第90話 3つ目のダンジョンを攻略しよう(前編)
【異世界生活 77日 8:00】
2つ目の魔物の島のダンジョンを攻略中。
2階のボス、そして3階以降のウッドゴーレムが魔法を使うとわかり作戦を考える俺。
「秘書子さん、なんかいい方法ない? 魔物の魔法対策、明日乃の結界じゃ効率が悪そうなんだよ」
俺は困ってアドバイス女神様の秘書子さんに聞く。
「風の刃や氷の矢など物理攻撃に近い魔法なら盾で受けたり、剣で撃ち落としたりするのはどうでしょうか?」
秘書子さんがそう答える。
「風の刃って剣で撃ち落とせるの?」
俺は驚いて心の中で聞き返す。
「普通にやっても無理ですね」
秘書子さんがしれっと言う。
「無理なのかよ」
俺は心の中でそう突っ込む。
「普通にやったらです。追加剣技スキル、マナソード、マナシールド、マナアーマーを使えば、何割かはダメージを減らせられるかと」
秘書子さんが新しいスキルの名前を並べる。
「マナソード? なにそれ?」
俺は気になって聞き返す。
「マナを剣や盾にまとって、魔法弾を斬り、受け、相殺させるスキルです。剣技といって、魔法とは異なるスキルで、お祈りポイントでは使用できません。マナを100ポイント消費して、初級魔法の魔法弾なら8割ほどダメージを減弱させます。中級魔法の魔法連弾なら5発同時に飛んでくるので、マナソードとマナシールドの同時使用で8割減、3発は直撃を食らいますが、死ぬことはないと思います」
秘書子さんがざっくりマナソードやマナシールドについて教えてくれた。
「ん? マナアーマーも使えば3発相殺できるんじゃないのか?」
俺は秘書子さんの説明にマナアーマーが入っていないことが気になった。
「マナアーマーは別物ですね。マナアーマーは体全体にマナを張って魔法を軽減する魔法なので、どこに当たっても2割程度軽減できるという広範囲で低防御な剣技です。魔法に囲まれるような炎の壁や大竜巻のような魔法には有効かもしれませんが、低防御なので焼け石に水とも言えます」
秘書子さんが説明を付け足す。
うーん、微妙に使えねえ。
「ちなみに魔法弾は剣で受けられないとしても、盾で受けることはできるの?」
俺は気になって聞いてみる。
「一応可能ですが5割以上のダメージを受けます。魔法の衝撃や飛び散った魔力は体に当たるので。そんな理由から鎧など良いものを着ていれば魔法ダメージも少しですが軽減できます」
秘書子さんが防具でも魔法軽減を少しだけできることを教えてくれる。
「それと、余談ですが、紙一重で避けられれば、ノーダメージになる可能性はあります。ただし、魔法弾は追尾機能がありますので、少し避けたぐらいでは追ってきて当たりますので注意が必要です」
秘書子さんが追加情報を付け加える。
「避けられるのかよ」
俺は意外な対処方にあきれる。
「あくまでも魔法弾ならです。そして結構難しいですよ?」
秘書子さんが無感情な声でそう言う。まるで俺の命を軽視しているような声で。
まあ、そういうことじゃないんだろうけど、軽薄な感じが少しイラっとさせられる。
「あと、マナソードを使うと、剣の切れ味も良くなります。クマなど毛皮の硬い敵と戦う場合に役に立ちます」
しれっと秘書子さんがそう付け足す。
もっと早く教えてくれよ。
俺は秘書子さんとの相談を終わらせ、今の内容をみんなに伝える。
「マナソードにマナシールドか。結界に頼らない方法としては良さそうだな。ただし、流司と真望以外盾持ってないけどな」
一角がそう言う。
「あ、私、一応ドロップした青銅の盾1個なら持ってきたよ」
明日乃がそう言って、リュックサックに結び付けられた盾を見せてくれる。
「ナイスプレイだ明日乃。俺と、一角と麗美さんが盾持って、敵が魔法を打ってきたらマナシールドで受ける感じで行けるんじゃないか? 2発飛んで来たらマナソードも使う感じで。できればその状態で魔法を避けることも試してみる。この作戦でどうだ?」
俺はそう提案する。
