第48話 ザサツ界の神
空真には根掘り葉掘り聞かれた。
どんな文化なのかとか、発展している物とか。科学の話をすると、すごく興味を持たれた。
「……それから。ん?」
空真は扉の方を見た。すると、ノックがされた。
「どうぞ」
空真の声に答えて、扉が開かれた。
女性がいた。青い髪を束ねているように見える。布を頭に付けていて、ロングスカートが特徴的だ。
「何しに来たんだ? 面白いことでもあったか?」
「面白いこと〜? 聖星ドラゴンを討伐しただろ! ドラゴンたちが騒いでいるぞ!」
「なんだ。それの話か。興味ない」
女性はその言葉に身を震わせた。
「えっと、どなた?」
俺が聞くと、空真はめんどくさそうな顔をした。
「君は神と対話したことがあるみたいだから言うけど、うちの神」
「え! 神様!」
俺たちが探していた神様か! ここで会えるとは思っていなかった。
「勝手にバラすな! 全く……ドラゴンのことで大騒ぎだぞ」
「俺が討伐したわけじゃないだろ」
「お前の弟が参加してただろ! 止めろ!」
「無茶を言うな」
空真は普通の人と同じように神様と話している。杏奈やモモさんといい、異世界の人たちは神様への敬意はないのかな。
「あの、少し良いですか?」
俺は、恐縮しながらも、神様に言ってみた。
「なんだ、君は」
「あなたに会いに来たんです。実は」
俺は事の経緯を話した。
優しい神様なのか、話をきちんと聞いてくれた。オーディン様とは違うんだな。
「なるほどな。異世界から来て、元の世界に帰りたいと」
「はい。俺の世界がどこにあるか、わかりそうですか?」
「分身体から聞いたことがないな」
……知らないのか。また、振り出しに戻るのか?
「日本という国はいくつかの世界にあるが、君と同じ波長の人間がいる世界は知らない」
「日本がある世界が他にもあるんですか?」
「あるにはあるな。でも、君の世界ではない」
俺は泣きそうだった。今回で何とかなるんじゃないかと思っていた。ツトムに聞いてもダメ、ザサツ界の神様に聞いてもダメ。
もう八方塞がりなのか?
「よくわからんが、そう落ち込むな」
空真が俺の肩を叩いた。
意外と励ましてくれているようだった。
「まだ方法はあるんだろ?」
「あ……」
そうだった。もう一つの方法があった。
杏奈の知り合いに異世界に詳しい人がいるんだった。誰かのストーカーをしていると言っていた気がするが。
「そうだ……」
その時、また扉がノックされた。次の瞬間、扉が勢いよく開けられた。
「何だ!」
俺は驚いて、飛び上がってしまった。
扉の先にはリンとノジャがいた。
「いーぶーきーさーん」
リンはこちらを睨んでいた。こわっ。
「一人で行動しないでください!」
「なんでここが?」
「弱い伊吹さんに興味がありそうなのは、空真さんだけだと思いましたので!」
リンの言葉に怒気が含まれている。
「伊吹、心配したのじゃ〜」
「ごめん。ノジャ、リン。というか、事実だとしても、はっきり弱いってい言われると傷つくんだが」
「無事だったので、今回は許します。今回は! カルメさんもまだ戻らないし、何やってんだ」
リンの怒りは多少はおさまったので、事情を話した。
「あなたでも知らないんですね。これは神界に行く必要が出てきそうですね」
「杏奈の知り合いに会いに行かないのか?」
「神界に行くのに、その知り合いに会う必要があるんですよ」
なるほど。わかったような、わからないような?
「とりあえず、カルメさんと合流して、イマジン界に帰りましょう。ハピネス教会で魔法陣を描かせてもらってね」




