世話になります」

 そう別れの挨拶を交わしていると、発車のアナウンスが流れ、やがてドアが閉まり、静かに新大阪駅を発車して、一路西に向かった私である。

 新幹線の車内では、過ぎ去っていく景色を眺めながら、3年ぶりに見た故郷を思い出していた。私が生まれ育ったT市の駅前の、少しごちゃごちゃした感じや、駅前のスーパーや、私たちが住んでいたところなど、3年前と変わっていなかったことに、少し安堵した私である。その一方で変わったところもあった。私たちが山口に引っ越ししてから、私がよく利用していた私鉄に、新型車両が投入されていて、特急型車両も新型車に置き換わっていた。昔懐かしい風景がそのまま残っていた一方で、鉄道車両に関しては少し変化があったようである。そう言えば新幹線にも100系が投入されて、2階建て車両が登場したのも、大阪から引っ越しした後であった。

 大阪での1週間の滞在の間のことを思い出していると、いつの間にか眠ってしまったようで、目が覚めたら福山駅を出発して、広島駅に向かっているところであった。高架の新幹線から福山城がちらりと見えた。三原駅を通過して安芸トンネルを潜り抜けて、速度が落ちてくると広島駅に到着。ここから私の乗ったひかり号は、博多駅まで各駅に停車していく。先に速達タイプのひかり号を発車させて、そのひかり号からの乗り継ぎ客が乗ってきて、各駅に停車する度に降車していく。そして山口に帰り着いて、最寄り駅まで電車に乗る。最寄り駅について、停めてあった自転車を探すとどこにもない。盗難にあったみたいで、この時間帯は両親は仕事に行って家にいない。この大量の荷物を抱えて、仕方なく歩いて帰ることに。マジで盗んだ奴に怒りを感じた私である。きちんと鍵二つかけておいたのに、わざわざそのカギを無理やり取り外して持っていくって、いったい何考えてるのかって思った私である。盗難届を出して、警察に探してもらった結果、遠く離れたところで見つかったということであった。

 まぁ、その荷物を抱えて、無事に星田の家に帰ったことを伝えて、夕方には両親も仕事から帰ってきて、お土産の蓬莱屋の551の豚まんとシュウマイを、夕食のおかず代わりにして食べて、故郷がどんな様子だったかを話して、姉も

「いつか自分も大阪に帰りたい」

 と言っていた。妹は6年間しか大阪で暮らしてないので、あまり大阪に対しては思い入れがないのか、関心は示さなかった。父は40年近く大阪で暮らしていたので、故郷がどんなだったか、一番興味を示していた。後日、私がインスタントカメラで写してきたフィルムの現像と、プリントが出来上がって、皆に見せると、懐かしそうに眺めていた。

「星田君、全然変わってないなぁ…」

 姉の感想である。まぁ、3年なので身長が伸びた以外に、そう変わったところもないと思うが…。こうして春休みは終わりを迎え、4月8日、私は晴れて公立高校に通う高校生となった。


 高校生編へと続く。

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