「マナシールド使っても2割はダメージ受ける。魔法弾を5発同時に向けられたらちょっと危険よね」
麗美さんが怪訝そうな顔をする。
残り3発をマナシールドなしの盾で受けたとしても、2割+2割+5割×3で2発直撃受けたのと同じダメージか。
「敵5体に5発×5を向けられる可能性もあるしな」
一角がさらに絶望的な事を言う。
「そのあたりはみんなで固まってみんなで庇いあうとかで何とかするとか?」
俺はそう言う。
「まあ、25発同時で飛んで来たら、私が無詠唱で結界張ればいいし。マナというか経験値? が勿体ないけど」
明日乃がそう言う。
「最初から結界張ってウッドゴーレムを追っかけまわすよりは効率的かな?」
麗美さんがそう言う。
「とりあえず、3人で固まってマナソードで5発撃ち落とすのを試してみるか? 誰かに集中したり、撃ち落とすのをしくじって当たったりしても恨みっこなしだぞ」
一角がそう言って少し楽しそうな顔をする。
魔法を打ち落とすという行為が面白そうと思ったようだ。
俺もちょっと試してみたい気はする。
「じゃあ、その作戦で魔法を無効化、その後、敵5体にそれぞれ対峙して倒す。流司クンはボスを無力化したら待機ね。明日乃ちゃんにボスは倒させるから」
麗美さんが作戦を要約し俺と一角は頷く。明日乃と真望は反応に困っているが作戦は承諾してくれたようだ。
「ちなみに、マナソードやマナシールドも10分経つと霧散します」
秘書子さんがこっそり俺に伝える。
「マナソードやマナシールドも結界魔法や補助魔法は同じ、10分で消えるそうだ」
俺はみんなにそう伝える。
「マナソーーード」
一角がそう叫んで剣を振り上げると剣が光り出す。なんかオーラっぽい光が剣を包んでいる。なんか懐かしのアニメのオープニングが流れそうな格好だ。
「ちなみに、剣に集中してマナを流すイメージをするだけでマナソードできるらしいぞ」
俺は事前に秘書子さんから使い方を習っていたのでしれっと無言で剣にマナを纏わせる。
「いいんだよ。こういうのは雰囲気が大事なんだよ」
一角が恥ずかしそうにそう怒鳴る。
麗美さんは静かにマナを剣にまとわせる。一角の立場がない。
明日乃と真望が一角と麗美さんに盾を渡し、準備完了。
「明日乃、補助魔法だけ頼む。ステータスが上がった方が撃ち落としやすいかもしれないからな」
俺がそう言い、明日乃が全体補助魔法をかける。
「じゃあ、いくぞ。明日乃と真望は遅れて入ってきてくれ。魔法が避けられるか試したいしな」
俺はそう言って、ボス部屋に突入する。
俺と麗美さんと一角が並んで飛び込む。ボスのハーピーを模したウッドゴーレムが飛び上がり上空から魔法を放つ。風の刃が5つ現れこちらに飛んでくる。
お行儀よく俺と一角には2発ずつ、麗美さんには1発向けてくれる。麗美さんと一角が俺から離れると風の刃もそれぞれを追いかける。追尾機能か。
俺に向かってくる風の刃を俺は直前で横っ飛び。避けたうえで、横からマナソードで斬り撃ち落とす。
剣と風の刃がぶつかった途端、風の刃が爆散し、小さな風の刃が慣性運動で前に飛び散る。
なるほど。この破片が体に当たるから2割はダメージ受けるってことか。
そして運よく2発とも避けることはできた。
麗美さんもうまく避けたうえで叩き落せたようだが、一角は正面から受けようとして、魔法の破片をもろに食らっている。
「青銅の鎧を着ていてよかった」
一角がそう言う。
一角だけ南の魔物の島で拾った青銅鎧を全身に着ているのでダメージ2割がさらに1割に軽減できたようだ。それを2発分食らったという感じか。
HPが10ほど下がっている。
「よし、これで、30分は魔法が使えないはず」
俺はそう言い、ハーピー型ウッドゴーレムに向かうが、空を飛んで、ダンジョンの天井ギリギリを飛んでいて攻撃ができない。
というか、こいつどうやって飛んでいるんだ? どう見ても重そうだし、全身木製で羽根も木製、飛べる構造してないよな。魔法の力か?
