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赤ちゃん返りとハンカチーフ

アクセス、ブクマありがとうございます!

更新できず、すみません。なかなかまとまらず、あっという間に秋になってしまいました…。


今話は、ギルとアルトの間に挟まれて座っているミア。

いちゃいちゃをお楽しみください。

「……へーよかったね、初体験ができて」


わたしは、皮肉を込めて言い放った。


ギル兄曰く「食事中は静かに」「ナイフとフォークで優雅に」が鉄則らしい。


そんなこたあ、知らん!うちではこれが普通ですう!!


わたしは、膨らませた頬でギル兄から顔を背けると、隣でもくもくと食べる(しもべ)の腕をちょんと突いた。



「アルに…ぶふっ!?」

「…っ!あははっ!あーはっはっはっ!」


思わず吹き出したが、ギル兄の笑い声にかき消された。


笑うのも無理もない。

アル兄の唇にソースがべったりとついているからだ。


っふふ…どう食べて…ついた…んだ…ろ……。


必死に笑いを堪えるわたしと、何が起きているか分からないとでもいうようなアル兄の濁りのない眼と、視線が交わる。


「お…おくち…に…ソー…スが……」


わたしがなんとか発した言葉から、事態を察したのだろう。

アル兄が、顔を真っ赤にして袖に口を近づけた。


「あっ!待つの!お服が汚れるの!」


まったく世話が焼けるんだからと、わたしはポケットに忍ばせておいたハンカチーフを取り出して、躊躇いもなくその口元を拭いた。



『唇は、夫婦または婚約者でなければ触れてはいけない。』

孤児のミアは知る由もないが、この国の法である。


ミアはすでにニ度前科があるが、今回のハンカチーフ越しの唇も嫉妬の王子(ギルバード)によって、即刻ノーカウントとなった。



「ミア、僕も拭いてくれるかな?」


僕は、ひとしきり笑うと、パンのお肉に唇をこすりつけて言った。


アルトにしたんだから、もちろん僕の口も拭いてくれるんでしょう?

アルトの後なのは解せないけど。


僕は、いまだ一口も食していないホットドッグ風を持ったまま、王子スマイルでミアに近づいた。



「……はぁ?」


なにしてんの、このおぼっちゃまは。

パンにくちをぐりぐりしてたところから、丸見えだったけど。キモ…ごほんっ。


わたしは、咳払いをして、思考を巡らせた。


わたしがアル兄の口を拭いたから、ギル兄も同じようにして欲しい…ということは……。


分かった!分かっちゃった!

ギル兄は、アル兄に嫉妬したのね。


ミアは、にやにやと上がる口角を手で隠した。



ギル兄は『あに』で、アル兄は『おとうと』、わたしは『おかあさん』なのね。


おかあさん(わたし)』が、『おとうと(アル兄)』の口を拭いたから、『あに(ギル兄)』も構ってって話ね。『おかあさん(わたし)』の愛情が欲しいのね。


『嫉妬』に辿り着いたのは正解だったのだが、ミアは斜めに進んでいく。


この世界に転生する前、わたしにも弟がいた。

後継だから、両親はいつも弟につきっきり。

小さい頃は少しの物音で起きちゃって泣くし、ギャアギャア喚くし、イヤイヤ期も長くて大変だったなぁ。

だからギル兄が赤ちゃん返りする気持ち、分かるわ〜。


ミアは、これをギルの赤ちゃん返りだと悟ったが、

ギルとアルトは紛れもなく赤の他人である。



「アル兄、これ…」


わたしは、さっきアル兄のおくちを拭いたハンカチーフを押しつけた。


「ギル兄のおくち拭いてあげて!弟の交代だよ!」


「「えっ?」」


うふふっ。嬉しいよね。分かるよ。

わたしは弟に自らお願いされた「弟の交代」。


わたしが我慢してるのに気づいて、だから代わるって優しい気持ちが嬉しくて感動したのを覚えてる。


もう二度と会えない弟。元気にしてるかな…。



わたしは、ポカンとくちを開けたままの二人をよそに、感傷にふけったのだった。


ミアの前科は「アルトの手の甲にキス」と「ギルの指をかじる」です。

覚えている方、ありがとうございます。

忘れた方は、過去のエピソードをお読みくださいね。


「面白かった!」「続きが気になる!」「続き早く!」「タイトル回収まだ?」「ミアちゃんかわいいー!」などなど、思って頂けましたら、リアクションをいただけると幸いです。

今後、作品を作っていく上での糧になります!

どうぞよろしくお願いします!

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