学級閉鎖寸前。そして糸田の嫌がらせ
そして翌日学校に行ってみると、クラスのうち10人近くが休んでいた。なんでもインフルエンザが流行っていて、もう少し休む者が増えたら学級閉鎖になるという。
「リンダが忌引きじゃなくて、インフルエンザで休んでたら、俺たちも学級閉鎖になってたのになぁ…。」
とこぼすものもいたが、こればかりは仕方がない。先生もインフルエンザが流行してるから、手洗いうがいをきちんとするようにと話していた。私はインフルエンザにこの時はかからなかったが、周りでは男女を問わず、咳やくしゃみを連発する生徒が多かった。これから受験に向けた準備も必要になってくる時期なので、インフルエンザで休まなくてはいけないというのは、進路希望が決まっている者からすれば、大きな痛手であったのではないかと思う。インフルエンザにかかったら、1週間休まなくてはならないため、授業の習熟度に大きな差が出るためである。インフルエンザによる病欠が開けて、1週間ぶりに登校してきたクラスメイトは、遅れを取り戻すのに必死であった。
「リンダ、頼むからノート見せてもらっていいか?」
仲の良かったクラスメイトから頼まれてノートを見せたりしていた。それを見ていた糸田が
「リンダ、俺にもお前のノート見せろや」
と言ってきた。糸田もインフルエンザにかかって休んでいたので、内心は焦っていたのかもしれないが私は
「それが人にものを頼むときに使う言葉か。知るか。自分でどうにかすれば?」
と言って、糸田には見せなかった。私から断られた糸田は、ほかのクラスメイトを脅して、ノートを丸写ししていたようであるが、ただノートを書き写しただけ、頭の中には何も記憶されていなかったのだろう、12月に入って実施された、期末試験の結果は芳しくなかったようである。一方の私は5教科に限ってみれば、中間試験よりもいい点が取れていて、学年の順位もいくらか上がっていて、私が希望する高校の入試レベルは維持できていた。
その期末試験も終わって、3学期の役員を選ぶ選挙が行われた。この時、総務委員から自薦・他薦問わずに選んでいくのであるが、糸田が
「総務にリンダ君を推薦します」
と言ってきた。これは明らかにT君のことや、私が糸田や末山たちに対して、とってきた態度に対するあからさまな報復であった。そのほかのクラスの半数以上が、私を総務に推薦するというのである。糸田のように悪意を持って私を推薦する奴もいれば、面白半分で私を推薦する奴もいて、私ははっきり言って、クラスを代表する総務委員なんてやりたくなかった。なので、一番票を集めるであろう、総務委員経験者である海老田を指名して、投票が行われることになった。そして僅差で私の方が得票数で上回ってしまい、私が3学期の総務委員をやらなければならなくなった。福井先生が
「あんたら、こんなやり方で総務を選んで、本当にそれでいいんかね?」
と言っていた。福井先生も明らかに嫌がらせで選出したとみていたのである。私は再投票が行われるものと思ったが、再投票をすることなく、総務委員の選挙は終わった。そのほかの役員も受持も決まっていって、2学期が終わった。