一角と麗美さんもいそいで、取り巻きのワーラビット型のウッドゴーレムに対峙する。どちらも2対1だ。
慌てて、真望と明日乃が一角と麗美さんの補助に向かう。
うーん、剣が届かない。俺はハーピーを睨む。
こういう時こそ投擲スキルだな。
久しぶりの、青銅の斧を腰の鞄からとり出し、ハーピーの羽根の根元に投げつける。ハーピーがよろけ、落ちてくる。
俺は落下点に向けて走り、そのまま飛び掛かり、翼を根元から切り落とす。
ハーピーがバランスを崩して地面で暴れる。
そして何とか立ち上がり、噛みつこうと俺に飛び掛かる。
俺はその攻撃をバックステップで一度避けて、もう一度飛び込み、首に一撃、ハーピーの首を落とす。首と体を両断され、体が動かなくなり、首だけが地面でもがいている。
各自、取り巻きのワーラビットを倒し、最後に明日乃がボスハーピーの額にある核を破壊して戦闘終了となる。
そしてドロップ品は青銅の爪がたくさん。うん、微妙だ。
「マナソードとマナシールドで何とかなりそうだな」
一角がこちらに向かって歩いてきながらそう言う。
他のメンバーもドロップしたアイテムや武器を回収して、いつもの木箱から粗悪な青銅の斧を回収し、ボス部屋を後にする。
エントランスに出たところで、1階のエントランスまで盾を取りに行こうという事になり荷物を持ったまま1階に。1階でドロップ品を全て出し、その代わり盾を2枚拾う。1階の入り口と2階の出口は同じ南のエントランスなのでちょうどよかった。
マナシールドの為に全員盾と剣に持ち替える。明日乃も普段は槍で戦うことが多いが、今日は剣と盾だ。
そして、3階に挑戦する。
基本は俺、一角、麗美さんがマナソードとマナシールド両方かけて10分間ダンジョンを走り続ける感じだ。
1発ずつ向かって飛んで来たら2階のボス部屋と同じ要領で避けながら叩き落す。
一人に集中されたら、周りの二人が叩き落しつつ、狙われた人間は剣で叩き落としつつ残りは盾で受ける。そんな感じの作戦だ。
とりあえず、1体しか出ないエリアではそれで何とかなるだろう。
まずは1戦目。その戦い方で挑んでみる。
さっきと同様、行儀よく3人に魔法が向かう。今回は一角も避けながらマナソードで叩き落す。
そして、ハーピー型のウッドゴーレムは天井まで上がってしまう。
「これを落とすのが面倒臭いな」
俺はハーピーをしたから眺めながらそう言う。
「流司クン、こっちを向いて盾を上に構えて踏ん張って」
麗美さんが俺に突然声をかけるので、俺は振り向き、反射的に言われた通り盾を頭の上に構え、全身でふんばる。
「うん、いい感じ」
麗美さんがそう言って、俺に向かってジャンプ。
俺の盾を足場に二段ジャンプ。ハーピーの高さまで届き、剣で片翼を切り落とす。
おお、なんか猫っぽい、いい感じの動きだった。
落ちてきたハーピーの首を一角が刎ね、明日乃がとどめを刺す。
「マナシールドが勿体ないから次行くぞ、次」
一角がそう言って走り出す。
「真望ちゃん、ドロップ品回収お願い」
明日乃はそう言って一角を追いかける。
もちろん、俺も麗美さんも追いかけつつ、消費したマナソードをもう一度剣にかけ直す。
「もう!!」
真望が不満そうに叫ぶ声が後ろから聞こえる。
そんな感じで1対5の状態で戦えるエリアでの3戦はなんとかなった。4戦目、ハーピー型ウッドゴーレムが2体になったところで足が止まる。
「さすがに10発1人で食らったら死ぬんじゃないか?」
一角がそう言う。
