美味しいはみんなで
またタイトルを変更しました。何度もすみません。
長い目でお付き合いいただけますと幸いです。
「うん!良い感じ〜!」
お肉に焦げ目がついたところで、院長にバトンタッチ。
最年長の元聖女様に仕切ってもらえば、誰も文句は言えないはず。
可愛いうえに策士だなんて、誰も思うまい。ふっふっふ。
口元を手で隠して笑いを堪えていると、足元から声がかかった。
ーおい、見えない。抱っこしろ。
声も見た目も間違いなくクロなのに、抱っこを要求するなんて別人ならぬ別猫だ。
驚きを一旦置いておくにしても、見えないって、何を見たいんだろう。見てどうするんだろう。
疑問しかないけれど、聞いたらきっと舌打ちするに違いない。
ここは、黙っておくのが賢明な判断ね。
わたしは、クロを抱き上げて、出来上がりを待つ。
おや?院長の手が震えているのは…気のせい…か…?
♢
エリザは強い視線をキャッチしていた。
(指の先まで見られている気がする…。)
ちらりと見遣ると、側には猫を抱っこしたミアしかいない。
(まさか、この猫ちゃんが…?)
エリザのその予感は大正解である。
猫は、エリザの手元、コッペパン風の出来あがりを今か今かと待っているのだ。
(集中しなくちゃ。多い個ができたら、ケンカになるわ。)
エリザが慎重にパンに盛り付けしていく中、にゃーんにゃと猫の声が響いたのだった。
♢
ぐふふと、にやにやが止まらない。
パン半分組は具が山盛りなのだ!
さすが院長!計画通り!
パンは半分だけど、クロの前脚ほどのサイズ。
ビーちゃんにしてみたら、体より大きい。
クロは普通の猫じゃないし、何を食べても問題なさそうだけど、ビーちゃんは質量的にその体のどこに入るんだろう…?
ビーちゃんの食べ残しでも喜んでいただくよ、なんていう腹づもりで「食べれられそう?」って聞いたら、「お肉のおかわりはある?」って返ってきた。
妖精の胃袋は異空間なのかもしれない…。
「あー!院長!俺のは野菜なしで!」
偶然の再会だからと、アル兄に稽古をつけてもらっていたジン兄が割り込んできた。
当然かのようにスッとベル姉の横に立つあたり、脳筋でも成長したな、と感じる。
「あんた、野菜も食べなきゃお腹だけ太るわよ!私、そんな人の隣にいたくないんだけど」
「…えっ!?じゃ、じゃあ、野菜多めで!」
ジン兄とベル姉の突然のいちゃいちゃに院長は無言で微笑む。
ベル姉はジン兄に対してツンデレのデレ極小。
だから今の言葉を要約すると「お腹だけ太らなければ、隣にいたい」のだ。
いつか、あつあつのバカップルになるかな〜?
ふふふっ、楽しみ。
そうこうしていたら、院長が浄化魔法をかけて、コッペパン風が完成した。
急拵えでテーブルと丸椅子を作ってくれたテオ兄とロッテに感謝して、食前のお祈り。
終わると同時に、わっ!っと一斉にみんなの手がお皿に伸びた。
みんな相当腹ペコだったんだね。
わたしは、クスっと笑って、大口でパンに食いついたのだった。
クロ「にゃーんにゃ(遅い早くしろ)」
エリザ「慎重にやらなくちゃ」
エリザにはクロの声が聞こえないので、まったく伝わらなかったという…。
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