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第44話 伊吹、豊隊と出会う

 バーガトリ・プレイ・タウンはクリーム色のレンガの建物が多く建っている。

 教会本部はこの大きな街にはない。支部があるので、俺たちはそこに行くことになった。ハピネス教という宗教で、イーファスとガンズはハピネス教の戦闘神官だそうだ。

 教会支部は日本にもあった教会とあまり変わらない形をしていた。十字架があった部分には女神のような石像が付いている。

 教会の奥にも建物があり、そこに教会の幹部などがいるらしい。

「これまた大きいな」

 俺は建物を見上げた。ここに来るまでに見た闘技場よりは小さいが周りの建物に比べるとかなり大きい。

 イーファスさんたちが仕事に出てから、状況が変わって神の居場所がわかっているかもしれないから行きましょうと、リンが街に入った時に言っていたので、ここに来たのだ。

 教会を通り過ぎ、奥の建物に入る。

「こんにちはー」

 カルメが挨拶をして入る。中には受付のようなカウンターがあるが、誰もいない。カウンターの両側に通路があり、カウンターの奥には階段があった。上と下に降りられそうだ。

「受付に誰もいないじゃん。真っ直ぐ豊隊の部屋に行くか?」

「そうしましょう」

 俺たちは階段を上がり、右の廊下を進んで少ししてから扉の前で止まった。

 カルメが扉をノックしようと手を添えた時に、中から声が聞こえた。

「入れ」

 カルメとリンは顔を見合わせてから、カルメは扉を開けた。

 中には男性二人と女性一人がいた。

 デスクと椅子が並んでいて、パソコンみたいなのがデスクに乗っている。

 一人の男性は気だるそうに左側の椅子に座っている。雲みたいな特徴的な髪型で、頭の周りに髪の毛と同じ雲が浮いている。前は完全にはだけていて、サラシを巻いている。

 一番奥の席に座っている男性は、青い髪で額が見えている。キツそうな目で、隊服をきっちりと着こなしていた。ツンツンした髪型と合っている。

 その男性の隣にはピンクのセミロング髪の女性が立っていた。顔の横の髪は巻いてあり、この人も隊服をきっちりと着こなしていてる。ミニスカートだ。

「豊。いたのか」

「何しに来た。お前ら、いつも厄介事しか持ってこないだろ。帰れ」

 奥の男性がそう答えた。彼が豊という名前なのだろう。

「早々に帰れはないだろ」

 カルメはヘラっと笑った。それに答えてか、豊はカルメを睨みつけた。

「話だけは聞いてあげましょうよ。隊長〜」

 隣の女性が朗らかな声で言った。

「……聞くだけだぞ」


 カルメと俺で、今回来た理由について話した。

「厄介ではないだろ?」

「刺客が来る時点で厄介だろ」

 豊は俺たちをずっと睨んでいる。もしかすると、元々そういう顔かもしれない。

「ツトムはザサツ界までは追ってこないだろうって言っていたよ」

 カルメの言葉に、豊はため息を吐いた。

「神の場所は俺たちはわからん。後は勝手に探せ」

「そうなるのか〜。わからないなら、探すしかないよな。困ったな」

 カルメは頭の後ろで腕を組んだ。困っているようには見えない。

「用が終わったら、帰れ」

「隊長〜。おもてなしくらいしましょうよ」

 女性が豊を宥めるように言った。女性の名前はフランソワーズという。もう一人の男性はネバーだ。

 前から思っていたことがある。イマジン界にもザサツ界にも漢字がある。日本を懐かしく思うし、異世界なのにな。不思議な感覚になる。

 そんなような、今関係ないことを考えていたら、豊が話し始めた。

「そう言うなら、フランが飯でも食わせて来い。どうせ、ザサツ界の通貨はそんなに持って来てないだろ」

「確かにそうですね〜。私がご飯を奢ります」

「いや、そんな世話になるほどでは」

 カルメが拒否したが、フランソワーズは大丈夫だと言って、カルメの腕を取った。

「本当に遠慮したいんだけど」

「ははは。行ってこい」

 豊はその光景がおかしかったのか、笑った。相変わらず、キツい瞳をしている。

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