「4発はマナソードとマナシールドで何とか叩き落せるから、直撃は6発だな。6発なら盾で全部受けてダメージ半減、なんとかいけるんじゃないか?」
俺は一角をからかう様にそう言う。
「じゃあ、まずは流司が6発受ける見本を見せてみろよ」
一角がジト目でにらみながら言う。
「とりあえず、避けることはできるみたいだし、補助魔法2重掛けで素早さを活かして避ける。避けられない魔法弾は剣で叩き落とすか盾で受ける。そんな感じでいいんじゃない? さすがに10発もろに受けるほどのろまな子はいないでしょ?」
麗美さんがそう言う。
「2対5ならそれでいけるかな?」
俺は少し不安だがそう言う。
「そうなると、3人で固まるより、分かれて突入した方が、避けやすいよな」
一角がそう提案する。
「確かにそうだな」
俺もそう思った。下手に密集していると、真ん中の人間、つまり俺が避けられない。
「じゃあ、それで行きましょ。明日乃ちゃんと真望ちゃんは離れていてね。私たちと魔法の射線が重ならないように気をつけながらね」
麗美さんがふたりにそう言う。
確かに俺の真後ろに立たれて、俺が避けた魔法が明日乃達に当たったら目も当てられない。
「分かったわ。私たちも後ろで警戒するわね」
真望がそう答える。意味は通じたようだ。
「まあ、命がけの縄跳びみたいなもんだ」
一角がそう言って笑う。
「どちらかというと反復横跳びだけどな。というか、一角の補助魔法は直線的で回避力落ちるから、走り出すのは避ける直前だからな」
俺は一角にそう突っ込む。
「ああ、分かってる。自分の補助魔法の癖くらいな」
一角が悔しそうにそう言う。
「とりあえず、2対5のエリアではその作戦で。3体出だすエリアになったら結界魔法でごり押しするわよ」
麗美さんがそう言い、みんなが頷く。
「明日乃ちゃん、補助魔法お願い」
麗美さんがそう言い、明日乃が全体補助魔法をかける。
それと同時に俺、一角、麗美さんが各自の補助魔法を唱える。
3人のステータスが格段にあがる。
そして、俺と麗美さんが駆け出し、一角は速度を抑えがちに部屋に入っていく。
それぞればらけた方向に走る。俺が右、麗美さんが左、一角が真ん中だ。
ハーピー型のウッドゴーレムが、一瞬戸惑うようなしぐさを見せるが、ハーピーは冷静に、俺に5発全部、一角に5発全部魔法を放つ。
俺は風の刃5枚が迫ってくる直前で大きくサイドステップ。
補助魔法の二重掛けで何とかよけきる。
一角もギリギリまで引き寄せて、全速力で避ける。そして、壁の直前で急ブレーキ。うん、本当に狭いところでは使い勝手の悪そうな補助魔法だな。
魔法の発射を確認したところで麗美さんは全速力。そして、左の壁を利用して猫のようなジャンプで三角飛び。ハーピーの高さまで跳び上がり、片翼を切り落とす。
おお、なんかすごい。というか、猫みたいで可愛い。
俺も冷静に、腰のバッグから青銅の斧を取り出し投擲。翼に当たり、落ちてくるハーピー型ウッドゴーレム。
落下地点に先回りし、翼を斬り落とし、返し刃で首も落とす。補助魔法2重掛けだから剣速も上がっている。
一角が麗美さんの落としたハーピーの首を刎ね、明日乃が2体のとどめを刺す。
「明日乃急げ。次行くぞ」
一角がそう言って急かす。
「もう、一角ちゃん、焦らせないでよ。真望ちゃん、ドロップ品お願いね」
明日乃がそう言って一角を追いかける。
「もう!! 私の扱い!」
真望がキレる。
2重補助魔法を上手く使い、魔法弾を避けて何とか2体までは対応できた。
