目覚めたらそこは
小説描き始めました。
拙い文章ですが、温かく見守って頂ければと思います。
ぷにっ。
柔らかい何かが額に触れる。
ぷにっ。ぷにっ。
次第にソレが頬へ、首へ、お腹へと触れてきた。
「…ふふっ。ふふふっ。もう!くすぐったい〜!」
重だるい瞼を開けると、金眼の黒猫と目が合った。
「…?」
この猫、最近見たような…。どこだっけ。
「やっと起きたか!」
「…え??」
「静かに!」
「…。ねこが…ねこがしゃべった!」
「声がでかい!静かにしろ!」
「んむ?!」
突然、もふもふに口を塞がれた。
間違いない。これは猫の尻尾。
両手で掴んでくんかくんかと嗅いでみる。
…うん、動物臭い。どうやら夢じゃないようだ。
「離せ。起きろ。」
「んぶっ!」
尻尾で軽く顔をアタックされ、猫は機嫌悪そうにそっぽを向いてしまった。
しぶしぶ上半身を起こすと、なんだか視線が低い。
「え?ちいさい?」
手をグーパーしてみるもどう見ても幼児の手。
立ち上がり、全身を確認するも、3才くらいだろうか。舌が短いのか、言葉がうまく出ない。
落ち着いて。落ち着いて。
自分に言い聞かせ、深呼吸して回想する。
確か、トラックに轢かれそうな猫がいて、助けようと飛び出して。目を開けたら、美人な女神様と可愛い幼女がいて、、。
『息絶えた娘に両親が禁術蘇生を発動したけれど、蘇生は理に反するから、同タイミングで魂となった私にその子に転生してほしい。』って、女神様言ってたっけ。
「…わたし、てんせいしたんだ!」
「やっと理解したな。時間がない。二人に最期の言葉をかけるか?」
「え?さいご?」
猫の目線を追うと、真っ赤な水たまりがあった。
「…これ…ぜんぶ…ち?」
その中心に横たわる二人の影が見えて、私の中の彼女が悲鳴を上げた。
今の私の身体は、彼女の身体。
感情もリンクしてるから、二人が誰なのかすぐに理解した。
溢れ出る涙で視界がぼやけ、もつれる足で転がるように駆け寄る。
「おとうさま!おかあさま!おきて!おきてよぉ!」
身体を揺するも、ピクリともしない。
「う、う、うわあああぁーー!」
ぼろぼろと涙が溢れて止まらない。
彼女が持つ楽しかった思い出が、幸せだった思い出が、脳裏を駆け巡る。
わたしはただ、二人の側に座って、しゃくり上げて泣き叫ぶしかなかった。