女神様と天使と
『ミアちゃ〜ん?いくらチート能力があるからって転生初日からなかなか無茶するじゃなぁい?』
『まほうすごかったの〜きれいだったの〜』
気がつくとわたしは、真っ白な空間にいて、二人とテーブルを囲んでいた。
「女神様ご機嫌よう。ミーリアちゃんこんにちは?」
わたし、また死んだの?
とりあえず挨拶はしたものの、状況がつかめない。
『ご機嫌なんてよくないわ!無理しすぎよ!』
女神様がテーブルに身を乗り出して、わたしを睨む。
(お、お、怒ったお顔もビューティフォー!)
わたしは全細胞に記憶せよ、と命令して女神様を凝視した。
大きくて宝石みたいな碧眼は、すべてを見透かしているかのよう。
絹以上の綺麗な柔肌にはシワがまったくない。
ファビュラスな匂いがふわりと鼻をくすぐるプラチナブロンドの髪が煌めいているが、それより目を奪われるこぼれそうな爆乳。
重力を知らない360度完璧な宇宙を震撼させる魅惑のボディ。マーベラァアアアアス!
『んもうっ!そんな褒められたら怒れないじゃない!』
世界一美しいお方が頬を赤らめて、頬をぷうと膨らませる。
『めがみさま、おかおがあかいの〜』
ミーリアちゃんがクスクス笑う。
どうやら心の声が聞こえているらしい。
なるほど。
わたしは深く頷いて、ミーリアちゃんをまじまじと見つめた。
純真無垢なくりくりの翡翠色のおめめに、ぷにぷにのほっぺ。
ずっと撫でていたい、ハニーブロンドのふわふわした髪。
ぎゅっとしたら、ぎゅーっと抱きしめ返してくれる悩殺の魔性さも可愛い。
漂う愛くるしい匂いは、何人も穢してはならぬ!と庇護欲をくすぐる。
天使はここにーー。
『もう〜はずかしぃ〜』
ふにっとした両手で顔を覆うミーリアちゃん。
耳まで真っ赤だ。
『と、とにかく!無茶はしないでって言いたいのよ!』
女神様が、まだ赤みを帯びた顔で再び釘を刺してきた。
確かに身体はだるいけど、後悔はしてない。
もし、また同じことが起きても、きっとわたしはまた同じことをする。
やらなくて後悔するくらいならやる。
ミーリアちゃん喜んでたし、女神様だって理解してくれてる。
『あとね、気づいてると思うんだけど、あなたが助けようとした猫ちゃんね、あなたと一緒にーー』
「わかっています」
わたしは、女神様の言葉を遮った。
どんな生き物だって死がつきもの。
だから、女神様を責めるのは筋違い。
助けられなくてごめん。
わたしだけ転生してごめん。
あなたの分まで異世界で生きるから…。
『…えっと、違うの。猫ちゃんも転生したの』
え?女神様?ちょっと整理させてください。
わたしが助けようとした猫は、一緒に死んで、一緒に転生した、で合ってますか?
『そうなの。びっくりしたでしょ。この子がどうしてもあなたと一緒がいいって言うから』
『いっしょがいいもんねー』
いつの間にか、ミーリアちゃんの膝の上に猫がいて、撫でられている。
『…もっと撫でろ』
気持ち良さそうに半眼を閉じるその姿形は、紛れもなく助けようとした猫で、魔法を教えてくれた猫だった。
…よかった。ほんとうによかった。
まだ消化できない思いを胸に、わたしは改めてこの世界で生きようと決心した。
女神様は、金髪碧眼の美女です。あと爆乳です。(大事なところ)
ミーリアちゃんは、ハニーブロンドの4歳くらいの幼女です。そのため会話字はひらがなです。