前に3体ウッドゴーレムが見えたところで立ち止まる。ここからは3体相手にしなくてはいけないエリアだ。
「明日乃、レベル上がりそうか?」
俺は気になって聞いてみる。まあ、鑑定で調べればわかる事なんだが、コミュニケーションってやつだ。黙ってステータス見るのも気持ち悪いしな。
「うーん、全然だね。今半分くらい? あと経験値80000ポイント、ハーピー型のウッドゴーレムを40体くらい倒せば上がるかな?」
明日乃がそう答える。
この階層をクリアするころくらいでやっとか、次の階層に持ち越すくらいだな。
やっぱり、レベル31、ランクアップの壁は厚いな。急に必要経験値が増える。
「明日乃がレベル31で覚える新しい魔法に期待してるんだけどな。何か魔法に対応できそうな結界魔法が追加されるといいんだけど」
俺は、少し先にいるハーピー型ウッドゴーレム3体に注意しつつ、そう答える。
「魔法に対抗できると言えば、『対魔法結界』だっけ? これ使ってみる? 魔法特化の結界魔法みたいだけど、お祈りポイントの効率考えると、普通の結界魔法、『聖域』の方が使いやすそうだから使ってたけど」
明日乃が思い出したようにそう言う。
「たしか、『聖域』はお祈りポイント300で済むけど、『対魔法結界』は1000ポイント必要だったんだよな、確か。魔法防御に特化した結界だっけ? 前に習得だけは済ましていたはずだよね」
俺は明日乃が前に行っていた魔法の説明を思い出す。
「そそ。そんな感じ。で、りゅう君が前に習得しておけって言ったからもう使える状態だよ。説明だけじゃ良く分からないけどね。魔法だけならいっぱい防げる感じなのかな?」
明日乃もよく分かっていないらしい。
「試しに使ってみたらいいんじゃない? どっちにしろ3体相手だったら結界必要になりそうだし」
麗美さんが適当にそう言う。
「じゃあ、使ってみるね。神よ力をお貸したまえ。『対魔法結界』!!」
明日乃が神に祈り、聖魔法を唱える。
明日乃の体から薄い光が溢れドーム状の結界を形成しそれがどんどん広がっていき、ダンジョンの一部屋分を越え隣の部屋まであふれる。
「お、大きいわね」
真望が結界の大きさに驚く。
「こ、これって、もしかして、魔物の魔法無力化できたんじゃない?」
麗美さんが気付いてしまう。
「多分そうだろうな。魔物がこの範囲内に入ると魔法が使えなくなるというか、お祈りポイントで相殺されるみたいな魔法じゃないか?」
一角が多分、子供のころにやったRPGの呪文を思い出すようにそう言う。
ぶっちゃけ、ド〇クエのマホ〇ーンみたいなやつか。
「マジか。今までの苦労は何だったんだ」
俺は膝から崩れ落ちる。俺達の必死の回避は無駄だったらしい。
「り、流司クン、気を取り直して行きましょ?」
そう言って俺を慰める麗美さん。麗美さん自身もかなりショックを受けている。
「ご、ごめんなさい。もう少し早く使えばよかったね」
明日乃が申し訳なさそうにそう言う。
「まあ、誰も気づいていなかったし、仕方ない」
俺はそう言って立ち上がる。
遠くに見えたウッドゴーレム達は結界魔法を見て逃げ出し始める。
ここからは追っかけっこで、ボス部屋前まで追いつめて4体ずつ相手する感じになりそうだ。
お祈りポイントはかなり消費しそうだが、さっきまでと比べてかなり楽な戦闘になりそうな気配がしてきた。
本当になんだったんだ。俺たちの苦労は。
というか、秘書子さん、マナソードでの対策よりそっちを教えてくれよ。
次話に続く。