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三田

 そして、休憩時間中、クラスは違うが、ふとしたことがきっかけで、出会った三田という男子が、上級生からいじめを受けているところを見てしまった。授業時間が迫っていたため、クラスにいったん戻って、あとで三田のクラスの担任の先生に伝えようと思っていたら、その上級生が、私の顔を見たらしく私を呼びつけて

「お前、さっき見たことをチクったら、どうなるかわかってんな?」

 と、脅しをかけてきた。さすがに上級生相手だと恐怖を感じて、私は何も言えなかった。先生に伝えることが出来なかった。その日の帰りに三田と一緒に帰ったのであるが、私が

「上級生と何があったん?」

 と聞くと三田は

「あれは野球部の先輩で、あいつらに練習でハードなノックをされている。俺はいじめられている」

 と話した。私は

「そのことは顧問の先生も知ってんの?誰かにきちんと伝えた方がいいんじゃね?」

 と言ったのであるが、三田は

「いくら練習してもうまくならん俺が悪いんじゃ。だから、やられても仕方がないんじゃ」

 などと言っていた。私は

「それは違う。練習でうまくならんからと言って、いじめていい理由になんかならん。いじめられるのが辛いんじゃったら、野球部をやめたっていいじゃん」

 そう話しながら帰った。そしていくどとなく、自分が苦しんだ経験から

「誰か信頼できる大人に伝えんとだめじゃ」

 そう再三私から伝えて、ようやく三田も決心がついたようで、野球部内でのいじめについて、親に相談して、野球部内で横行していたいじめが発覚したのである。当然いじめに加担していた上級生は退部処分となり、顧問も入れ替わり、野球部もいじめ問題が解決するまでの間、対外試合が禁止された。いじめ問題が解決したのは私たちが2年生に進級してからであった。そして3月を迎え、3年生は高校受験本番。初旬に公立高校の入試が行われた。試験が終わって、数日後に合格発表が行われ、卒業式が終わって、3年生は義務教育を終えて、卒業していった。それからおよそ1週間後、3学期の終業式が行われ、私にとっての激動の1年が終わった。この1年間はいじめとの戦いに明け暮れて、いじめから逃れるように大阪から山口に引っ越しして、市内の別の中学校に入学し、家を購入したことによって、学区が変わるため、1年生の途中で再び転校し、いじめのフラッシュバックや、悪夢に悩まされながら過ぎ去っていった1年であった。

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